体は1番小さいけれど、1番元気な女の子マドレーヌ。パリの蔦がからまる古いお屋敷で、ミス・クラベルと11人の少女とともに寄宿舎生活をしています。かわいらしい制服と帽子を着た姿に、思わず懐かしいと言ってしまう親御さんも多いのではないでしょうか。この記事では、シリーズのなかから特におすすめしたい作品のあらすじと魅力を紹介していきます。
パリにある、蔦がからまる古い屋敷に、12人の少女とミス・クラベルという先生が一緒に暮らしていました。
そのなかのひとり、マドレーヌは、アメリカ生まれの女の子。体は1番小さいけれど、好奇心旺盛で自由奔放。そして彼女の周りではいつも騒動が起きるのです。
ある日のこと。マドレーヌは盲腸にかかり、入院することになりました。お見舞いに行った少女たちは、おもちゃやキャンディなどでいっぱいの病室と、マドレーヌの手術痕にびっくりして……。
- 著者
- ルドウィッヒ・ベーメルマンス
- 出版日
- 1972-11-10
「マドレーヌちゃん」シリーズは、オーストリア出身の作家ルドウィッヒ・ベーメルマンスの作品。シリーズ1作目の『げんきなマドレーヌ』は1939年に刊行されました。日本では1972年に瀬田貞二の翻訳で発表されています。
ベーメルマンスは、母親から聞いた修道院の寄宿舎生活や、海外旅行中の経験などから、シリーズの構想を浮かべたそう。主人公の名前であるマドレーヌは妻の名からとっていて、性格は妻と娘をイメージしたんだとか。
12人の少女たちはとってもおしゃま。マドレーヌの入院生活を見て、自分たちも盲腸になろうとするのです。子どもらしくかわいい行動が魅力でしょう。
作中では、エッフェル塔をはじめとしたパリの名所もたくさん描かれています。美しい環境ですくすく育つ無垢な少女たちを想像しながら読んでみてください。
12人の少女たちとミス・クラベルは、毎日9時半に散歩に出掛けます。しかしある日の散歩で、マドレーヌが誤って川に落ちてしまいました。
溺れそうになった彼女を助けたのは、1匹の犬。勇敢な犬に感動した少女たちは、寄宿舎に連れて帰ることにします。「ジュヌビエーブ」と名付け、大切にかわいがるのですが、ひとつだけ不安なことがありました。
それは、評議委員の学校検査の日が近づいていること。そして案の定、ジュヌビエーブは評議委員に見つかってしまい……。
- 著者
- ルドウィッヒ・ベーメルマンス
- 出版日
- 1973-05-10
「マドレーヌちゃん」シリーズの2作目。世界的な絵本の賞である「コールデコット賞」を受賞しています。日本では1973年に刊行されました。
本作の見どころのひとつは、評議委員からジュヌビエーヌを守ろうとするマドレーヌの勇敢な姿です。たとえ相手が大人であっても気後れすることなく、椅子の上に立ってはっきり意志を伝えます。「あなたには てんばつが くだりますから!」とキメるシーンは、大人の読者でも胸がすっきりとするのではないでしょうか。
瀬田貞二の翻訳も味わい深いもの。「よいむすめたちの おひんが さがります」など、上品で口に出して言いたくなる表現が、物語を盛りあげています。
マドレーヌたちが住む古い屋敷の隣に、スペイン大使の一家が引っ越してきました。ひとり息子のペピートは、腕白でとんでもないいたずらっ子。マドレーヌたちは何度も手を焼かされます。
ある日、いつものように散歩に出かけたマドレーヌたち。袋を背負ったペピートを見かけます。どうやら犬と猫で鬼ごっこをさせようとしていたようなのですが、思惑が外れて大変なことに……!
