「ハリー・ポッター」シリーズで世界的に有名になった作家J.K.ローリング。シリーズが完結した後も精力的に活動し、私たちに夢を与え続けてくれています。この記事では、そんな彼女の名言や、おすすめの本を紹介していきます。
1965年にイギリスで生まれたJ.K.ローリング。本名は、ジョアン・ローリングといいます。
幼少期から物語を書くのが好きで、すでに少女時代には国語の先生が一目置くほどだったそうです。大学ではフランス語と古典を学び、卒業した後はロンドンのアムネスティ・インターナショナルで秘書として働きました。
ハリー・ポッターのアイディアが受かんだのは、ちょうどこの頃。マンチェスターからロンドンへ、およそ4時間かけて帰る列車の中でした。登場人物や学校の雰囲気など、家に帰ってからもノートに書きつけていったそうです。
しかし直後に病で母親を亡くし、付き合っていた男性との関係もうまくいかず、当時はまだハリー・ポッターが世に出ることはありませんでした。
1992年、27歳の時に、移住先のポルトガルにて結婚。1度目の妊娠は流産となりましたが、2度目の妊娠で長女を出産します。しかしその生活は長く続かず、翌年には長女を連れてスコットランドへ。生活保護を受けるほど困窮するなか、子育てをしながら執筆活動に専念することを決意するのです。
1作目『ハリー・ポッターと賢者の石』の原稿は多くの出版社に持ち込まれましたが、なかなか契約にはいたりません。13社目となるブルームズベリー出版社で1997年に刊行。瞬く間に注目を集めて増刷となり、シリーズは世界中で翻訳出版され、J.K.ローリングの名も世界中に知れ渡ることになりました。
離婚や貧困などの苦境にあっても、作家になる夢を諦めることがなかったJ.K.ローリング。前に進み続ける精神は、彼女が発するメッセージからも知ることができます。名言といわれているいくつかの言葉を紹介しましょう。
「世界を変えるのに魔法は必要ありません。なぜなら、私たちは、すでによりよい世界を想像する力を持っているからです。世界を変えるために必要なのはこれだけです」(2008年:ハーバード大学卒業式のスピーチより引用)
「この地球上で人間だけは、他の生物と違って、経験せずに学んだり理解することができます。他人の立場で考えることができるのです。これはひとつの能力であり、ハリーポッターの小説に出てくる魔法と同様、良くも悪くも使えます」(2008年:ハーバード大学卒業式のスピーチより引用)
「あなたのまだ知らない素晴らしいものが、世界にはたくさん存在している。それを見るチャンスを、どうか諦めないで」(2015年:Twitterより引用)
「その人の真の価値観を知りたければ、その人が自分と同等の人ではなく、自分より劣った人にどう接するかをよく見なさい」(2014年:「Business Insider」より引用)
幼い頃に両親を亡くした少年ハリー・ポッターは、親戚の家に身を寄せ、肩身の狭い生活を強いられていました。
11歳の誕生日が近づいた頃、ホグワーツ魔法魔術学校から入学許可証を届きます。さらにハグリッドという学校の森番から、両親が知んだ経緯や、自分が魔法使いであることを教えられ、ハリーはホグワーツへの入学を決意するのです。
学校生活を送るうち、純血の魔法使いロン・ウィーズリーや優等生のハーマイオニー・グレンジャーなど、同級生たちとの信頼を深めていきました。そんななか、魔法薬学の教授をしているセブルス・スネイプが、何かを盗もうとしていることに気付きます。ハグリッドに相談しても取りあってもらえずにいましたが、スネイプの狙いが「賢者の石」であることを突き止め……。
- 著者
- J.K.ローリング
- 出版日
- 2019-11-26
J.K.ローリングの代表作ともいえる「ハリー・ポッター」シリーズの1作目。世界でもっとも売れた児童書シリーズとしてギネス世界記録にも認定されています。イギリスでは1997年に、日本では1999年に刊行されました。
作品の世界観を丹念に作り込み、登場人物のバックボーンを詳細に描いたうえで、物語上の謎解きを進めるのがJ.K.ローリングの得意とするところ。「ハリー・ポッター」シリーズでも、学校生活やハリーをはじめとする登場人物たちの生い立ちが丁寧に描かれています。
