文芸

スチームパンク小説おすすめ5選!定義や定番のファッションも紹介!

更新:2020.11.25 作成:2020.4.9

ファッションやイラストにも取り入れられる「スチームパンク」。どこかダークでアンティークな世界観が人気で、小説においてはSFのなかの一ジャンルとされています。設定が緻密に練られていて読み込みがいがあるので、1度ハマると抜け出せない読者も多いんだとか。この記事では、スチームパンク小説のなかから特におすすめの作品を紹介していきます。

スチームパンクの魅力とは。定義や設定、定番のファッションなどを紹介

SFのジャンルのひとつである「スチームパンク(Steampunk)」。もともとは「サイバーパンク」から派生したサブジャンルだといわれていて、蒸気機関が著しい発展を遂げた世界を舞台に物語がくり広げられます。

時代背景としては、産業革命から第一次世界大戦前後がメイン。拳銃が描かれることも少なくありません。モチーフとして「歯車」「ゴーグル」「飛行船」が使われることが多いのが特徴です。

近年では、スチームパンクを取り入れたファッションや、大規模なイベントなども開かれ、世界的な人気を集めています。

定番のファッションは、ヴィクトリア朝時代を彷彿とさせるアンティーク調のコスチューム。レザーやレースで装飾された格調高いデザインを好む人が多く、コルセットに手袋、時計、シルクハットなどのアイテムと組み合わせて楽しむ人が多いようです。また蒸気機関が発生させる煙やガスにも着目し、ガスマスクやペストマスクもよく見かけます。

このように、どこかダークファンタジーの雰囲気を醸し出しているスチームパンク。小説になった時も、独自の世界観を作り上げていて、コアなファンがたくさんいます。

スチームパンクの代表作『ディファレンス・エンジン』

物語の舞台は、蒸気機関が発達し産業革命が進む、19世紀のロンドン。

革命家の父をもつシビル・ジェラードは、ある人からパリで冒険家にならないかと誘われます。仕事を手伝う代わりに新たな人生を保証するというその申し出を受けようとした時、ある事件に巻き込まれてしまいました。

一方で、古生物学者のエドワード・マロリーは、暴君に絡まれていた女性エイダ・バイロンを助けます。エイダはマロリーにとある箱を渡し、その場を立ち去ったのですが、マロリーは箱をめぐる国際的な陰謀に巻き込まれることになってしまい……。

シビルとマロリーの2人は無事に生きることができるのでしょうか。

著者
["ウィリアム・ギブスン", "ブルース・スターリング"]
出版日

1990年に刊行された、アメリカの作家ウィリアム・ギブスンと、ブルース・スターリングの共作。2人ともサイバーパンクやスチームパンクが流行するきっかけとなった作家です。

物語の舞台は、イギリスの発明家チャールズ・バベッジが、もしも「差分機関=ディファレンス・エンジン」を完成させていたらというifの世界。史実をもとにした歴史改変小説で、実在した人物も多数登場します。

本作の魅力は、なんといってもその世界観。産業革命時の悪臭がただようロンドンの街で、テロリストが暗躍し、シビルとマロリーそれぞれが事件に巻き込まれるさまはスリル満点です。

イギリスの歴史を隅々まで研究したうえで、ありそうでなかったスチームパンクの世界が描かれているので、歴史好きの方も楽しめるでしょう。

ダークファンタジー好きにおすすめの小説『ペルディード・ストリート・ステーション』

巨大都市国家ニュー・クロブゾンで暮らすアイザック。大学の教授職を辞めて、科学者として自らの研究に没頭していました。

そんな彼のもとへ、ある日、翼を失った鳥人族の青年ヤガレクが訪れます。彼は莫大な財産と引き換えに翼を復活させてほしいと、アイザックを頼ってきたのでした。

飛翔の研究を始めたアイザックは、その一環としてある幼虫を手に入れます。それは驚くべき速さで成長し、夢蛾スレイク・モスとなり、夜空へ羽ばたいていきました。しかしスレイク・モスは、都市に大災害を招くことになってしまうのです。

スレイク・モスを逃がしたことから、政府と闇の組織から追われる身となったアイザック。ヤガレクとともに、モスを追って駆け巡ります。

著者
チャイナ・ミエヴィル
出版日
2009-06-25

2000年に刊行された、イギリスの作家チャイナ・ミエヴィルの作品。「アーサー・C・クラーク賞」や「英国幻想文学大賞」を受賞しています。

本作の舞台である都市国家は、蒸気機関と魔術学が統一する世界のなかでも、最大のもの。人間だけでなく、鳥人や両生類人、その他の知的生命体が共存しています。読み進めるうちに都市の全体像が明らかになり、細部にまでこだわった設定にも心躍るでしょう。

