5分でわかる市役所職員!転職先としても人気の地方公務員の仕事や年収を解説!

更新:2021.12.5

市区町村の役所で窓口業務をしている市役所職員は、私たちの日常生活のなかで最も身近な公務員です。地方公務員なので仕事内容や年収が安定しており、また比較的、プライベートの時間も取りやすい職業のひとつです。資格などが不要のため、新卒だけでなく社会人の転職先としても近年、人気が高まっています。 市町村の役所の仕事は、窓口での対応だけではありません。国からの要請があれば、地域イベントや防災に役立てるハザードマップの作成など地域の住民の生活に密着した仕事もしなければなりません。この記事では、住民の暮らしをサポートする業務をおこなっている市区町村職員の仕事を詳しく解説します。

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市役所職員は市民にとって身近な存在

いなくてはならない市役所職員

市役所職員は市役所に勤務する地方公務員のことです。市役所の窓口でさまざま手続きをおこなうなどして住民の生活をサポートしてくれています。公務員のなかでは市民にとって最も身近な存在であるといえるでしょう。

市役所職員の仕事には2種類ある

市役所には2種類の職種があります。馴染みのある「事務系」と、専門知識を持った仕事をする「技術系」です。

◾️事務系の仕事

読者の中には引っ越しの手続き・住民票の発行・婚姻届・出生届・死亡届などを提出するときに市町村の役所を訪れたことがあると思います。これらの業務はすべて事務系の仕事となります。

窓口業務以外にも、地域の活性化のための花火大会やマラソン大会などのイベント開催や、税金の徴収などさまざまな業務を請け負っています。

イベントだけでなく住民の生命・財産を守るためにハザードマップを作成することも市町村職員の仕事です。

◾️技術系の仕事

土木、建築、化学、情報などの分野において専門的知識を持っている方が技術系の職員です。道路工事の計画立案や工事現場での指揮・管理など多岐にわたる業務をおこなっています。

その道のプロとして現場の指揮を取ることが多く、事務系に比べると民間の方に接する機会は少なく、またイレギュラーな業務も発生しづらいという特徴があります。

市役所職員はワークライフバランスのとれる仕事

市役所職員の働き方の特徴として、下記のようなものがあげられます。

 

  • 1日の実働8時間、17時が定時がほとんど
  • 土日・祝日は休み
  • 年間20日の年次休暇あり

 

公務員である市役所職員の1日の実働時間は、基本的には8時間となっています。市役所によって開庁時間は異なりますが、一般的には8時半から始まり17時に定時になっていることが多いです。

朝の早い仕事になりますが、17時と早い時間に帰れるため、そこから個人の予定を入れたり、勉強の時間をとったりとさまざまな過ごし方ができます。

また土日・祝日は基本的には休みで、選挙などのイベント時には休日出勤もありますが、ほとんどがカレンダー通りの休みを取得することが可能です。

それに加えて年間20日の年次休暇制度も適用されているのが市役所職員です。時間きっちり働き、休みもしっかり取って勉強や旅行など自分の時間も確保したいという方には、市役所職員はおすすめできる仕事なのではないでしょうか。

市町村職員の仕事とは?意外に多い国からの委託業務

市役所職員の主な仕事といえば窓口での来客対応が思い浮かびます。しかし意外に多いのが、イベント事などでの国からの業務委託です。

意外に多い国からの業務委託

地域のイベントなど身近な仕事がある一方で、国からの委託業務が多いのも事実です。高校の現代社会や政治経済で、「三割自治」とか「法定受託事務」という言葉を耳にしたことがあると思います。

▶︎三割自治

「三割自治」とは地方公共団体(地方自治体)の自由に使える財源が三割だけで、ほとんどが国からの地方交付税交付金でまかなわれていることをいいます。 
 

▶︎法定受託事務

「法定受託事務」とは 国からの委託業務のことです。主な事例として、国政選挙の通知書、パスポートの発行、生活保護の申請があげられます。障害者や子ども手当については国の事業ですが、申請の窓口は市町村の役所となっています。