- 著者
- ルドウィッヒ・ベーメルマンス
- 出版日
- 1973-05-10
「マドレーヌちゃん」シリーズの3作目。1973年に刊行されました。
本作では、ペピートには何度も困らされているのに、散々な目にあった彼を心配したり、励ましたりする少女たちの優しさが光ります。
また子どもたち全員を見守るミス・クラベルの眼差しも物語をより一層あたたかみのあるものにしているでしょう。
本作をとおしてペピートとマドレーヌは親友となり、続編にも登場。物語にスパイスを与えてくれる、シリーズに欠かせない存在になりますよ。
クリスマスイブの日、寄宿舎ではマドレーヌを除くみんなが風邪を引いて寝込んでいました。ひとり元気なマドレーヌは、看病で大忙しです。
そんな時に寄宿舎の戸を叩いたのは、サンタクロースではなく絨毯商人。きっちり12人分の絨毯を持ってきていて、マドレーヌはすべてを購入します。
しかし絨毯を全部売ってしまった商人は、寒さに耐えられなくなってしまい……。
- 著者
- ルドウィッヒ ベーメルマンス
- 出版日
- 2000-11-01
「マドレーヌちゃん」シリーズの6作目。翻訳は江國香織が担当し、2000年に刊行されました。
絨毯商人の正体は、なんと魔術師。絨毯には魔法がかけられていて、呪文を唱えると空を飛ぶのです。少女たちはみな、絨毯に乗ってそれぞれの家族のもとへと帰っていきます。これまで体験したことのないクリスマスの様子に、読者の子どもたちも惹きこまれること間違いなしでしょう。
本作はベーメルマンスの遺作となっています。彼が残したあたたかな物語を感じてみてください。
ある日、マドレーヌに1通の電報が届きました。ひいおじいさんが亡くなったとのことで、遺言状を公開するからテキサスまで来てほしいと書いてあります。そこでマドレーヌは、ミス・クラベルと少女たちと一緒に、飛行機に乗ってアメリカへ向かいました。
テキサスで待ち構えていたのは、素晴らしい待遇。実はひいおじいさんはびっくりするほどの大金持ちだったのです。
ところが、ミス・クラベルが気付いた時にはマドレーヌの姿がなくなっていて……。
- 著者
- ["ルドウィッヒ ベーメルマンス", "ジョン・ベーメルマンス マルシアーノ"]
- 出版日
- 2004-10-01
「マドレーヌちゃん」シリーズの8作目。ベーメルマンスが未完のまま残していた原稿を、孫のジョン・ベーメルマンス・マルシアーノが完成させました。日本では2004年に刊行されています。
本作では、ベールに包まれていたマドレーヌの素性が明らかに。金の鉱山や油田、牧場、デパートなどの財産をもつ大富豪一家だったのです。いきなり大金持ちになったマドレーヌを見て、ワクワクが止まりません。カウボーイハットをかぶるなど、テキサス仕様になった少女たちの姿もかわいいです。
表題作以外にも、「はくしゃくとくつしょくにん」「サンシャイン」の2編も収録されているので、そちらもあわせて読んでみてください。
マドレーヌとともに「いつもおぎょうぎよくいるために」はどうすればよいかを学ぶ絵本です。
大切なことは、「優しいきもち」です。私たちはひとりっきりで生きることはできないので、家族や友達へのリスペクトは忘れてはいけません。
- 著者
- ジョン・ベーメルマンス マルシアーノ
- 出版日
- 2005-05-01
「マドレーヌちゃん」シリーズの9作目。孫のジョン・ベーメルマンスが手掛けたマナー絵本です。2005年に刊行されました。
誰かに会った時はなんて言う?など、シチュエーションごとに使う言葉が紹介されているのですが、 それだけでなく「にっこり微笑んでこんにちはという」など、気持ちの面にも触れているのがポイントです。
同年代であるマドレーヌたちから教えられれば、小さな読者もすんなりと理解できるはず。どんな人にとっても身近な話題なので、気軽に読んでみてください。