完全犯罪がテーマのおすすめミステリー小説6選!見破れるか、逃げ切れるか

更新:2020.3.19

完全犯罪をテーマにしたミステリーの醍醐味は、完璧と思われるトリックももちろんですが、犯人側に感情移入できることではないでしょうか。犯行にいたるまでの事情や心情がわかるからこそ、その緊迫感がよりリアルに伝わってきます。この記事では、完全犯罪を描いたおすすめのミステリー小説を紹介していきます。

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完全犯罪を目論むXの愛情に泣けるミステリー小説『容疑者Xの献身』

 

完全犯罪とは、簡単にいうと犯人が見つからず、逮捕することができない犯罪のことです。犯行自体が露見しない、証拠が見つからない、犯行の手口が明らかにならないなどその理由はさまざま。

小説の世界でいえば、完全犯罪を目指す天才的な犯人対、警察や探偵など、追う者と追われる者の攻防が物語を盛りあげるひとつの要素になるでしょう。

東野圭吾の『容疑者Xの献身』では、犯人側に天才数学者の石神がつき、警察側にガリレオこと天才物理学者の湯川がつくことに。2人は大学時代の友人なのですが、アリバイをめぐってデッドヒートをくり広げ……。

著者
東野 圭吾
出版日
2008-08-05

 

2005年に刊行された東野圭吾の作品。「ガリレオ」シリーズの3作目です。「直木賞」と「本格ミステリ大賞」を受賞し、テレビドラマ化や映画化もされました。

元夫・富樫のDVに悩む、靖子と娘の美里。ある日引っ越し先のアパートに元夫がやって来て、口論のすえ2人は富樫を殺してしまうのです。彼女たちの隣の部屋に住んでいた天才数学者の石神は、ひそかに靖子に恋をしていました。物音で事情を察し、母娘を救うため、殺人の隠蔽を持ちかけます。

天才として生まれながらも不遇な人生を送ってきた石神。好きな人ができ、相手のために自ら容疑者になることを選ぶのです。

そんな彼の前に立ちふさがるのが、大学時代の同級生で、天才物理学者の湯川。天才同士のドラマチックな対決は、どんな結末を迎えるのでしょうか。

自分を殺す完全犯罪を計画!着眼点が面白いおすすめミステリー小説『君の望む死に方』

 

余命6ヶ月の宣告を受けた電機会社の社長、日向。社員で幹部候補生の梶間に、「彼を犯人にしない方法で自分のことを殺させよう」と考えます。

一方同じ頃、梶間自身も日向のことを殺そうと考えていました。実は梶間の父親は、かつて日向に殺されていたのです。

著者
石持 浅海
出版日
2011-09-01

 

2005年に刊行された石持浅海の作品です。

保養所で研修をセッティングし、自分が殺される完全犯罪を目指して着々と準備を進める日向。そんなことは露知らず、日向を殺そうと計画をたてる梶間。2人の目指す方向は同じです。ところが、研修のゲストとして招いた碓氷優佳という女性がその思惑に気づき、殺人を阻止しようと邪魔してきます。

まだ何も起きていない状況での攻防で、鋭い推理戦を楽しめるでしょう。果たして、事件は起こるのでしょうか。

完全犯罪の報酬は10億円!痛快なミステリー小説『真夜中のマーチ』

 

イベント会社の社長をしているヨコケン。あぶく銭で豪遊することを人生の目標としている25歳ですが、現状はいつも取り立てに追われています。今日も自らが企画したお見合いパーティーで、荒稼ぎをしようと目論んでいました。

パーティーに参加したミタゾウは、その名前からたびたび三田財閥の御曹司と勘違いされる、ただのサラリーマン。ヨコケンも例に洩れず、彼を使って金儲けをしようと試みました。その計画は頓挫するものの、間抜けな2人が出会ったことで、とある完全犯罪の計画が持ちあがります。

著者
奥田 英朗
出版日
2006-11-01

 

2003年に刊行された奥田英朗の作品です。

ヤクザ絡みの金を強奪しようと計画したヨコケンとミタゾウ。しかし、謎の美女に邪魔をされてしまいました。話してみると、3人はみな同じ年でワケあり。クロチェが自身の父親が美術詐欺をして得る10億円を盗もうと持ちかけ、彼らはチームを組んで完全犯罪を計画するようになるのです。

