架空戦記のおすすめ小説6選!太平洋戦争や近未来を描いたSF・時代もの

更新:2020.1.14 作成:2020.1.14

「もしも」の世界を描いた架空戦記。歴史的な事件を題材にしたものや、近未来を描いたものなど、さまざまな設定のなかで熱い戦いがくり広げられます。この記事では、太平洋戦争や近未来を描いたおすすめの作品を紹介していきます。

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近未来の宇宙戦争を描いたおすすめ架空戦記『孤児たちの軍隊:ガニメデへの飛翔』

 

西暦2040年の地球は、木星の衛星ガニメデに基地を作った異星人から爆弾攻撃を受け、危機に瀕していました。一発逆転をかけて、特攻隊を編成します。

隊員になるのは、ガニメデからの攻撃を受けて両親を失った、1万人の孤児たち。彼らは異星人と戦うために過酷な訓練に挑みながら、友情や恋を経験していきます。

 

著者
ロバート ブートナー
出版日
2013-10-10

 

アメリカの作家ロバート・ブートナーの「孤児たちの軍隊」シリーズ1作目です。異星人との戦いを一兵士の視点から描いた架空戦記ものになっています。

特攻隊が用いる兵器が、現代の軍事力とほぼ同じなのが特徴。作中では旧時代の装備で宇宙へと向かうのです。そんななかで彼らは友情を育み、時には恋をしながら心身ともに成長していきます。

主人公以外の主要人物がどんどん亡くなっていくので、気を抜く暇はありません。また作者も兵役の経験があるからか、戦いの様子や兵士たちの心理描写がとてもリアルなのが魅力でしょう。その内容に共感したのか、アフガニスタンへ派遣されたアメリカ軍兵士の間で、ボロボロになるまで回し読みされたのだとか。

本作だけでも十分楽しめますが、シリーズは5作目まで続くので、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

100年の冷凍睡眠から目覚めた司令官が艦隊を導く『彷徨える艦隊』

 

時は近未来。人類は、星系同盟と惑星連合という2つの勢力に分裂し、争っていました。

そんななかで、絶体絶命の危機に陥ってしまった星系同盟のジョン・ギアリー。救命ポッドで脱出をはかり、味方に発見されて目覚めると、そこはなんと100年後の世界になっていたのです。戦争は終わるどころか、悪化していました。

しかもギアリーは、過去の戦いが評価されて英雄にまつりあげられており、いきなり艦隊司令官を任されることになってしまいます。その任務は、敵の本拠地に攻め込み大敗した艦隊を、故郷へと連れ戻すこと。しかし周囲は敵に囲まれていて……。

 

著者
ジャック・キャンベル
出版日
2008-10-23

 

アメリカの作家ジャック・キャンベルの架空戦記ものです。

星系同盟は民主主義、惑星連合は独裁制と、2つの勢力がまったく異なる特徴をもっているのがポイント。しかしどちらも兵士たちの統制をうまくとることができず、戦況が悪化していました。さらに100年という長期戦ゆえに心が疲弊し、倫理観は薄くなり、民間人をも殺そうとする勢いです。

敵方との戦いよりも、艦隊の内部事情が重点的に描かれているのが特徴。最大の敵は惑星連合ではなく、味方という状況で、ギアリーがどのようにして指揮をとっていくのかが見どころでしょう。

 

あるべき終戦の形を模索する架空戦記『終戦のローレライ』

 

長く続いた第二次世界大戦も終わりに近づいた1945年。1隻の潜水艦「伊507」が、ドイツから広島の呉軍港に到着しました。

「伊507」には、当時の常識を大きく覆す秘密兵器「ローレライ」が搭載されていましたが、アメリカ軍の追撃を受けたため日本の近海でやむを得ず投機されています。

主人公の新人工作兵、折笠征人は、その潜水能力をかわれ、ローレライを回収するという極秘任務に抜擢。同様に、潜水艇の操縦技術を見込まれて抜擢された清永とともに、海へ出ました。

 

著者
福井 晴敏
出版日
2005-01-14

 

