子どもたちが自分から興味をもって家事に参加してくれると、助かるだけでなく、とても嬉しくなりますよね。お手伝いは、生活力を身につけるのはもちろんのこと、協調性や観察力などの成長も期待できるでしょう。この記事では、お手伝いがしたくなるようなおすすめの絵本を紹介していきます。
「あぁ、いそがしい、いそがしい。ネコの手もかりたいぐらいだわ」(『わたしおてつだいねこ』より引用)
独り言を呟くおばさんの前に現れたのは、なんでもお手伝いをするという猫でした。おばさんは、子どもや旦那さんを送り出してからたくさんの洗濯をするなど朝から大忙しだったので、大歓迎です。
ところが猫は、何をやっても失敗ばかり。おばさんは、とうとう猫に出て行ってもらうことを決心しますが……。
- 著者
- ["竹下 文子", "鈴木 まもる"]
- 出版日
2002年に刊行された「おてつだいねこ」シリーズのひとつ。作者の竹下文子と鈴木まもるは夫婦で、多数の共作を発表しています。
なによりも猫がお手伝いする姿がかわいらしく描かれているのが魅力的。しかも、たくさん失敗をしながらも、一生懸命おばさんのお手伝いしていたのには理由がありました。
それまでたったひとりで昼食をとっていたおばさんが、猫と一緒に過ごす様子を眺めていると、家族の温かみや心地良さを再認識させられるでしょう。
夏休みになったので、アルバイトを始めることにした少年トミー。旅行に行くご近所さんから1日2セントで植木を預かることになりました。パパは仕事で忙しくトミーを遊びに連れていけないため、彼に夏休みの自由な行動を許したのです。
しかしトミーは、びっくりするほどたくさんの鉢植えを預かってきます。植木はどんどん成長し、自宅はまるでジャングルのよう。パパのイライラが募るなか、ある日トミーは不思議な夢を見るのです。
- 著者
- ["ジーン・ジオン", "マーガレット・ブロイ・グレアム", "森 比左志"]
- 出版日
アメリカの絵本作家ジーン・ジオンと、画家で夫人のマーガレット・ブロイ・グレアムの作品です。日本では1981年に刊行されました。夫婦の代表作は、ロングセラーの『どろんこハリー』です。ご存知の方も多いことでしょう。
鉢植えの世話に夢中になっていくトミーと、忙しさと自宅の変貌っぷりに不満を募らせていくパパの対比がユニーク。幼い少年がひとつのことにのめり込む姿にも、自分のひと言が予想外の展開を引き起こしてしまったことを悔やむ姿にも共感できます。そしてそんな2人を優しく見守るママも、この物語に欠かせない存在。ぜひ注目してみてください。
またご近所さんが旅行から帰ってきて、鉢植えが無くなった家には、仕事が一段落したパパが帰宅。素敵なラストシーンが描かれています。
お母さんに牛乳を買ってくるよう頼まれたみいちゃん。まだ5歳、初めてのおつかいです。
2枚の100円玉を握りしめてお店に向かいますが、いつもママと歩く道が、今日はハプニングの連続。さらにお店に着いて声を掛けても、気付いてもらえません。いよいよ困った時、自分でもびっくりするような大きな声が出ました。
「ぎゅうにゅう くださあい」(『はじめてのおつかい』より引用)
- 著者
- 筒井 頼子
- 出版日
- 1977-04-01
1977年に刊行されたロングセラー絵本。表紙に描かれた、牛乳を手にしたみいちゃんの笑顔が印象的です。筒井頼子と林明子がタッグを組んだ作品には『あさえとちいさいいもうと』『いもうとのにゅういん』などがあり、いずれも長く読み継がれています。
初めてのおつかいを通じて、みいちゃんはたくさんの経験をします。満面の笑顔も、心の成長を遂げたからこそでしょう。
ところで作中には、大人の読者も楽しめる仕掛けがあることをご存知でしょうか。道中に描かれたポスターの迷子の猫が違うページに隠れていたり、2人の作者名があったりと、ついにんまりしてしまう秘密が隠れているので、ぜひ探してみてくださいね。
ひとつの見開きにひとつのお手伝いが紹介されている絵本です。
たとえば配膳のお手伝いであれば、お茶碗を並べる時の約束事、器の並び順の意味、お盆の使い方などが紹介されています。
- 著者
- ["辰巳 渚", "すみもと ななみ"]
- 出版日
ベストセラーとなった『「捨てる!」技術』の作者である辰巳渚が手掛けた絵本で、2014年に刊行されました。
大人の仕草や行動を、意外なほどによく見ている子どもたち。家事をしている大人の真似をしてみたいと思った時に手渡してあげたい絵本です。
お手伝いの内容だけでなく、生活に必要な豆知識も習得できるのが嬉しいところ。やってみたいお手伝いを探すことができる構成も魅力的で、いつしか主体的にお手伝いに取り組めるようになるでしょう。
初めて地上に出たアリのありこちゃん。お姉さんたちにアブラムシの蜜をもらってくるよう頼まれ、張り切っていましたが、待ち受けていたのは強風やアリ地獄などのハプニング。無事に帰ってこれるのでしょうか。
- 著者
- ["高家 博成", "仲川 道子"]
- 出版日
1998年に刊行された作品です。作者の高家博成は農学博士で、動物公園に勤務した経験があります。絵本も多数執筆していて、子どもたちを科学の世界に誘う活動に積極的に取り組んでいる人物です。
アリがおつかいに行くストーリーに、生態や習性が織り込まれているのが魅力的。アリの目線で世界を見ると、草木がどれだけ大きくなり、風がどれだけ怖いものかもよくわかります。
知恵を働かせて無事にお手伝いやり遂げたありこちゃんの姿からは達成感が伝わり、勇気ももらえる一冊です。
これからおいしいカレーを作るライオンさん。お手伝いをしてみましょう。
お野菜とって、順番に手渡してね。炒めて、味付けをして、どんなカレーができるかな?
- 著者
- ["夏目 尚吾", "夏目 尚吾"]
- 出版日
タレントの香取慎吾が扮する慎吾ママが実演したことで話題になった作品。2001年に刊行され、2015年には改定版も出版されました。作者の夏目尚吾は、紙芝居作品も発表している人物です。
ライオンのコックさんと一緒にカレーが作れる、参加型の絵本になっているのが特徴的。描かれた材料をライオンさんの指示通りに手渡す動作をしながら、ごっご遊びのように読むことができます。
もちろん読み聞かせにもおすすめ。読み終えた後は、絵本を広げながら、子どもと一緒にカレー作りを楽しむのもよいでしょう。