トリックアートやだまし絵は、大人も子どもも見れば見るほど夢中になってしまう魅力があります。今回は、物語仕立ての作品から写真を楽しむ作品まで、不思議な錯覚の世界を楽しめるおすすめの絵本を紹介していきます。
ようこそ、おばけやしきへ。
食堂では、6人のお客様が食事をしています。たくさんの御馳走に囲まれているのに、皆なぜかうつむき加減、泣き出しそうな人も。いったいどうしたというのでしょう。
本を逆さにしてみると、6人の顔がガラリと変わり……⁉
- 著者
- ["明佳, 北岡", "グループコロンブス"]
- 出版日
錯視研究を専門とし、立命館大学で知覚心理学の教鞭とる北岡明佳が監修したトリックアートの絵本です。2012年に刊行されました。
舞台は何かが起こりそうなお化け屋敷。トリックアートに慣れていなくてもすぐに遊べるようヒントが書かれています。1枚の絵の中に複数の錯視効果を盛り込むなど、子どもたちの遊び心をくすぐり、何度でも楽しめる仕掛けが満載です。
本の向きを変えたり、視線を動かしたりと、身体を使いながら遊び感覚で読むのは子どもたちにとっても新鮮なはず。シリーズ化されているので、ぜひほかの本も読んでみてください。
蛇口から水が流れ出し、運河に注がれて街を流れていきます。その先にはジョウロがあって、水が流れ込むのですが、ジョウロは蛇口に接続されていて……。
階段をのぼって上のフロアに行ってみました。踊り場には、双眼鏡で景色を楽しむ人やベンチで休む人たちがいます。また階段を見つけたのでのぼってみると、なぜか最初にいたフロアに戻ってしまいました……。
よく見てみると、実は不思議な絵ばかり。
- 著者
- 出版日
- 1971-03-01
日本を代表する絵本作家の安野光雅のデビュー作であり、代表作でもあります。1971年に刊行されました。安野光雅の絵は、淡い色を使って細部まで描き込んだ水彩画が多く、一枚の絵として部屋に飾っても魅力的なものばかり。コレクターが多いことでも知られています。
本書は、オランダの版画家マウリッツ・エッシャーからヒントを得て制作したそう。エッシャーのトリックアートは、実際には建築できない構造物をはじめとした工学的なものが多いのが特徴です。
一見すると違和感のない美しい絵なのに、じっくり眺めると気付く瞬間があります。摩訶不思議なトリックアートの世界観を存分に楽しめる、おすすめの一冊です。
想像してみてください。夜遅くまで電車の模型で遊んでいたら、誰もいない廊下から汽笛が鳴り、本物の汽車が旅の迎えに来ることを……。
ベッドから空に飛び立つと、眼下にベットカバーのキルトと同じ模様の畑や林が広がっていることを……。
- 著者
- セーラ・L. トムソン
- 出版日
カナダの画家でシュールな作品を多く手掛けるロブ・ゴンサルヴェスの絵本です。2005年に刊行されました。
ロブが得意とするのは、2つの現実世界が1枚の絵として溶け込むトリックアートです。その技法は、マジック・リアリズムとも呼ばれるもの。2つの世界を行き来するように見える絵は、奇妙なのに目を離せない不思議な感覚を読者に与えてくれます。
ロマンティックで神秘的、だけど時には少し不気味で、静かな夜や眠れない夜にはぴったり。ぜひおもいっきり翻弄されてください。
光や影、角度などを工夫して撮影した写真を集めた、トリックアートの絵本です。
なぜこんな不思議な写真が撮れたのか、本文をヒントに読者が解いていきます。
- 著者
- ["ウォルター ウィック", "Wick,Walter", "康一, 林田"]
- 出版日
絵探し絵本「ミッケ!」シリーズで知られるウォルター・ウィックの作品。1999年に刊行されました。
掲載されている写真は加工されたものではなく、すべて実際のカメラで撮影したもの。影の方向に注目したり、本の向きを変えてみたり……ウォルターは「観察力を磨いてほしい」とメッセージを残しています。
謎が解けた時の感動や驚きももちろんですが、同時に人間の目の不確かさも再認識させられるでしょう。写真自体も美しく、何度でも見返したくなる一冊です。
ネズミ団長が道行く人に声を掛けています。これからビックリ、ドッキリのサーカスが始まるんですって。
王様と王妃様が出てきました。王様が王妃様に愛のメッセージを送るようです。王様のハートのカードを20秒眺めてから王妃様のカードを見てみると……。不思議なことにあるものが見えてきました。観客は口をあんぐり開け、びっくりしています。
でも驚くのはまだ早いんです!団員と動物たちの魔法のような演技がどんどんくり広げられていきますよ。
- 著者
- ["ウォーレス・エドワーズ", "神戸 万知"]
- 出版日
カナダの画家ウォーレス・エドワーズの作品。2009年に刊行されました。ウォーレスの絵は古風でリアリティがあるのが特徴。だまし絵の不思議な世界観が効果的に演出されています。
本文の解説に沿って絵を眺めると、さまざまなトリックアートが登場。本を動かすなど動作が必要なものもあり、変化を楽しみながら読むことができるでしょう。逆さ絵やパラパラ漫画など遊び心が満載で、読者を飽きさせません。
ラストはとっておきの驚きが待っているのでお楽しみに。
ウサギとカメが階段で競争をしています。ウサギがリードしていましたが、気づくとカメが先を行っているようです。ウサギがカメを追い抜いても、またカメが先に見えてきます。なぜでしょうか?
見れば見るほど不思議な世界がたっぷりと楽しめます。
- 著者
- グループ・コロンブス
- 出版日
児童書を得意とする編集制作会社グループ・コロンブスの作品。2009年に刊行されました。同社は、これまでに『トリックアートおばけやしき』や『辞書引きえほん』など数々の人気絵本を発表しています。
あらゆるトリックアートの技法を紹介した図鑑のようなつくりになっていて、子どもにもなじみのある動物たちが多数登場。円が回り続けたり、テレビが歪んで見えたりと、日常にひそむ謎もたくさん見れます。
本文にはルビもふってあり、どこからでも読み始めることができるのも嬉しいポイント。幅広い年齢が楽しめるため、プレゼントにもおすすめです。