2002年に刊行された福井晴敏の作品です。2005年には映画化もされました。

日本の敗戦色が濃厚ななか、すでに降伏しているドイツから最終兵器が送られてきます。「あるべき終戦の形」を実現するためにローレライを探す征人たち。任務のなかでアメリカ軍との苛烈な戦いをくり広げていくのです。

史実とフィクションをうまく絡ませている架空戦記ですが、歴史の流れを大きく変えることはしていないため、待ち受けている結末はわかっているもの。そんななかで、秘密兵器であるがゆえのローレライの弱点を知ると、胸が締めつけられてしまうでしょう。

兵士として生きるのか、人として生きるのか……最終巻では終戦後も描き、戦争が何をもたらすのか考えさせられる本格的な作品です。

 

南北に分断された日本を描いた架空戦記『征途』

 

1944年のレイテ沖海戦で、連合軍に勝利した日本。しかしその結果終戦が遅れ、北海道の半分をソ連に占領されることになりました。

その後、樺太が首都の「日本民主主義人民共和国」が建国され、日本は南北に分断されます。

大日本帝国軍の頃から代々海軍軍人として務めてきた藤堂一家は、南北分断によって引き裂かれ、それぞれの陣営に属して戦うことになるのです。

著者
佐藤 大輔
出版日

 

1993年に刊行された佐藤大輔の作品。佐藤の長編小説のなかで、唯一完結した作品でもあります。

実際のレイテ沖海戦では連合国が勝利しますが、本作では日本が勝利するという架空戦記もの。1990年代と戦時中という、現在と過去を交互に描きながら進んでいく構成で、最終的には南北日本の統一戦争までが描かれています。

藤堂一家を軸に戦争を見ていくことで、大きな時代のうねりを感じられる壮大な作品です。兵器や戦術についても細かく描写されているのが特徴。リアリティを重視する人にもおすすめできます。

2人の天才が活躍する架空戦記の傑作『銀河英雄伝説』

 

物語の舞台は数千年後の未来。宇宙空間へと進出した人類は、皇帝が支配する独裁国家の「銀河帝国」と、民主主義を掲げる「自由惑星同盟」2つに分かれ、争いを続けていました。

150年もの間抗争を続け膠着状態となっていましたが、それぞれの国家に天才が生まれたことで、事態は動きはじめます。

著者
田中 芳樹
出版日
2007-02-21

 

1982年に刊行された田中芳樹の架空戦記小説。累計発行部数が1500万部を超える大ベストセラーとなりました。

銀河帝国の「常勝の天才」ラインハルトは、姉が皇帝に無理やり嫁がされたことをきっかけに軍人の道へ進んだ人物。やがて帝国の全権を握るようになり、銀河統一を目指して自由惑星同盟との戦いに力を入れるようになります。

一方で自由惑星同盟の「不敗の魔術師」ヤンは、もともと歴史家を目指す青年でした。銀河帝国の完全勝利を阻止したり、無血占領をしたりと、民主主義にもとづいた戦いをしながら無敗を重ねます。

やがて彼らはお互いをライバルと認めあい、直接対決を望むように。2人の主人公がどちらも魅力的で惹き込まれてしまうでしょう。

架空戦記ものの定番!読んでおいて損はない『高い城の男』

 

第二次世界大戦で枢軸国側が勝利を遂げ、アメリカは大日本帝国とドイツによって東西に分割統治されています。

終戦から15年後、圧政に苦しめられている旧アメリカ合衆国民の間で、「イナゴ身重く横たわる」という架空戦記小説がひっそりと流行していました。その内容は、「もしも第二次世界大戦で連合国側が勝利をしていたら」というもので、アメリカ国内では発禁本に指定。作者も身柄を追われていました。

著者
フィリップ・K・ディック
出版日
1984-07-31

 

アメリカの小説家フィリップ・K・ディックの代表作。SF界の最高峰とされる「ヒューゴー賞」の長編小説部門を受賞しています。

第二次世界大戦で連合国側が負けるという架空戦記もので、作中作の「イナゴ身重く横たわる」で連合国側の勝利が描かれるという入れ子状態の構成が斬新。「易経」という占いもキーになり、歴史とは何なのか、真実は作られたものなのかを考えさせられます。

現実と虚構、ものの価値の真贋を問うてくる内容で、読後も強い余韻を残してくる作品でしょう。