自衛隊が出てくる小説おすすめ6選!恋愛あり、青春あり、有川浩の名作も!

更新:2020.3.6 作成:2020.3.6

戦争放棄、戦力不保持を掲げる日本。自衛隊にはさまざまな制限がかけられていて、自衛隊をテーマにした小説も、特殊な事情があるからこそ描ける事件をとりあげたものが多いのが特徴です。人と人が密に関わるからこそ、青春や恋愛などの人間ドラマが生まれやすいのも魅力でしょう。では、自衛隊が出てくるおすすめの小説を紹介していきます。

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自衛隊が主役のミリタリーサスペンス小説『迎撃せよ』

 

北朝鮮からミサイルが発射された直後、航空自衛隊岐阜基地から、XASM‐3ミサイル4発を搭載したF2戦闘機が略奪される事件が発生。1発が富士の樹海に撃ち込まれます。

官邸には「明日夜24時、日本の主要都市にミサイルを撃ち込む」という犯行予告動画が送られてきました。残りは30時間です。

航空自衛隊員の安濃将文には、テロの首謀者に心当たりがあって……。

著者
福田 和代
出版日
2013-11-22

 

2011年に刊行された福田和代のミリタリー・サスペンス。『潜航せよ』『生還せよ』へ続く、航空自衛隊の安濃将文が活躍するシリーズです。謀略小説が得意な作者の本領が発揮されているといえるでしょう。

主人公の安濃は、任務の重圧に耐えかねて心身に不調をきたす人間臭いタイプ。そんな彼が、テロの首謀者にかつての上司である加賀山の影を感じ、なんとか阻止しようと単独で敵陣に乗り込みます。

現代の日本で実際に起きうる事件や出来事を中心にストーリーが進んでいくのが特徴で、専守防衛の難しさや自衛隊を取り巻く法制度などが詳細に描かれています。ハラハラさせられますが、物語は小気味良く展開していくのでどんどん読み進めることができるでしょう。ミサイル防衛の課題を考えさせられる一冊です。

航空自衛隊の苦悩と空中戦を描いた小説『スクランブル―イーグルは泣いている』

 

ある日、国籍不明機が領空侵犯してきたため、航空自衛隊のF15イーグルはスクランブル=緊急発進して警告をしました。ただ先方は、日本の自衛隊が攻撃できないことを知っているので、沖縄上空を堂々と通過し、去っていきます。

しかしその後、恐れていたテロ行為が現実のものとなり、旅客機が謎の戦闘機に撃墜されてしまうのです。

著者
夏見 正隆
出版日
2008-09-05

 

2008年に刊行された夏見正隆の作品。夏見は「仮想戦記作家」といわれていて、過去や近未来の「if」を描くことを得意としています。

たとえ敵から攻撃されても、反撃をすることのできない日本の自衛隊。領空防衛に当たる航空自衛隊イーグルのパイロットも例外ではありません。その行動は大きく制限されています。目の前で民間機が攻撃されていても手を出すことのできない専守防衛の、無力感と理不尽さを感じる内容です。

また本作は、戦闘機好きにはたまらないマニアックな記述もたっぷり。機体の解説や空中戦のシーンが詳細に描かれているのが魅力です。

自衛隊小説といえば有川浩がやっぱりおすすめ!キュンとできる恋愛を描いた『塩の街』

 

東京湾の埋め立て地に、突如落下してきた巨大な塩の結晶。その正体ははっきりとわかっていませんが、結晶を見た人は感染し塩化して死んでしまいます。街も人間も塩に浸食され、政治も役所も機能せず、東京は崩壊状態になっていました。

そんななか、元航空自衛隊の秋庭は、暴徒に襲われていた女子高生の真奈を助けます。両親は塩害で亡くなったとのことで、秋庭は彼女を保護し、行動を共にすることにしました。

著者
有川 浩
出版日
2010-01-23

 

2004年に刊行された有川浩のデビュー作。『空の中』『海の底』と並ぶ自衛隊3部作のひとつです。

空から巨大な塩の結晶が降ってきて、塩害で人が死んでしまうというSFのような設定。しかし本作で描かれているのは、1組の男女の恋模様です。

元航空自衛隊員で優秀なパイロットだった秋庭に、地球を救うために危険な任務の依頼が舞い込みます。必死に止める真奈と、真奈のために任務を引き受ける決意をする秋庭。大切な人を失いたくないという想いが、結果的に世界を救うことに繋がるのです。