物語の展開も気になりますが、シリーズをとおして成長していくハリーたちの人間関係からも目が離せません。J.K.ローリングの紛れもない代表作なので、ぜひ読んでみてください。
ハリー・ポッターが活躍した時代の70年ほど前のこと。魔法生物学者のニュート・スキャマンダーは、珍しい魔法動物を探す世界一周の旅を終えて、アメリカに立ち寄りました。
彼のトランクには、たくさんの魔法動物が詰め込まれています。ところがトランクを取り違えるハプニングが起こり、魔法動物たちが街に放たれてしまうのです。
その顛末を見ていたのが、魔法使いだったティナ。ニュートは、ティナとその妹、そして取り違えたトランクの持ち主ジェイコブと、逃げた魔法動物たちを探し始めます。
- 著者
- J.K.ローリング
- 出版日
- 2017-03-16
「ハリー・ポッター」シリーズと同じ世界が舞台となり、若かりし頃のキャラクターも登場する映画「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」。2016年に公開されました。本作はその脚本を書籍化したもの。2017年に刊行されています。
主人公は、ハリーたちの教材の著者でもある、魔法学者のニュート・スキャマンダーです。少年少女が活躍する「ハリー・ポッター」シリーズとは異なり、大人が活躍する物語。目が離せないのが、個性豊かな魔法動物たちでしょう。とっても自由奔放で、作品を華やかに演出していきます。
純粋でひょうきんな性格をしたジェイコブも秀逸。彼は「マグル」と呼ばれる魔法の能力を持たない半純血種なのですが、魔法動物を回収するために魔法をどんどん使うニュートたちを見て、素直に驚き呆気に取られる様子が面白く、共感できる存在です。
イギリスの小さな田舎町で、40代の評議委員バリー・フェアブラザーが突然死しました。
町には「フィールズ」という、麻薬中毒患者や経済的に恵まれない人々が多く住む地区があり、バリーは長年支援をしていたそう。彼の死で評議委員の補欠選挙をおこなうことになり、町はフィールズの支援賛成派と反対派に分裂します。
一方で、16歳のクリスタルは、麻薬中毒の母親を更生させたいと思っていました。ところが反対に麻薬のディーラーにレイプされてしまうのです。心機一転、新しい土地で暮らすことを考えますが……。
- 著者
- J.K・ローリング
- 出版日
- 2014-02-14
2012年に刊行された本書は、J.K.ローリングの初めての大人向け小説として注目を集めました。
貧困、麻薬、売春、レイプ、虐待など、取り上げられているのはどれもイギリスの社会問題です。小さな田舎町にありがちな複雑な人間関係やエゴも赤裸々に描かれているのが魅力でしょう。
次々と起きる個々の事象が、やがて繋がり大きな奔流へとなっていく展開で、読みだしたら止まらなくなってしまうはず。J.K.ローリングの洞察力や豊富なアイディアを堪能できる一冊です。
モデルをしていた妹の転落死を、警察が自殺と断定したことに疑問をもった兄。私立探偵のコーモラン・ストライクを尋ねます。
ストライクは退役軍人で、テロで片脚を失っている人物。借金を抱え恋人も失うなか、このヤマを当てればまともな生活にありつけるのではないかと、派遣秘書のロビンと調査を始めました。
複雑なモデルの世界や、ストライクが義足となった経緯などが徐々に明かされ、完全犯罪に見えた事件が紐解かれていきます。
- 著者
- ロバート・ガルブレイス
- 出版日
- 2014-06-27
2013年に刊行された私立探偵「コーモラン・ストライク」シリーズの1作目。新人作家ロバート・ガルブレイスのデビュー作といわれていましたが、その正体がJ.K.ローリングであることが判明し、話題となりました。
本書のキーマンは、派遣秘書のロビンです。仕事もテキパキとこなし、女性らしい優しさや可愛らしさも持ちあわた才色兼備の彼女が、だらしのない私立探偵をサポートし、大活躍へと導きます。ストライクとの会話も小気味よく、ファンになる読者も多いでしょう。
新人とは思えない完成度に刊行当初から作者の噂が飛び交った作品。J.K.ローリングがどのような想いで別のペンネームで発表したのか、想像しながら読んでみてはいかがでしょうか。