大学受験の小論文といえば、「小難しくて何が何だかサッパリわからない」「答えがないからよくわからない」という方が多いのではないでしょうか。 しかし、ちょっとしたコツを覚えるだけで小論文を得意科目にすることは可能です。今回は小論文の参考書選びで迷っている方に向けて、参考書の選び方や書き方、おすすめの本を紹介します。
まずはじめに、小論文の参考書の選び方について解説します。以下を参考にして、大学受験の際の参考書選びに役立ててくださいね。
小論文の参考書は、自分のレベルに合ったものを選ぶことが重要です。
たとえば、初心者が上級者用のテクニック本に手を出したり、成績が上がっているにもかかわらず、簡単な本ばかり読んでいれば成績は上がりませんよね。したがって、自分のレベルに合ったものを選ぶことが必要です。
まずあなたに思い出してほしいのは、これまでにどのくらい文章を書いたか、小論文を学校や塾でどのくらいの時間をかけて勉強したかです。
この2つがある程度わかれば、自分のレベルに合った参考書を選びやすくなります。
この記事の後半部分でおすすめの本を紹介するので、本のレベルを確かめる際の参考にしてください。
続いて重要になるのは、自分の課題に合った参考書を選ぶということです。
小論文を書いていると、つまづきやすいポイントや書きやすい課題が出てきます。得意なところばかりやっていても成績は上がらないので、自分の課題に合うものを選ぶことが非常に大事です。
また、長文を書くものなのか、それとも短く簡潔にまとめるものなのか、AO入試なのか、独自の試験問題なのか、どういう傾向で出題されているのかなど、目的によっても自分が使うべき参考書は変わります。
自分が受験する試験で重要視しなくてはならないものをきちんと考え、課題に合う参考書を選ぶようにしましょう。
また、内容を重視して選ぶことも非常に大切です。
実は小論文の参考書の内容はさまざまです。大学受験の頻出テーマをまとめたものや、小論文の書き方を一からまとめたものまでたくさんあります。
書き方をある程度把握しているのにもかかわらず、書き方についてのものばかり読んでいては成績は絶対に上がりません。
これまでどんな内容を勉強をしてきたか、いま自分には何が足りていないのかを真剣に考えてみてください。
内容が適切な参考書を選ぶことで勉強効率は格段に上がり、合格へと近づきます。参考書選びを疎かにせず、いま自分が勉強するべき内容の参考書を選ぶようにしましょう。
小論文の問題では必ず課題やテーマが指定されます。課題やテーマに関しての知識が元からあるのとないのとでは、書きやすさが大きく変わってきます。
日頃からスマホやテレビでニュースをチェックし、最近の社会問題に敏感になっておくことも大事ですが、参考書の中には頻出テーマをまとめたものもあります。
頻出テーマをまとめた参考書は、それぞれのテーマの重要ポイントや出題されやすい問題がわかりやすくまとまっています。
受験をする大学の試験問題の傾向を把握し、頻出テーマを徹底的にこなしていくことが小論文の試験では非常に重要です。
ある程度の文章が書けるようになったあとは、課題やテーマ別の参考書で勉強するようにしましょう。
小論文を書く際には書き方を理解することも非常に重要です。ここでは書き方について学んでいきましょう。
小論文を書くうえで大事なことは、問題の文章を正しく理解することです。小論文の課題は問題の文章を正しく理解し、問題の意図を掴み論理的な説明ができているかが非常に重要になってきます。
問題の文章が正しく理解できていなければ書き進めていくことは難しく、もし書けたとしても点数は伸びないでしょう。それゆえ、問題の文章を理解することは基本中の基本です。
問題の文章を正しく理解するためには、日頃から意識して勉強することが大事です。まずは簡単な参考書からはじめ、慣れてきたら徐々に試験問題レベルのものを解いていき、正しく理解できるように練習していきましょう。
小論文の書き方を学ぶ際には構成の作り方も覚えておきましょう。構成は小論文の根幹をなしているものです。もし構成を疎かにすれば文章を書き進めることが難しくなり、理解しにくい文章になってしまいます。
