3 位・食べ物への愛を語る魅力的な食エッセイ 『今日もごちそうさまでした』
様々な食材をテーマに、食に関するエピソードが語られている『今日もごちそうさまでした』。ほぼ一日中、次の食事について考えているという角田光代は、小説の中でも美味しそうな料理をたくさん登場させています。このエッセイでは、角田の食べ物に対する愛が面白く魅力的な文章で表現されています。
角田光代は元々かなりの偏食だったらしく、食べられない食材がたくさんあったようですが、これがチャレンジしてみると意外と食べられる!ということに気づきます。新しい食材を開拓し、自身を“面倒くさがり”と言いながらも、果敢に料理に挑戦する姿はとてもたくましく感じます。登場する料理は、とても美味しそうに書かれているので、ついお腹が空いてしまうでしょう。好きな食べ物がどんどん増えていくのは、とても素敵なことですね。
可笑しくて吹き出してしまうような面白いエピソードを読みながら、食べるという行為がどんなに大切なことなのかを実感することができます。「美味しいものを食べながら、人は怒ることができない」という言葉には深く共感し、同時に自分の食べ物に関する記憶を呼び起こすことができます。
独特の視点で食べ物への愛が綴られ、楽しく食について学ぶことができる、魅力的な食エッセイです。実用的なレシピも紹介されているので、お料理好きの方は参考にしてみてはいかがでしょうか。
2位・世界中を旅する角田光代の旅エッセイ 『世界中で迷子になって』
旅好きの角田光代が、世界中を旅する様子と、買い物について綴った『世界中で迷子になって』。センスの良いタイトルが、とても目を引きますね。思い立ったらすぐに旅に出てしまうその行動力と、行動範囲の広さに驚かされるエッセイです。
大人になり、世界は広いということに気づいてから、世界中を旅するようになったという角田光代。20代の頃は無茶な旅もしたらしく、何かを見なければ、良い旅にしなければと必死で余裕がなかったと語ります。30代に入りお金と時間に余裕が出来てからは、旅の楽しみ方の幅が広がったようですが、20代には20代の、30代には30代の旅の楽しみ方があるのだと言います。
反面、買い物となるととても慎重。欲しいと思っても、実際に購入するまでに心の中でいろいろと葛藤をしている様子には、とても共感を覚えます。心の中でなぜか、買ういい訳をあれこれ考えている場面では、思わず笑みがこぼれるでしょう。
世界は広いとは知りながらも実際にはなかなか踏み出すのが難しいものですが、下調べも程々にすぐに世界のあちこちへと飛び立って行く彼女の姿には、とても勇気付けられます。失敗やハプニングも多々あり、決して優雅とは言えませんが、自分で考え行動し、多くのことを吸収していく様子には、やはりたくましさを感じます。
世界中の情景が、手に取るように伝わってくる風景描写もとても魅力的です。読めばあなたも旅に出たくなるかもしれません。
1位・愛猫との日常を綴った心温まるエッセイ 『今日も一日きみを見てた』
角田光代が、初めて飼うことになった猫との、愛おしい日々を綴ったエッセイ『今日も一日きみを見てた』。とにかく飼い猫のトトが可愛いらしく、微笑ましい生活に心が温かくなるエッセイになっています。
漫画家の西原理恵子から譲り受けた、というトト。猫を飼うことはまったく頭になかったそうで、買い始めた当初の角田は、初めてのことにあたふたとしていました。猫にもいろいろと性格があるようで、トトはとてもおとなしく、ちょっと鈍臭いところがとても魅力的です。淡々と飼い猫について綴っているだけなのですが、至る所に愛を感じ、トトの魅力が手に取るように伝わってくるので、猫好きにはたまらないでしょう。
ただトトを溺愛しているだけではなく、トトと出会う前と出会った後とでは、自分はどう変わったのかを冷静に分析しています。40代になり、精神的にも落ち込んでいた時期に、トトが訪れた意味について考え、「この生きものに助けられた。いや、今も助けられている」という言葉には、目には見えない絆のようなものを感じます。
猫の魅力がわかりやすく表現され、猫が好きな方にはもちろんおすすめしたい1冊。猫の魅力がわからないという方が読めば、なぜ多くの人から可愛がられているのか、理解できることでしょう。愛する生きものと暮らすという幸福な時間を、濃密に綴った、心優しくなれるエッセイです。