「関ヶ原の戦い」を描いた小説おすすめ5選!天下分け目の合戦を物語で読む

更新:2020.1.24

日本の歴史上、避けることができない重要なトピックである「関ヶ原の戦い」。徳川家康と石田三成が天下をかけて戦い、家康が率いる東軍が勝利して江戸時代の幕開けとなりました。戦い自体は1日で終わりましたが、敵味方の関係はそれぞれの思惑が絡みあい複雑。さまざまな解釈をすることができ、多くの文学作品が生まれています。この記事では、「関ヶ原の戦い」を描いたおすすめの小説を紹介していきます。

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関ヶ原の戦いとは。小説になるほど面白い天下分け目の合戦

関ヶ原の戦いは、徳川家康が率いた東軍と、毛利輝元や石田三成を中心とした西軍がくり広げた戦いのこと。1600年9月、現在の岐阜県である美濃国関ヶ原を中心に、全国各地に戦いが普及しました。

その数には諸説あるものの、関ヶ原には両陣営あわせて16万人以上の兵士が終結したそう。非常に規模の大きな戦いでしたが、たった数時間で勝負がついたともいわれています。

また関ヶ原の戦いは、兵士の数や戦法もさることながら、両陣営についた武将たちの行動が結果を変えることになったという特徴があります。東軍と西軍の戦いは各地でおこなわれましたが、どちらの陣営につくか直前まで明らかにしない武将や、寝返ったり裏切ったりした武将も少なくなかったのです。

戦の裏に潜んでいた複雑で壮大な人間ドラマは、多くの創作物のテーマとなり、関ヶ原の戦いを描いた小説も数多く発表されています。

 


 

関ヶ原の戦いについて詳しく知りたい方はコチラ
「関ヶ原の戦いを徹底解説!もっとよく知るための本も紹介」

読んでおきたい、司馬遼太郎が描く関ヶ原の戦い『関ヶ原』

 

幼き後継者である秀頼を残して亡くなった、豊臣秀吉。豊臣政権の五大老のひとりだった徳川家康は、天下統一への野心を露にします。

そんな家康に対し、豊臣政権を守ろうと立ち上がったのが、石田三成です。指導者を失い分裂しかけている豊臣陣営を指揮する光成と、その隙を突こうと画策する家康の巧みな駆け引きがくり広げられます。

 

著者
司馬 遼太郎
出版日
1974-06-24

 

1996年に刊行された司馬遼太郎の作品です。織田信長と斎藤道三を描いた『国盗り物語』、豊臣秀吉を描いた『新太閤記』とあわせて「戦国三部作」と呼ばれています。

本作の特徴は、関ヶ原の戦いにいたるまでの頭脳戦がメインで描かれているところ。上巻・中巻では血は流れず、諸大名たちが心を揺らしながら駆け引きをしていきます。

その中心となるのが、徳川家康と石田三成、そして彼らの側近である本多正信と島左近です。本作では家康がヒール役、三成は不器用ながらも「義」を貫きとおそうとする正統派として描かれます。また、黒田官兵衛など関ヶ原の戦いに参加しなかった武将たちも登場。彼らが参加しなかったことにも多くの意味があるのです。

結末は知っているはずなのに、それでも彼らの心理戦に最後まで没頭できる名作です。

 

多くの武将の想いが交錯する連作短編小説『群雲、関ヶ原へ』

 

「越後の虎」と呼ばれていた上杉謙信の息子、上杉景勝は、豊臣秀吉によって会津へ加増移封されることになりました。

そんな彼をよく思わないのが、徳川家康です。秀吉亡き後にめきめきと力をつけ、関ヶ原の戦いが勃発する数ヶ月前には、会津征伐を計画します。

一方の石田三成は、上杉景勝と手を組んで家康を挟み撃ちしようと狙い……。

 

著者
岳 宏一郎
出版日
2007-09-06

 

1994年に刊行された岳宏一郎のデビュー作。豊臣秀吉が生きていた頃から、関ヶ原の戦いの終結までを描いた、連作短編形式の群像劇になっています。

登場人物は50人超え。特定の主人公をつくらず、それぞれが己の信念に従って動く様子を描くことで、ひとりひとりが歴史を形づくっていたという大きなうねりを感じることができるでしょう。