ここでは、構成を学ぶうえで非常に重要な、序論・本論・結論、問題提起・反論・持論・理由・結論について説明します。
小学生の頃から作文を書く際には、序論・本論・結論を意識して書くように教えられた方も多いでしょう。文章を書くうえでこの3つを考えることは基本になります。
まず序論で問題提起をし、本論で情報や自身の考えを述べ、結論で自身が言いたいことを示します。これらを意識するだけで書きやすさや伝えやすさ、文章の見栄えがかなり変わってきます。
序論・本論・結論以外にも問題提起・反論・持論・理由・結論という型もあります。持論に対して反論も示すことで、自身の主張を強調させることができます。
この型で小論文を書くときのコツは、問題提起の章で自身の主張の方向性を示し、反論の章で主張に対する反対意見の存在を強調することです。その際、情報やデータなどの事実的根拠があるとわかりやすいです。
これまで小論文の参考書の選び方や書き方について説明しました。ここでは実際におすすめの参考書を紹介していきます。
- 著者
- 中塚 光之介
- 出版日
著者は河合塾で添削指導や入試分析をおこない、小論文を25年間指導してきた中塚光之介です。「何を書いていいかわからない」「大人な文章が書きたい」という受験生の悩みをシンプルに解決してくれます。
特におすすめのポイントは、自身の体験談を軸にした小論文が書けるように指導してくれるところです。体験談を軸にすることでオリジナリティのある文章が書け、読み手に面白いと感じてもらえるようになります。
- 著者
- 今道 琢也
- 出版日
著者は京都大学出身で元NHKアナウンサーの今道琢也です。この本はとにかく時間がない受験生を短期間で合格へ導くことをテーマにしています。答えが見えにくい小論文において、最小限の勉強で合格レベルを目指す画期的な本です。
この本のおすすめポイントは第3章の頻出テーマ、キーワード速習表です。この表を使うことで最低限必要なテーマやキーワードを短期間で学ぶことができます。小論文を勉強する時間がない受験生は、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
- 著者
- 樋口 裕一
- 出版日
累計30万部を突破した、受験生に大人気の参考書です。
社会系や国際系の学部・学科を志望する受験生に必要な基礎知識を一から丁寧に教えてくれます。また、書き方を学ぶこともできるため、コストパフォーマンスに非常に優れた参考書です。
この本のおすすめポイントは、自分の学びたいテーマを選んで勉強できるところです。自分に関係が少なそうなテーマは飛ばして、重視したい部分から学ぶことができます。効率よく学習できるため、時間がない受験生にもおすすめです。
- 著者
- 神崎 史彦
- 出版日
東進ハイスクールの講師・神崎史彦が著者の、ゼロから1か月で完成させることに特化した参考書です。知識を覚えるだけの内容ではなく、書き方や設問の解き方の理解に重きを置いています。知識だけの小論文は卒業し、周りとの差をつけたい方に非常におすすめです。
本書に取り組むことで小論文が書けるようになるだけではなく、進路やマインドセットにも役立てられます。小論文を通して、将来や生き方について考えることができればいいですね。
- 著者
- 樋口 裕一
- 出版日
本書は3冊目に紹介した「小論文これだけ!」シリーズの法・政治・経済編です。国際政治やグローバル化問題などは受験でも必須のテーマなので、難関私大や国公立受験に役に立つこと間違いなしです。
おすすめポイントは、第1部の社会系小論文の土壇場テクニックという章です。この章では最小の時間で効率よく学ぶことができます。
本番まで時間がない受験生はこれだけでもやっておくとだいぶ違いますので、ぜひ取り組んでみてください。
- 著者
- 旺文社
- 出版日
旺文社から出版されている、5年分の小論文入試問題をまとめた参考書です。一般入試で小論文を課す国公立大と私立大の入試問題を要約して収録しています。