特にスレイク・モスが羽化するシーンは、恐怖と期待が入り混じり、ややグロテスクでもあり、ダークファンタジー好きにはたまりません。

さまざまな事件が絡みあうストーリーと同様に、スチームパンク、異世界、異種族など多くの要素を楽しめる一冊です。

映画化もされた、スチームパンク冒険小説『移動都市』

物語の舞台は、戦争によって文明が荒廃した地球。武骨で重厚な機械仕掛けの移動都市が、他の都市を襲う共食いがくり返されていました。

主人公は、そんな移動都市ロンドンに住む空想好きの少年トム・ナッツワーシー。都市の最下層部にある、襲われた都市が分解される場所で働いています。

トムはある日、へスター・ショウという、顔にひどい傷跡がある暗殺者の少女と出会いました。警官に追われる彼女を体を張って守りますが、へスターは彼に都市の秘密を言い残し、荒野へ逃亡。そしてトムもまた、都市の外へ放り出されてしまい……。

著者
フィリップ・リーヴ
出版日
2006-09-30

2001年に刊行された、イギリスの作家フィリップ・リーヴの作品。2018年には映画化もされました。

空には飛行船が飛び、大地では機械化された移動する都市が争い、冒険家や海賊が活躍するというスチームパンクの世界。夢見がちな少年と暗い過去をもった少女が、都市の秘密を探る冒険ファンタジー小説です。

トムとへスターは、裏切りや、憧れの人への失望など、過酷な体験をしながらも現実に立ち向かっていきます。続編が4巻まで出ているので、ぜひシリーズでお楽しみください。

伊藤計劃が遺した最後のスチームパンク小説『屍者の帝国』

ヴィクター・フランケンシュタインによって屍体蘇生術が普及した、19世紀末のロンドン。世界の産業は、屍者が支えています。

ある日ロンドン大学に通う医学生のワトソンは、指導教官の紹介で、政府の諜報機関「ウォルシンガム機関」の指揮官である「M」と面会することになりました。ロシア軍を脱走し、屍兵部隊とともにアフガニスタンに「屍者の王国」を築いたとされる男の調査を任されることになります。

旅を記録する屍者フライデー、ロシアの眺望員クラソートキン、謎の美女ハダリーなどとともに、王国を築き新型の屍者を開発したというカラマーゾフを追っていくのです。

著者
["伊藤 計劃", "円城 塔"]
出版日
2014-11-06

2012年に刊行された伊藤計劃の作品。デビューからわずか2年で早逝した伊藤が最後に書き残したもので、生前に親交の深かった円城塔が完成させました。

死んだ人間を生き返らせる技術ができた世界。アフガニスタンでカラマーゾフと出会ったワトソンは、今度はかつてヴィクターが造った最初の屍者「ザ・ワン」と、蘇生技術の秘密が書かれた「ヴィクターの手記」を追うことになるのです。

物語は、生命とは何かという究極の問いを読者に投げかけながら進んでいきます。ただテーマは重たいものの、ワトソンたちの冒険は軽快。最後の衝撃の結末まで、一気読みできる作品です。

スチームパンクとミステリーが融合した小説『スチームオペラ』

蒸気を動力源とした科学都市で暮らす、女学生エマ・ハートリー。進路に頭を悩ませていました。

ある日、空中船「極光号」の船長である父親が長旅から帰還するとのことで、迎えに行ったところ、宇宙船に乗っていたという不思議な少年ユージンに出会います。ひょんなことから、彼とともに名探偵バルサック・ムーリエに弟子入りすることになってしまいました。

それからエマは都市で起きる奇妙な事件に関わることになっていくのです。

著者
芦辺 拓
出版日
2016-04-28

2012年に刊行された芦辺拓の作品。ミステリーとスチームパンクが融合した世界観が魅力です。

主人公のエマは、名探偵に憧れているという少し変わった女の子。そんな彼女が謎に包まれたユージンとともに奇妙な事件を調査していく展開が魅力です。

密室で顔をつぶされた科学者、どこからともなく飛んできたナイフによる殺人事件、ライバル少女の誘拐、さらには宇宙全体の謎まで……壮大な謎解きを楽しめる一冊です。