パロディ小説おすすめ6選!ただのパクリじゃない愛に溢れた作品たち

更新:2021.11.22

原作をリスペクトしたうえで、新たな物語を創造するパロディ小説。古典を現代風にアレンジしたり、脇役の視点から当時を振り返ったりと、単なるパクリというにはもったいないほど面白いものがそろっています。この記事では、原作とともに読んでおきたいおすすめの作品を紹介していきます。

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ベストセラーになったおすすめパロディ小説『高慢と偏見とゾンビ』

 

物語の舞台は、18世紀のイギリス。田舎町に暮らすベネット家では、5人の姉妹が立派な戦士を目指して日々カンフーの鍛錬をしていました。

ある日、彼女たちのもとに、資産家のビングリーとその友人のダーシーが訪れます。その後に開かれた舞踏会で、長女のジェーンとビングリーはいい雰囲気に。一方次女のエリザベスは、態度の悪いダーシーに嫌悪感を抱いています。

新しい出会いと豪華な食事を、思い思いに楽しむ参加者たち。そこに突如、ゾンビの大群が襲い掛かるのです。

著者
["ジェイン・オースティン", "セス・グレアム=スミス", "安原 和見"]
出版日

 

ジェーン・オースティンの『高慢と偏見』にゾンビという要素を加えたパロディ小説。小説家や脚本家として活躍するセス・グレアム=スミスが2009年に発表し、ベストセラーとなりました。2016年には映画化もされています。

原作での姉妹は、それぞれが恋のドラマをくり広げていましたが、本作では恋をしながらゾンビを撃退するための戦士として激しい戦いに身を投じます。美しい淑女たちが勇敢に戦う姿が魅力的です。

ゾンビは登場するものの、ストーリーはあくまで原作に沿って展開しているので、トンデモ本ではありません。勢いがあって最後まで一気読みできる作品です。

あの名探偵と世界的怪盗が火花を散らすパロディ小説『ルパン対ホームズ』

 

イギリスの探偵シャーロック・ホームズをもとにしたキャラクター、エルロック・ショルメと、フランスの怪盗アルセーヌ・ルパンが対決する作品集です。

ルパンに関わりのある金髪女性たちの周りで、次々と異変が起きていました。なかでも高級な宝石を盗まれたクローゾン夫人は、名探偵のショルメを呼び寄せて事件の解決を図ります。

著者
["ルブラン,モーリス", "洋一郎, 南", "Leblanc,Maurice"]
出版日

 

怪盗アルセーヌ・ルパンの生みの親であるモーリス・ルブランのパロディ小説。アーサー・コナン・ドイルが生んだ探偵シャーロック・ホームズとの、夢の対決の物語です。1908年に刊行されました。

最大のライバルともいえるショルメとルパン。2人の対決シーンは派手な演出もあり、騙し騙されの攻防は見ごたえがあります。

またワトソンやガニマール警部などおなじみのキャラクターも登場。ルパンの作者がホームズをどのような解釈で描くのか、お楽しみください。

ブラックユーモアにあふれた筒井康隆の自選短編集『日本以外全部沈没』

 

地形が変化したことで、日本以外のすべての国が沈没してしまった地球。各国の政治家やセレブたちがこぞって日本にやって来て、取り入ろうとあの手この手で媚びを売っていました。

以前の生活では豪遊を楽しんでいた著名人も、いまや円高の影響で貧しい暮らしを強いられています。

著者
筒井 康隆
出版日

 

小松左京の小説『日本沈没』のパロディをはじめ13編のパロディ小説をまとめた、筒井康隆の自選短編集です。1974年に刊行されました。

世界の頂点になった日本と日本国民。外国人たちは、避けることのできない死の恐怖におびえています。日本に頼らずに暮らせる場所は、高い山の上か、治安の悪い場所だけ……。そんな状況で日本人は、彼らに非さんな生活を突きつけるのです。

元ネタを知っていたほうが理解が深まる物語が多いですが、ブラックセンスとギャグ、そしてユーモアが満載なので本作だけでも十分楽しめるでしょう。

近代文学をパロディしたおすすめ短編集『新釈 走れメロス』

 

近代文学の名作が現代を舞台に蘇る短編集です。

表題作の「走れメロス」は、京都に住む大学生が主人公。学園祭のフィナーレに「ブリーフ一丁で踊る」という罰ゲームを用意された彼は、友人を身代わりにして全速力で逃げ回ります。

「山月記」の主人公は、家にこもって小説を書き続ける大学生。かつての麻雀仲間との再会を描きます。

著者
森見 登美彦
出版日
2009-10-15

 

「山本周五郎賞」や「日本SF大賞」を受賞した森見登美彦が、近代文学をパロディし現代風に解釈しなおしたた短編集です。2007年に刊行されました。

収録されているのは「走れメロス」「桜の森の満開の下」「山月記」「藪の中」「百物語」の5作。いずれも京都の町を舞台にしています。

要所で原作と同じ表現を用いていて、文学好きであればたまらないはず。あたかもこれが本物だといわんばかりの文章から、作者の手腕がうかがえるでしょう。

夏目漱石の『坊っちゃん』にさらなる広がりを見せたパロディ小説『うらなり』

 

坊っちゃんが通う学校で英語教師をしていた「うらなり」は、お人好しながら消極的な人物。

マドンナと呼ばれる婚約者がいましたが、校長や、赤シャツと呼ばれる教頭など意地の悪い教師たちにはめられて、九州に転勤することになってしまいました。マドンナとの婚約は破棄、彼女はなんと赤シャツと交際することになるのです。

それから何十年もの時が過ぎ、退職をしたうらなり。東京で元生徒の堀田と再会し、思い出を振り返ります。

著者
小林 信彦
出版日
2009-11-10

 

夏目漱石の名作『坊っちゃん』をもとにした小林信彦のパロディ小説。2006年に刊行されました。

原作では目立つ存在ではなかった英語教師に焦点をあて、老いた彼の視点で当時を振り返ります。本文中に時折出てくる戸惑いや苛立ちなどの感情は、原作では描かれなかった、うらなりの人間としての個性です。

また彼から見た当時の坊っちゃんの印象なども興味深いところ。単純にオマージュするのではなく、原作にさらなる広がりを見せてくれる作品です。

4人の名探偵が難題に挑むおすすめパロディ小説『名探偵なんか怖くない』

 

大富豪の佐藤大造が、エラリー・クイーン、エルキュール・ポワロ、メグレ元警部、明智小五郎の4人を集めます。世界的に有名な名探偵たちに、未解決になっている3億円事件の謎を解明する難題を出しました。

まずは、事件を本格的に再現します。大造の部下である神崎五郎が犯人役となり、探偵たちが推理したとおりの展開がくり広げられると思いきや、想定外の殺人事件が起こってしまい……。

著者
西村 京太郎
出版日
2006-07-12

 

ミステリー小説「十津川警部」シリーズで知られる西村京太郎のパロディ小説。1971年に刊行されました。

名探偵の4人が、実際に起こった3億円事件を検証していきます。見どころはやはり、彼らの抜群の推理力。伏線となる各種の発言、トリック、そして驚きの犯人像と、本格ミステリーを楽しめます。4人のお国柄や性格がはっきりと書き分けられているのも面白いでしょう。

彼らが解決してきた過去の代表的事件についても随所で語られているので、ネタバレには注意してください。

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