志望校別の傾向を確認したり、同じ学部の各大学の傾向を把握することができます。実際の入試問題を使って勉強したい方におすすめの参考書です。
巻頭に収録されている「合格する小論文はこれだ!小論文の書き方ガイド」では、例題を使って小論文の書き方を説明し、入試問題について細かく解説しています。
- 著者
- 近藤 千洋
- 出版日
頻出テーマをまとめ、主に近年の時事問題を扱っている参考書です。近年の入試問題は、実生活や社会をテーマにする傾向があります。
そのため、時事問題をテーマにした問題は必ず練習しておく必要があります。本書のおすすめポイントは、別冊でワークブックが付属していることです。
本冊でしっかりとインプットし、別冊でアウトプットするサイクルを回すことで、効率よく勉強することができるでしょう。
- 著者
- 柳生 好之
- 出版日
著者はスタディサプリで現代文を担当している柳生好之です。本書は頻出のテーマを覚えるのではなく、書き方を学ぶことに重きを置いています。正解がない小論文という科目において、合格点をとるために必要なルールが学べます。
他人と違う発想や文才は必要ありません。最強のルールを身につけ、小論文を得点源にしましょう。
また、本書はさまざまな出題形式に対応しています。書き方のルールを説明している参考書はほかにもたくさんありますが、出題形式別の対策ができる点が本書の特徴です。
- 著者
- 樋口 裕一
- 出版日
小論文という科目の説明から読解のコツ、書き方のコツを全て説明している参考書です。
60もの例題を解きながら小論文のトレーニングをしていきます。小論文対策に手をつけておらず、入試まで時間がある受験生におすすめです。
特におすすめのポイントは、全ジャンルを網羅している点です。志望校の出題傾向が見えにくい場合は、本書でほとんどのジャンルに触れておくのもよいでしょう。
この本で苦手な分野を見つけ、ほかの対策本で深堀りすることもおすすめします。
- 著者
- 柳生 好之
- 出版日
慶応義塾大学の入試では小論文が出題されます。そのため、合格するためには小論文対策が欠かせません。
本書は慶応大の小論文に特化した内容で、「慶應小論文」に向けた攻略法を詳しく解説しています。
慶應大志望者は必読の1冊です。
- 著者
- 鈴木 鋭智
- 出版日
「小論文を勉強したいけど何からはじめていいかわからない」という方におすすめの参考書です。
「小論文にも正解はある」というスタンスで展開され、書き方や本番で使えるテクニックが充実しています。
読みやすい文章で書かれており、時間があまりない受験生にとっても、電車の中や休憩時間を使って気軽に勉強できます。何を書けばいいかわからない方はぜひ手に取ってみてください。
- 著者
- 太田 貴之
- 出版日
代々木ゼミナールの講師・太田貴之講師が著者の、基礎の基礎から小論文を学べる参考書です。タイトルに「ゼロから始める」とあるように、小論文をまったく知らない方のための本です。
勉強をしたことがある方にとっては退屈に感じるかもしれませんが、初心者にとっては最高の1冊です。小論文のルール説明からはじまりますが、最終的には一般入試にも対応できるレベルを目指します。
また、話し言葉で説明されているので、非常に読みやすいことも特徴です。小論文が苦手な方はぜひ手に取ってみてくださいね。
- 著者
- ["山本 裕子", "本間 妙", "中林 律子"]
- 出版日
小論文では論理的な文章を書くことが必須です。本書に取り組むことで論理的思考を身につけ、自身の主張をわかりやすく相手に伝えられるようになります。
また、論理的な文章を書くことは大学受験だけでなく、レポートや実生活においても必要なスキルです。本書を使って、しっかりと論理的な文章スキルを磨きましょう。
この本の特徴は、「まずしっかり考える必要があるという」コンセプトを掲げている点です。やみくもに文章を書き進めるのではなく、事前に考えるステップを踏む経験ができます。
- 著者
- 樋口 裕一
- 出版日
2004年の発売以来、受験生に愛され続けている参考書です。