国からの業務委託の例 

直近の事例では、新型コロナウイルスによる影響で景気が悪化しました。国民の生活を支えるために定額給付金10万円が支給されましたが、国からの委託業務として市町村職員が対応しました。

三割自治に象徴されるように市町村の役所として独自に活用できる予算が限られたり、国からの委託業務が多いことから専門的な知見を求められたりすることがあります。

市役所職員の平均年収は500万円前後

市役所職員の年収は、勤務している市役所によって多少差があります。今回は宮崎県の南西部に位置する小林市の「小林市役所」が公開しているデータを例に見ていきましょう。

職員の平均給料月額は約30万円

平成30年に公開している資料によれば、小林市役所に務める職員の平均給料月額は30万6386円となっています。これを1年で計算すると約360万円ほど。

また国での平均給料月額は約33万円なので、小林市は平均より少し低いくらいの月額給与額となっています。

平均年収は500万円前後

年収は、12カ月分の給料に期末手当2.6カ月分と、勤勉手当1.8カ月分が加算された額になります。すると年収は約500万円程度です。

期末手当や勤勉手当は、国でも同一の数値となっています。

初任給は月額給料・年収ともに意外に低い

意外に低いと思われるのが初任給の額です。

 

  • 大卒:17万9200円
  • 高卒:14万7100円

 

これは小林市だけでなく国でも初任給の額は同じです。社会人1年目は仕事をこなす量にも質にもばらつきがあるとはいえ、少し低く感じる額かもしれませんね。

年収にすると下記のようになります。

 

  • 大卒:約270万円
  • 高卒:約230万円

 

参照:小林市

一部マスコミなどでは高給取りと報道されることもありますが、実際には初任給は標準的な大卒公務員の額となっています。とはいえ公務員なのでさまざまな福利厚生がしっかりしていたり、それなりの退職金があったりと安定性の高い職業であることは間違いないでしょう。

その点でいえば同額で民間企業に就職するより、公務員になった方が仕事面、経済面、精神面でも安定すると考える方は少なくはないはずです。

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市町村職員になるには?受験資格は市町村によってさまざま

市役所職員になるには公務員試験を受ける

受験資格は市町村によって異なります。たとえば、兵庫県宝塚市のように就職氷河期に正社員になれず、非正規雇用で生活している人を対象にした採用試験をおこなった自治体もあります。倍率がとんでもない高さだったということで印象に残っている人がいると思います。

自治体によっては社会人を対象にした採用試験を不定期におこなっているので、公務員への転職を感がている方は募集があるかどうか常に情報をチェックする必要があります。

公務員試験は年に3回ほどおこなわれる

市役所職員の採用試験がおこなわれる日程は各市役所によって異なりますが、大きく分けて年に3回ほどおこなわれます。

 

  • 試験日程(1):5〜6月試験
  • 試験日程(2):7〜8月試験
  • 試験日程(3):9月試験

 

こちらは2019年度の市役所職員の採用試験の主な日程です。3つ以外に4回目が10月におこなわれることもありますが、その際に受けられる市役所数は少なめとなっています。

どの市役所が何月に採用試験をおこなうかのか、確認は怠らないようにしましょう。

市役所採用試験では5つの試験を受ける

主に試験は4回に分けておこなわれ、計5つの試験を受ける必要があります。

 

  • 教養試験
  • 論(作)文試験
  • 面接試験
  • 適性検査
  • 事務能力診断検査

 

▶︎教養試験

教養試験では、数的処理や文章理解、社会科学などの科目から計40問が出題されます。数的処理、社会科学は出題される問題数が最も多いので対策をしっかりしつつ、他の科目も適切な勉強をすることで点数を取ることができるでしょう。

▶︎論(作)文試験

与えられた課題に対して文章を書く記述問題です。課題は当日与られるので、どんな課題であってもまとまった文章を書けるように繰り返し過去の問題を解く練習をしておくとよいでしょう。