無愛想で一匹狼の秋葉と、健気で聡明な女子高生というカップルにキュンとしてしまう人も多いでしょう。作者自身が「大人のためのライトノベル」と称しているだけあり、重たいテーマと甘い恋のバランスが絶妙な作品になっています。

陸自を経験した作者だからこそ書ける青春人間ドラマ集『歩兵の本領』

 

時は、日本が高度経済成長に沸いていた1970年代。就職先を自由に選べるこの時代に、自衛隊に入る若者がいました。

旧陸軍時代を色濃く残した理不尽で矛盾だらけの自衛隊で奮闘する、新兵たちの悲喜こもごもを描いた青春物語です。

著者
浅田 次郎
出版日
2004-04-15

 

2001年に刊行された浅田次郎の作品。1970年に三島由紀夫が市ヶ谷駐屯地で演説をし、割腹自殺をした事件に衝撃を受けた浅田は、高校卒業後に陸上自衛隊に入隊しました。本作は、その時の経験をもとに書かれたそうです。

本作に登場する自衛官たちは、国を守りたいなどの大きな野望を抱いているわけではありません。ただ何となく入隊してしまい、脱走を試みたり、上官に殺意を抱いたり、借金に悩んだりと生々しさが抜群です。ユーモアたっぷりで笑えるエピソードも多く、心地よく読み進めることができるでしょう。

特殊な環境でもまれる彼らに生まれるのは、強固な仲間意識。かつての自衛隊がどのような組織だったのかを知れるとともに、心に染み入る人間ドラマを堪能できる一冊です。

海上自衛隊のリアルな国家危機シミュレーション『亡国のイージス』

 

最新のイージスシステムを搭載した海上自衛隊の護衛艦「いそかぜ」の幹部メンバーが、北朝鮮の工作員と結託し、日本政府に反旗を翻しました。都民を壊滅できるという特殊細菌弾が、東京に向けられます。

未曾有のテロを止めることができるのは、「いそかぜ」に潜入していた防衛庁工作員の如月行と、先任海曹の仙石恒史の2人だけです。

著者
福井 晴敏
出版日
2002-07-16

 

1999年に刊行された福井晴敏の作品。「日本推理作家協会賞」「日本冒険小説協会大賞」大藪春彦賞」を受賞し、映画化や漫画化で人気が拡大。ミリオンセラーとなっています。

物語は、日本、北朝鮮、そしてアメリカの思惑が交錯し、壮大に展開していきます。しかし舞台となるのはイージス艦内という閉鎖空間で、ヒリヒリとする緊迫感が読者を襲うでしょう。如月と仙石、そして首謀者がそれぞれの使命を胸に、文字どおり命をかけて戦います。

海上自衛隊の装備や隊員たちの人間関係、国際政治などすべてを余すところなく描き切りながら、エンタメ性の高い作品に仕上がっているのがポイント。最後まで興奮状態のまま読むことができるでしょう。

日本の国防を考える自衛隊小説『宣戦布告』

 

福井県の敦賀半島に、北朝鮮の潜水艦が座礁しているのが発見されました。福井県警は、武装した工作員11人が上陸したことを突き止めますが、さまざまな規制に縛られて政府の対応が後手に回ってしまいます。

射殺許可が下りず応戦することもままならないなか、現場にいた特殊急襲部隊、そしてついに民間人からも死傷者が出てしまい……。

著者
麻生 幾
出版日
2001-03-15

 

1998年に刊行された麻生幾の作品です。麻生はジャーナリストとしても活躍していて、政府の危機管理システムの欠陥を指摘するノンフィクションも発表しています。福井県の敦賀には原子力発電所があり、本作ではもしもそんな場所に北朝鮮の工作員が上陸したら……という想定で執筆したフィクションです。

有事の際に政府、警察、そして自衛隊がどのような行動をとるのかが、リアリティをもって描かれているのがポイント。みながそれぞれの正義を主張し、しわ寄せはすべて現場に集中。自衛隊の間には理不尽さへの怒りと恐怖が漂います。

また、実戦経験のない自衛隊員が、果たして生身の人間を相手にした時に銃を構えることができるのかというのも見どころ。日本の危機管理をあらためて考えるきっかけにもなる一冊です。