また彼らが、けっして万能ではないひとりの人間として描かれているのもポイント。腹黒い部分もあるし、計算高い部分もあり、美化されていないのです。関ヶ原の戦い自体は1日で決着がつきましたが、そこにいたるまでに、戦いへ通じる種があちこちに蒔かれていたことがわかるでしょう。

 

関ヶ原の戦い当日を臨場感たっぷりに描いた小説『修羅走る 関ヶ原』

 

関ヶ原での決戦を控えた夜明け前、石田三成率いる西軍のもとへ、小早川秀秋が裏切る気配を見せているという報せが届きます。三成はそれに備え、万全の体制を整えていました。

一方で、豊臣政権の内大臣でありながら、天下を我がものにしようと裏切り行為を続ける徳川家康。親しくしていた福島正則の動向に注目していました。

 

著者
山本 兼一
出版日
2016-01-20

 

2014年に刊行された山本兼一の作品です。関ヶ原の戦いの当日、まさにその1日にスポットをあて、複数の人物の視点から時系列で描いています。

石田三成と徳川家康はもちろん、小早川秀秋、福島正則、宇喜多秀家、大谷吉継、島左近……それぞれどんな思いがあり、何を企んでいたのでしょうか。欲と焦りを抱えた彼らの目線で戦いが描かれるので、臨場感たっぷりです。

あえて前日譚を書かず、関ヶ原の戦いの1日のみを切り取ることで、ドキュメントやルポのようにも読むことができる小説になっています。

 

インタビューで明らかになる、関ヶ原の戦い当時の石田三成『三成の不思議なる条々』

 

時は、関ヶ原の戦いから30年後。江戸幕府第3代将軍である徳川家光の治世です。

日本橋に店を構える町人が、とある人物から「関ヶ原の戦い」と「石田三成」について秘密裏に調査するよう指示されました。

破格の手当て提示され、調査を始めた町人。リストに載っている人物たちから話を聞くため、西へ東へと旅をします。

 

著者
岩井 三四二
出版日
2017-08-08

 

2015年に刊行された岩井三四二の作品です。

物語は、町人が関ヶ原の戦い当時を知るさまざまな人物から話を聞くという、インタビュー形式で進んでいきます。

関ヶ原の戦いによる混乱は、だいぶ落ち着いてきたこの頃、徳川家康が「権現様」と呼ばれる一方で、敗者である石田三成はすっかり悪者扱いされていました。当時、たった20万石の大名だった三成は、なぜ西軍の大将として指揮をとれたのでしょうか。

江戸時代らしい飾らない口語体で、話し手が抱いている三成への印象がダイレクトに伝わってきます。そうして明らかになる三成の人となりは、知れば知るほど魅力的なもの。新しいアプローチで関ヶ原の戦いを知ることができる一冊です。

 

関ヶ原の戦いで活躍した弓の達人を描いた小説『九十三歳の関ヶ原: 弓大将大島光義』

 

関ヶ原の戦いの3ヶ月前に、93歳になった大島光義。

年齢を理由に朝鮮出兵に出陣することができず、悔しさを募らせていた大島は、息子や従者の不安をよそに会津征伐、そして関ヶ原の戦いへと挑みます。

 

著者
近衛 龍春
出版日
2019-02-28

 

2016年に刊行された近衛龍春の作品。驚くようなタイトルですが、大島光義は実在した人物で、実際に93歳で関ヶ原の戦いに出陣したことがわかっています。

戦に鉄砲が使われるようになって久しいですが、あえて弓で挑むのが彼の信条。高齢のため数打つことはできないですが、精度で勝負するという強い意気込みで自己鍛錬を欠かしません。

かつては敵だった織田信長にもその手腕を認められ、弓大将として仕官します。その後も豊臣秀吉、徳川家康と主君を変えながらも、弓の道を究めるため邁進するのです。

彼を後押しするのは、元許嫁との約束。畳の上ではなく戦で死にたい……大島光義の強さと信念に心震える作品です。

 

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