飛行機や空港を舞台にした小説おすすめ6選!航空サスペンスやお仕事小説など

更新:2020.6.21 作成:2020.6.21

ハイジャックや航空事故など、飛行機はサスペンスの題材にうってつけ。また人が行きかう空港ではさまざまな人間ドラマがくり広げられ、小説の格好の舞台となるでしょう。この記事では、飛行機や空港を舞台にしたおすすめの作品を紹介していきます。

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緊迫のハイジャックを描いたおすすめ航空小説『シャドー81』

 

ロサンゼルスを出発し、ハワイへと向かうジャンボ旅客機がハイジャックされました。犯人は機内ではなく、旅客機を追走する戦闘機の中。逆らえばミサイルを発射すると言い、200人余りの命が人質にとられてしまうのです。

その頃地上では、軍やFBI、政府が対応に追われていました。姿を見せない犯人の目的を探りながら、機長と管制官は鬼気迫るやり取りを続けます。

著者
ルシアン ネイハム
出版日

 

エジプト出身の作家ルシアン・ネイハムの作品。1975年に発表されました。作者はパイロットの免許をもっていて、知識を活かした緻密な描写でリアリティのある世界観を作りあげています。

時代はベトナム戦争の終わり頃。アメリカのパイロットと最新鋭の戦闘機が行方不明になり、その直後にハイジャックが起こります。犯人がハイジャックされた機内ではなく後方の戦闘機から脅迫するというのがポイント。後方にぴたりと張り付いて脅迫する様子が説得力のある文章で語られ、抜群の臨場感を感じられるでしょう。

犯人の目的は終盤まで明かされず、先の展開が読めません。壮大なスケールのエンタメとして楽しめる一冊です。

スリル満点の航空サスペンス『操縦不能』

 

大雪のため出発が遅れた、成田発ワシントン行きの002便。離陸した直後、2人の機長が意識を失ってしまいます。コックピットに残されたのは、副操縦士の江波だけ。まだ操縦に不慣れなうえ、計測器が狂いだし、墜落の危機に絶望していました。

実はこの飛行機には、北朝鮮からの亡命者が乗っていて……。

著者
幹樹, 内田
出版日

 

2006年に刊行された内田幹樹の作品。内田は元民間航空機の操縦士で、操縦訓練の教官を務めた経験もある人物です。

絶体絶命になった江波を助けたのは、かつて女性初のパイロットになることを目指していた、元訓練士の岡本望美。国際的なテロに気づいた彼女は、地上からフライトシミュレーターを使ってジャンボジェットを誘導するのです。

緊迫するコクピット内の様子に読んでいるだけで胸がヒリヒリしますが、 江波と岡本が交信をしながら安全な着陸を目指す姿から目を離すことができません。スリルを味わえると同時に、空と地上でくり広げられる人間ドラマにも注目です。

空港のセキュリティシステムVSテロリストを描いた小説『ROMES06』

 

西日本最大の空港である西日本国際空港は、世界最先端の技術を駆使して作られた施設警備システム「ROMES」をいち早く導入していました。

ある日、西日本国際空港に「チーム」と名乗る人物から脅迫状が届きます。そこには、指示に応じなければ空港を爆破する、と書かれていました。そして、警報装置が作動。「ROMES」の生みの親でセキュリティセンターの責任者を務める成嶋と、テロリストとの闘いが始まるのです。

著者
五條 瑛
出版日
2009-09-04

 

2006年に刊行された五條瑛の作品です。

主人公の成嶋は、愛犬とシステムしか信用しない、クールな孤高の天才。「ROMES」の全貌を知るのは彼ひとりで、テロリストと知の闘いをくり広げていきます。警備システムで犯人を追い詰めるという設定が何よりも秀逸です。

章が進むごとに「ROMES」のもつ機能がひとつずつ明らかになっていくのも面白いところでしょう。またいくら万能に見えるシステムでも、その性能を活かせるのは操る人しだいだというのも考えさせられます。

実直な警備員の砂村など、成嶋以外の登場人物も魅力的。シリーズ化されているので、ぜひ他の作品も読んでみてください。

飛行機が舞台のおすすめ航空パニック小説『超音速漂流』

 

軍が誤って発射したミサイルが、ジャンボ旅客機に直撃。機長は死亡し、乗客は絶体絶命の危機に陥るなか、必死に生還を目指していました。

しかし地上では、事故を隠蔽しようと旅客機ごと墜落させる計画が進行していたのです。

著者
["ネルソン デミル", "トマス ブロック"]
出版日
2001-12-07

 

アメリカの作家ネルソン・デミルとトマス・ブロックの共著です。ブロックは航空会社でパイロットを務めていた人物。1998年に刊行されました。

序盤から旅客機にミサイルが打ち込まれる衝撃の展開。多くの客が機体にあいた穴から外に吸い出され、シートベルトをしていた者も酸欠と気圧で脳を損傷し、まるでゾンビのように狂暴化します。

主人公はトイレにいたために命拾いをしたビジネスマン。セスナ機を操縦した経験があるためパイロットが死亡したコックピットに入るのですが、軍、保険会社、航空会社、そしてゾンビ化した乗客と、周りには敵しかいません。果たして無事に地上に着陸することができるのか、航空パニック小説の傑作です。

空港の裏側がわかるお仕事小説『あぽやん』

 

主人公は、旅行会社に勤める遠藤慶太。入社して8年目の時に、本社から成田空港所支店に異動となりました。長年付き合っていた彼女にもフラれ、空回り状態です。

なんとか返り咲きを狙いますが、予約の重複や発券ミスなど、空港では日々さまざまなトラブルが起き……。

著者
新野 剛志
出版日

 

2008年に刊行された新野剛志の連作短編小説です。テレビドラマ化もされました。「あぽやん」とは、空港で旅客を送りだす旅行代理店員を指す業界用語。作者の新野自身もあぽやんとして4年半働いていたそうです。

人が行きかう空港で、お客様を無事に出発させるために奔走するあぽやん。当初は「左遷された」とやさぐれていましたが、徐々にやりがいを見つけていく王道の展開を楽しめます。

クセのある上司や同僚たちも愛着の湧くキャラクターで、文章のテンポもいいので、どんどん読み進められるでしょう。華やかなイメージのある空港の裏側を知れる、お仕事小説です。

人生の転機を描いた短編小説『空港にて』

 

舞台はとある空港。飛行機の搭乗締め切り時間が迫るなか、女性は風俗で知り合ったサイトウという男を待っていました。

諦めてかけていた「義足を作りたい」という夢。真剣に考えることを怖がっていた彼女に、サイトウは優しく声をかけます。

著者
村上 龍
出版日

 

2003年に刊行された村上龍の短編集です。留学情報誌に掲載されていたもので、空港以外にもコンビニやカラオケ、公園、居酒屋などを舞台に、これから日本を旅立とうとする人々が描かれます。出国の理由は、挑戦もあれば逃げもあり、さまざま。それぞれの人間模様を堪能できるでしょう。

「空港にて」では、ひとり相手を待つ女性が主人公。静かながらも畳みかけるように心の揺れ動きが語られて、夢のために自分の意思で前に踏み出す彼女の強さを感じられます。

たった数分間の出来事ですが、凝縮された人生を垣間見ることができるでしょう。