道徳教育におすすめの絵本6選!人の気持ちや人権を考える、心に残る作品

更新:2020.6.16 作成:2020.6.16

道徳が教科となり、教科書にも多くの物語が掲載されるようになりました。優しい豊かな気持ちを育む情操教育に、絵本への期待も高まります。この記事では、ぜひ子どもに読ませたいおすすめの道徳絵本を紹介していきます。

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心にゆとりを取り戻せるおすすめ道徳絵本『はやくはやくっていわないで』

 

広い広い海を、船くんがマイペースに進んでいきます。魚たちや他の船と出会うたびに、緊張したり、圧倒されてしまったり……そのたびに船くんは、ぽつりと呟きます。

「どうしていそぐ」
「くらべられると どきどきする どきどきするとどうなるの」(『はやくはやくっていわないで』より引用)

著者
["益田ミリ", "平澤一平"]
出版日

 

「すーちゃん」シリーズやエッセイなどで人気の増田ミリの詩に、平澤一平が力強い絵をあわせた絵本です。2010年に刊行され、「産経児童出版文化賞」を受賞しました。

「はやくはやく」とつい言ってしまったり、反対に言われて焦ってしまうことってありますよね。時間の感覚が早まっている、時代を象徴しているような一言です。船くんの呟きの数々は、子どもだけでなく大人の心もハッとさせくれるのではないでしょうか。

最後のシーンで交わされる「まっててくれる?まってるよ」という掛けあいに、穏やかな心地良さを覚えます。みんな違ってよい、ひとりひとりの違いを受け入れることの大切さをそっと教えてくれる作品です。

いろいろな立場の気持ちを想像できる道徳絵本『きもち』

 

公園でおもちゃを取りあげる男の子。勝ち誇った表情が大きく描かれています。一方で、取られてしまった男の子は橋の上に小さくたたずみ、今にも泣き出しそう。2人はそれぞれどんな気持ちでしょうか?

1日を過ごすなかで、いろいろな出来事があり、いろいろな感情が生まれます。一瞬だけ心を通り抜けるものあれば、ずっと心に留まっているものも。さまざまなケースが淡々と表現され、ひとりひとりの気持ちの深さや、気づいていない感情が想像できる内容です。

著者
["谷川 俊太郎", "長 新太"]
出版日

 

多くの名作を生み出してきた谷川俊太郎と、独自の世界観をもつ長新太の「想像する」絵本。2008年に刊行されました。

極限まで文字を制限し、いろいろな「気持ち」を絵で伝えています。直感で読み取れるので、小さな子どもでも容易にイメージを膨らませられるのが魅力です。

自分が感じる気持ちと他の人が感じる気持ちは違うということ、だからこそ、他の人の気持ちを考えることが大切だと思わせてくれるでしょう。

多様性に触れる新感覚のおすすめ絵本『みえるとか みえないとか』

 

宇宙飛行士になったぼくが、とある惑星に降り立ちます。そこにいたのは、なんと目が3つある不思議な住民たち。

普通にしているだけで前も後ろも見ることができる彼らは、ぼくを不便だろうと気遣います。ぼくは経験したことのない扱いを受け、困惑しました。

それからぼくは、生まれつき目の見えない人に出会います。見えない生活のエピソードを聞くなかで、見えないからできないことがあるのと同時に、見えないからこそできることもあると気付くのです。

著者
["ヨシタケシンスケ", "伊藤亜紗"]
出版日

 

視覚障害者の研究に携わる伊藤亜紗と、大人気絵本作家ヨシタケシンスケがコラボした絵本です。2018年に刊行されました。

「見える」という機能を題材に、人間はひとりひとり違うということを伝えてくれます。たとえ同じ環境もいたとしても、同じように見えているものもあれば見えてないものもあり、自分が普通だと思うことが相手にとっては普通ではないことがあると、ぼくは知るのです。