▶︎面接試験

ほとんどの市では個別面接の形式が取られていますが、中には集団面接や集団討論を実施する市もあります。教養試験や論作文の試験内容がよくても、面接での印象が芳しくない場合は合格する確率が下がります。公務員としての心構えや、集団のなかでどう振舞うことができるかなどを見られます。

▶︎適性・事務能力診断検査

公務員としての適性があるかどうかを検査します。どんな性格をしているのかや、公務員として日々の事務作業をどれだけ繰り返しおこなえるのかなどを検査されます。これには特別な対策などは不要ですので、公務員として実際に働いているのを想定しながら振舞えば問題はないでしょう。

生活保護の部署に配属された時に読む本

この本の2人の著者は、社会福祉士の資格を持っています。2人とも市役所の職員として採用され、生活保護ケースワーカーとして福祉に関わりました。

この本の特徴として、生活保護支援者のケースの疑問を筆者の経験と事例をもとにQ&A方式で回答している点があげられます。

著者
["吉永 純", "衛藤 晃", "全国公的扶助研究会", "吉永 純", "衛藤 晃"]
出版日

市町村職員として役所で働くことになった場合、読者にとって専門外の部署に配属されることがあります。もし、専門外の生活保護など福祉関係に配属された場合、Q&A方式で事例を解説ているので市町村職員の初学者にも分かりやすい本といえます。

生活保護の受給については政府が担当しますが、市町村の役所は生活保護を含む国からの委託業務を引き受けなければなりません。この本は国からの委託業務の1つである生活保護に関するものです。

この本の対象は、生活保護ケースワーカー・生活保護利用者・福祉関係の相談支援機関の職員・福祉関係の学生です。生活保護の事例や支援方法をQ&A方式でまとめているので、社会福祉の初学者にとって分かりやすいです。

市町村職員の採用試験とは

平成9年度から令和元年度までの市役所中級・上級の教養試験・専門試験の過去問が載っています。

著者
資格試験研究会
出版日

この本には市役所中級・上級の教養試験・専門試験の過去問が500問載っています。繰り返し解いて解き方のパターンを覚えれば高得点を狙えます。

市役所中級・上級の試験日程は6月から10月までの間に実施されます。志望する市役所の採用試験までに国家公務員一般職・地方上級の採用試験が実施されますので、本番になれるために練習するのもありでしょう。

教養試験と専門試験についても類題が多いです。なので時間があれば市役所以外の過去問として国家公務員一般職・地方上級の過去問も解いてパターンを学習しておくのもよいでしょう。

社会人から市役所職員への転職を考えている場合

この本は新卒の受験生を対象にした市役所の採用試験の参考書ではなく、社会人を対象にしたものです。市役所の採用試験の参考書ですが、町や村の役所の職員を考えている人も参考になるでしょう。

著者
資格試験研究会
出版日

民間企業で働いている社会人の転職先として、市町村職員が注目されています。

市町村職員の採用試験については教養試験と専門試験ともに科目数が多く、社会人にとって受験するのが難しいという特徴がありました。

最近では、社会人が転職先として受験しやすいように市町村職員の採用試験としてSPIを採用する事例が見られます。

市町村職員の社会人枠の採用試験については不定期におこなわれていることがあるため採用情報を収拾する必要があります。SPIを採用していたらこの本にプラスしてSPIの問題を繰り返し解くことで高得点を狙いましょう。

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市町村に就職した際には、希望している部署に配属されないこともあります。また、市役所が自ら企画する仕事だけではなく、国からの委託業務も引き受けなければならない仕事もあり、かなり多様な仕事を請け負っています。 
もし読者のなかに市町村職員を志望している方がいる場合、生活保護など福祉関係が素人であったとしても、異動で配属される可能性があります。どんな部署に配属されてもいいように、書籍などで事前に事情を知っておくとよいでしょう。 
市役所職員の仕事は、毎日同じようで少しずつ異なってきます。市民一人ひとりのことを考え、暮らしをサポートする市役所職員は、市民にとっても国にとってもなくてはならない存在ですね。

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