タイトルに「超基礎編」とあるように、短大や推薦入試から難関校入試の土台づくりまで対応しています。内容は基本的な解説からはじまりますが、後半部分では頻出テーマの例題を解くことができます。
この本のおすすめは、課題文のつく問題とつかない問題に分けて解説をしている点です。また、そのほかの形式についての解説もあります。この1冊で書き方はもちろん、さまざまな形式についてもインプットできます。
- 著者
- 吉岡友治
- 出版日
著者は東京大学文学部卒で、代々木ゼミナール・駿台予備学校などで約20年にわたり国語・小論文の講師として指導してきた吉岡友治です。
この参考書では基礎から記述力を学ぶことができます。必要なポイントがひとつひとつ段階的に説明され、どこでつまづいたかがわかりやすい点も特徴です。
書き込みドリル形式になっており、読むだけではなく書き込むことで表現力や思考力が身につきます。
- 著者
- 吉岡 友治
- 出版日
こちらも、先述の吉岡友治が著者の参考書です。駿台や代々木ゼミナールで20年以上も指導してきた小論文のエキスパートが、小論文の組み立て方や書き方をシンプルに分かりやすく解説しています。
応用問題や新傾向問題にも対応できる、頼もしい1冊です。
近年増加傾向にある表やグラフを使った問題では、受験生の応用力が試されます。本書ではそのような応用問題にも対応できるよう、講義形式で丁寧に解説しています。
- 著者
- 大堀 精一
- 出版日
相手に正しく伝えることに重きに置いた参考書です。文章を書くことの意味から解説し、論理的思考を身につけることができます。
受験に特化した参考書ではないですが、手に取って損はしないでしょう。
おすすめのポイントは、著者が教育現場で培った経験をもとにした思考法を学べるところです。自分の言葉を使って、相手に思いを届ける力を身につけることができます。
学んだ知識を受験だけではなく、実生活にも生かした方におすすめです。
- 著者
- 代々木ゼミナール
- 出版日
本書は代々木ゼミナールによる参考書で、大学受験の小論文に必要な知識を学ぶことができる1冊です。
大学受験の小論文では思考力や読解力などが試されますが、それらを資料集形式で一気に身につけることができます。内容は3章構成で、わかりやすく段階的な解説が特徴です。
おすすめのポイントは、毎年出版されているため、問題がその都度更新されている点です。この手の参考書にありがちな、近年の傾向に対応できていないという事態を避けることができるでしょう。
- 著者
- 根岸大輔
- 出版日
身近なテーマを使ってわかりやすく解説している参考書です。
小論文といえば、小難しく日常では意識しないテーマが出題されがちですが、本書は違います。初心者にも取り組みやすいよう、身近なテーマを使って学べるようになっています。
この本のおすすめポイントは、なんといってもおさらい動画がついていることです。本書で学んだ内容を動画でおさらいし、効率よく勉強しましょう。
- 著者
- ["裕一, 樋口", "雅敏, 山口", "理志, 大原"]
- 出版日
先述した「小論文これだけ!」シリーズの、経済を深堀した参考書です。
経済学部や経営学部志望者に向けて、経済をテーマとした問題をわかりやすく解説しています。
この本のおすすめポイントは、時事問題に関しても詳しく解説しているところです。
「雇用問題」や「人口減少問題」など、現在進行形の経済問題がわかりやすくまとめられています。経済系の学部を志望する方は取り組んでおくべき参考書といえます。
今回は大学受験の小論文の書き方や参考書の選びのコツ、おすすめの参考書について紹介しました。
小論文という科目は一見正解がないように見えますが、実は書き方にはルールや規則性があることがお分かりいただけたかと思います。
序論・反論・結論など、ある程度の骨組ができていると案外すらすらと書けてしまうことに気づきます。「小論文には正解がないから」と疎かにはせず、しっかりと基礎の部分から学ぶことが非常に重要です。そうすることで、念願の志望校合格にもグッと近づくことでしょう。
これらのまとめを参考に、あなただけのお気に入りの1冊を見つけて小論文を得点源にできるよう頑張ってください。