違いに寛容になり、むしろその違いを楽しむことで、日々の生活がもっと豊かになると気付かせてくれる作品です。

命の大切さを考える道徳絵本『いのちをいただく』

 

食肉センターで働いているしのぶくんのお父さんは、家畜の命を絶つという厳しい仕事に悩みを抱えていました。

小学校の授業参観でお父さんの仕事を聞かれた時、しのぶくんは「普通の肉屋」だと答えます。しかし先生から、肉を食べることができるのはお父さんの仕事のおかげだと教えてもらうのです。しのぶくんが先生の話を伝えると、お父さんは自信を取り戻しました。

そんなある日、ひとりの女の子と、みいちゃんという牛が食肉センターにやってきて……。

著者
["坂本 義喜", "内田 美智子", "魚戸おさむとゆかいななかまたち"]
出版日

 

企画と原案を担当した坂本義喜の実体験がもとになった絵本です。2013年に刊行されました。

食肉を通じて、「命」と「家族」の話が語られます。屠畜業に就く父親をもつ主人公と、酪農一家の女の子は、みいちゃんという牛を通じて「命を絶つ」「命をいただく」ことの大きな体験をするのです。

しのぶくんが父親の背中を押す姿に親子の絆を感じ、またおじいちゃんが女の子に命をいただくことを説く様子に胸が熱くなる読者も多いでしょう。

私たちの食卓は、さまざまな人の仕事と、たくさんの命によって成り立っています。おいしくご飯を食べることの裏側を知れる一冊です。

LGBTをテーマにした道徳絵本『王さまと王さま』

 

長いあいだ国を治めてきた女王さまは、息子の王子さまを結婚させ、跡を継がせることにしました。

ところが王子さまは、喜ぶどころか全然気乗りじゃない様子。女王さまは説得を重ね、次々とお嫁さん候補となるお姫さまを呼び寄せますが、なかなか結婚相手を見つけることができませんでした。

最後のお姫さまとともに現れたのは……。

著者
["Nijland,Stern", "de Haan,Linda", "Germer,Andrea", "ゲルマー,アンドレア", "豊, 眞野", "ハーン,リンダ", "ナイランド,スターン"]
出版日

 

LGBTをテーマにしたオランダの絵本です。性の多様性を学んでいた翻訳者の眞野豊が指導教官に相談したことをきっかけに、日本では2015年に刊行されました。

王子さまが一目惚れをしたのは、お姫さまに付き添っていた王子さま。一風変わった展開に見えますが、周りの人に祝福される王子さまと王子さまの結婚式は、全員が幸せそうです。

日本では性的マイノリティを扱った教材はまだ少なく、絵本も翻訳作品に頼っている状況。多様性への理解を深められるよう、サポートしながら手渡してあげたいですね。

「伝え方」を考えるおすすめ道徳絵本『ほんとうのことをいってもいいの?』

 

嘘をついたことをママに見抜かれ、叱られてしまったリビー。これからは本当のことだけを言おうと心に誓います。

ところが、友だちの靴下に穴が開いていることや、友達が宿題を忘れてしまったことなど、本当のことを話せば話すほど、なぜかみんなはリビーをのけ者にするようになるのです。

そんな状況が理解ができずに悩んだリビーは、お母さんに問いかけました。

著者
パトリシア・C. マキサック
出版日
2002-05-01

 

アメリカで100冊以上の子ども向け作品を刊行している児童文学作家、パトリシア・C・マキサックの作品。2002年に刊行されました。

良かれと思って発した一言が誰かを傷つけてしまった……「伝える」ことの難しさを経験したことは、誰にでもあるのではないでしょうか。リビーのやり方も、友だちを傷つけてしまうものでした。

本書のなかでリビーは、大切にしている年老いた馬のことをひどく言われ、初めて思いやりのある伝え方について考えます。読者自身の言動を振り返るきっかけにもなる作品です。