グローバル化が進み、多様性が求められる社会で生きていくには、幼い頃から世界の国々やそこに暮らす人々への理解を深めることが大切です。今回は、さまざまな文化に触れることができるおすすめの絵本を紹介していきます。
世界の多様な文化を絵で紹介した作品です。衣食住をはじめ、乗り物やお祭りなど各国の暮らしが解説されています。
たとえば民族服のページには、毛皮の帽子をかぶったアラスカの人や、カラフルな「ウアイノ」に身を包んだペルーの女性など、さまざまな服装の人物が描かれています。なぜそのような服装で生活をしているのか、色使いにはどのような意味があるのか、自然と興味が湧いてくるでしょう。
- 著者
- 出版日
- 2012-12-11
イラストレーターとして子ども向けの作品を多く手掛けるてづかあけみの作品です。2012年に刊行されました。
各国の特徴をわかりやすく伝えてくれるシンプルな絵が魅力的。ひとつの見開きでひとつのテーマを紹介する構成も読みやすさを感じます。
紹介されているのは、どれも身近なものばかり。まずは絵だけを楽しんでもよいですし、成長にともない調べ学習の材料にしたり、テーマをまたいで国ごとの比較してみたりとまざまな読み方ができるでしょう。
日本、イタリア、ウガンダ、ロシアなど7ヶ国の小学生の1日を追った絵本です。
住んでいる場所や家族構成、食事などの生活スタイル、通学路、授業の様子などの学校生活、そして放課後や夕食後の過ごし方などのプライベートタイムまで、7人の「とある1日」が紹介されていきます。
- 著者
- ["マット・ラマス", "マット・ラマス", "おおつか のりこ"]
- 出版日
アメリカの作家マット・ラマスの作品で、日本では2018年に刊行されました。
自分の1日の過ごし方を思い浮かべ、比べながら読むのがおすすめ。細かく描き込まれたイラストは隅々まで楽しめます。巻末にはモデルになった7家族が紹介されているので、まるで異国の友達の生活を見ているような親近感を抱きながら読み進められるでしょう。
世界にはいろいろな生活スタイルがあることを知り、異文化に関心をもてる一冊です。
見開きごとに世界の地図を置き、さまざまな文化をマッピングした作品です。
言葉の違いや時差、民族衣装、動物たちの故郷などを地図を使って紹介することで、世界の広さや、多様性を知ることができます。
- 著者
- ["赤澤 豊", "てづか あけみ"]
- 出版日
冒頭で紹介した『世界とであうえほん』を手掛けたてづかあけみの作品です。2008年に刊行されました。
地図上に時計や動物たちを配置することで、世界には時差があること、地域によって生息する動物が異なることを知ることができます。同じひとつの地球の上ですが、世界の広さを実感できる内容です。
また各国の山や川などの大きさも比較できるのが魅力的。地図そのものにも興味をもてる、視野が広がるビジュアルブックです。
世界中で暮らす60億人の違いを紹介した絵本です。顔の形、民族、慣習、経済などの違いを紹介したうえで、世の中には差別や争いがあること、親切な人々ばかりではないことにも触れていきます。
すべての人に共通しているのは、赤ちゃんとして生まれ、いずれこの世を去ること。巻末に記された作者のメッセージも印象的でしょう。
- 著者
- ピーター・スピアー
- 出版日
- 1982-01-20
オランダ出身の絵本作家ピーター・スピアの作品で、本書で「クリストファー賞」を受賞しました。日本では1982年に刊行されています。ピーターは、父親がユダヤ系であったことから第二次世界大戦中は強制収容所で過ごしていたそう。彼の経験を想像すると、本書に込められたメッセージの重みを感じます。
「ある人たちは自分とちがっているというだけでよその人たちをきらう。そんなことっておかしいよ。その人たちは自分たちだってほかの人から見ればちがっているってことをわすれているんだ。」(『せかいのひとびと』より引用)
水彩の絵は精細で、目や鼻や耳など顔のパーツの違いまでもが緻密に描かれています。まるで図鑑のようで、大人も見入ってしまうでしょう。
トルコで空飛ぶじゅうたんを買った、おばちゃんの旅物語です。おばあちゃんは、じゅうたんに乗って一路タイへ。猫を2匹買い、今度はメキシコにひとっ飛びするとお面を3枚買うなど、行く先々でお土産を仕入れていきます。
しだいにじゅうたんはお土産で一杯に。最後に私にくれたものは……?
- 著者
- ["ステラ ブラックストーン", "コー,クリストファー", "Blackstone,Stella", "Corr,Christopher", "友美子, 福本"]
- 出版日
イギリスの絵本作家ステラ・ブラックストーンの作品です。日本では2015年に刊行されました。
各国の特産品や代表的なお土産が紹介された楽しい絵本。訪れる国が増えるたびにお土産の数も増えるので、数字の学びにも使えます。鮮やかな色使いだけでなく、各国のイメージごとに配色を変えているのも魅力です。
「旅」も「お土産」も、想像するだけでワクワクしてくるもの。もし空飛ぶじゅうたんがあったら、どこに行ってどんなお土産を買おうか、夢が膨らむ内容です。
世界60ヶ国以上を地図で詳細に紹介した絵本です。地図上には、代表的な建造物や食べ物など、あらゆるものが所狭しと描かれています。日本であれば、スカイツリーや松本城、サバや甘えび、そして招き猫や紫式部まで。
それぞれの国を知ることができる資料がぎっしりと詰まった楽しい地図帳です。
- 著者
- ["アレクサンドラ・ミジェリンスカ&ダニエル・ミジェリンスキ", "徳間書店児童書編集部"]
- 出版日
ポーランドの絵本作家でもありデザイナーとしても活躍するアレクサンドラ・ミジェリンスカと、ダニエル・ミジェリンスキの作品です。本書は2014年に刊行された『マップス』に20ヶ国を加えた愛蔵版で、日本では2019年に刊行されました。
海外を旅した経験を絵にしてみようと思ったというアレクサンドラ。母親が地図製作の仕事をしていたこともヒントになったそうです。一方のダニエルは幼少期に読んだ分冊百科の記憶が発想のきっかけとなったと語っています。そんな想いが合致した2人がタッグを組んで絵本を制作。リサーチにも十分な時間を割き、ひとつの国を描きあげるのに1ヶ月以上かかっているんだとか。
何度開いても新しい発見があり、世界中を旅したくなる一冊です。