会話劇を中心に進んでいくストーリーは、疾走感抜群。犯罪を遂行しようとするもさまざまなトラップに引っかかってしまう3人の様子はコミカルで、あっという間に読めてしまうでしょう。

家族思いの少年が計画した、切ない完全犯罪『青の炎』

 

進学校に通う17歳の櫛森秀一。母子家庭ではありますが、母親と妹と3人で明るく暮らしていました。

ところが、10年前に母親が再婚してすぐに別れた、曾根という男が突然現れます。それからというもの生活は一変。曾根は家に居座り、気に入らないことがあると暴力を振るい、母だけでなく妹にまで欲望を剥き出しにします。

そんな曾根に激しい憎しみを抱いた秀一は、密かに完全犯罪を計画するのです。

著者
貴志 祐介
出版日
2002-10-25

 

1999年に刊行された貴志祐介の作品。映画化もされました。

周囲の大人は話を聞いてくれない、警察も頼りにならない、だったら自分が殺すしかない。しかし自分が逮捕されたら母親と妹に迷惑がかかってしまう……秀一は、家族3人の日常を守るために、綿密な殺害計画を立てていきます。

秀一の心情が非常に細かく描かれていて、怒りや葛藤、孤独、そして悔恨などが読者の胸にひしひしと迫ってくるでしょう。大切な人を守るために17歳の少年が犯した覚悟が切なく、涙なしには読めない名作です。

4人のパート主婦が完全犯罪を企てる『OUT』

 

深夜の弁当工場で働く雅子、ヨシエ、邦子、弥生の4人。それぞれ家庭崩壊寸前の事情を抱えています。

ある日のこと、弥生は、家の貯金をギャンブルで使い果たしたうえに暴力を振るう夫に腹を立て、勢いで殺害してしまいました。

これを聞いた残りの3人は、仲間の窮地を救おうと協力。死体をバラバラにし、分散して捨てることで、犯罪そのものを隠蔽しようと企みます。

著者
桐野 夏生
出版日
2002-06-14

 

1997年に刊行された桐野夏生の作品。「日本推理作家協会賞」を受賞し、テレビドラマ化や映画化もされました。2004年にはアメリカの「エドガー賞」長編賞に日本人で初めて選ばれるなど、海外でも高く評価されています。

不思議な絆で結ばれたパート仲間4人。完全犯罪を目指すものの、すぐに綻びが見えてしまいます。もともとこんな生活から逃げ出したいと思っていた彼女たちですが、日常生活はさらに転落。そこに暴力団やチンピラがたちが絡んできて、事態はどんどん悪くなっていくのです。

1度道を外してしまった人は、どこまで落ちていくのか。悦妙なキャラクター設定と、多重債務や低賃金労働などの社会問題も絡めたストーリー展開が圧巻な一冊です。

完全犯罪には1%足りない?復讐を描いたおすすめミステリー小説『99%の誘拐』

 

1968年。イコマ電子の社長令息である生駒慎吾が誘拐される事件が起こりました。犯人から要求された身代金は5000万円。それは、当時傾いていた会社の経営を立てなおすために、父親である生駒社長が捻出していた金額と同じものでした。

それから19年。慎吾は、事件後すぐに病で亡くなった父親の手記を発見します。そして自分が誘拐された理由を知り、父親の人生を奪った者に復讐をしようと決意するのです。

著者
岡嶋 二人
出版日
2004-06-15

 

1988年に刊行された岡嶋二人の作品。「吉川英治文学新人賞」を受賞しています。

時を隔てた2つの誘拐事件が描かれるのですが、慎吾は最初の誘拐事件では被害者として、2つ目の誘拐事件では加害者として登場します。父親を思い、たったひとりで完全犯罪を企てる慎吾。その姿は、かつて誘拐された息子を助けるためにひとりで駆けずりまわった社長の姿と重なります。

トリックに使われるのは、刊行当時ハイテクといわれていたコンピューター。謎解きの過程には思わずうなってしまい、古臭さは感じません。慎吾は完全犯罪を成立させて、復讐を成し遂げることができるのか、見届けてください。

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