朝の満員電車、先輩からの無茶振り、話を聞かない後輩……ストレスフルな毎日を過ごす人におすすめなのが『ブラックガールズトーク』。仕事の愚痴だって言いたい!けど、周りの人にマイナスな発言ばかりするのは申し訳ない……という気持ちを解決してくれます。フィクションの漫画でくらい、他人を嫌ったっていいんです。
あなたの周りに、愚痴を言える人はいますか?
仕事や人間関係での疲れは、身体というよりも、心が疲れてしまうもの。上手に息抜きすることも社会人の務め……と頭では分かっていても、「休日には出かける元気すらなくなってしまう」なんて経験は、社会人あるあるといえるのではないでしょうか。
息抜きベタな方におすすめの本作は、出かけなくても気持ちを元気にしてくれる、そんな漫画です。
主人公は24歳のOL・高橋奈緒(たかはし なお)。顔もスタイルも平均、会社への不満も特にない……という平凡な毎日を送っています。
そんな彼女は、高校からの友人・三浦あやの家へと向かいます。そこにはあやの従姉妹・太田佳央梨(おおた かおり)の姿も。奈緒が合流し、いざ乾杯!女子会が始まります。
『ブラックガールズトーク』は、3人の女子会模様を描いた物語。彼女たちの周りにいるムカつくやつの話で盛り上がります。
トラブルを引き起こす人物は、「現実世界にもいるよね」と共感できてしまう嫌な人。しかし本作は胸クソでは終わらないのでご安心を!ただ問題が起きるだけでなく、しっかり解決するところまでが1話なので、安心して読むことができます。
本作に出てくる「自サバ女」も、共感できるヤバイ人の一人。自サバ女とは、「自称サバサバ系女子」の略称です。さまざまな作品で題材にされ批判の対象にされながらも、少しずつ生態を変えることで生き残る、頻出レベル高めな女子の形態の1つ。
自サバ女の特徴はこちらです。
異性の友達しかいないのは「私は地雷です!」という公言でしかないし、普通の大人は気遣いができるから「ハッキリ言うよね」ってオブラートに包んで言ってるだけだし、女の子だからって全員が食事の写真を撮るわけでもない……全部ひっくるめてうるせぇ!って言えたらどれだけ楽でしょうか。
しかし大人の皆さんは、関わらない方が面倒くさくならないからと、小さな我慢をいっぱいするんです。そういう小さなことが溜まっていき、心は疲れるばかり。
なぜまともな人ばかりが損をするのか。考え出したらキリがないこの問いですが、なんと本作ではまともな人が救われる世界なのです。ここもおすすめするポイントの1つです。
「ムカつくやつ全員、改札で毎回引っかかればいいのに」なんて思ったことはないでしょうか。この記事を書いている私は、嫌いな人は全員改札に引っかかればいいなと思っています。
正直、もっと酷いことが起きればいいのにとも思っています。しかしそれ以上だと、何かあったときに責任を感じてしまいそうだし、自分が嫌な人になりそう……と、「酷い目に遭えば良いのに」と「かわいそうかも」という2つの意見が交錯します。
そしてそれ以上考えるのは疲れてしまうし、時間の無駄なので思考はストップ。こうしてストレスを発散しきれずに抱え込む、負のループをくり返します。
そんな時に見る、自分の関わらない範囲で悪い人が淘汰される姿はなんと気持ちがよいのでしょうか。
本作に登場する自サバ女には、改札で引っかかるよりもスカッとする仕返しが待っています。少し大げさに聞こえるかもしれませんが、真面目に生きててよかった、とも思わせてくれるでしょう。
実際に「嫌なことをされたら仕返しする」というのは、限られた人たち。メンタルが強くないとできません。本作を読んでも、特段メンタルが強くなるわけではありませんが、心のガス抜きにはなるでしょう。
嫌いな人や苦手な人が周りにいる人は、ぜひスカッとした気持ちを味わってみてください。
めんどうな人たちに少しだけ巻き込まれながら、周りの人たちの力を借りて、なんとかトラブルを潜り抜けていく主人公たち。
また「世間は狭い」という言葉があるように、友達の友達が繋がっていた、なんてことが本作でも起きます。謎が謎を呼ぶ、ではありませんが、トラブルがトラブルを生む奈緒たちの生きる世界。なんとなくリアルな交友関係や人間関係も、読みごたえがあります。
現実とフィクションがちょうどよい塩梅で描かれる本作。
周りには愚痴を言いにくい、という心優しき人は、ぜひ『ブラックガールズトーク』で息抜きをしてみてはいかがでしょうか。物語に出てくる「ヤバイ人」は、責められても仕方ないと思わせてくれる嫌な人として描かれます。心を傷めず「この人はヤバイ」「仕返しされろ!」と思うことができるでしょう。
自サバ女だけでなく、モンペ母と悪口を広める女、キャバ嬢に貢ぐモラハラ夫や結婚至上主義女など……「いそうで居ない」「いなさそうで居る」人たちが続々登場。きっとどこかに、あなたが共感できるエピソードがあるはずです!
- 著者
- マキノマキ
- 出版日
- 2019-10-18
気軽に読める1話完結型なのも嬉しい本作。気になったエピソードから読んでも問題ないので、ぜひ気軽に手に取ってみてください。