描写の巧みさだけでなく、仲間たちと切磋琢磨していく人間模様に心打たれ、胸を熱くするのがスポーツ漫画の醍醐味。しかし『ブルーロック』は高校サッカーを題材にしながら、今までにない革新的な内容で注目を集めています。今回、アニメ化が発表され、さらに話題となったこの作品。スポーツ漫画とデスゲームが組み合わさっている理由や、キャラクターの魅力をご紹介していきます。
『ブルーロック』は、金城宗幸原作原案、ノ村優介が作画を担当する漫画作品で、第45回講談社漫画賞の少年部門を受賞、累計発行部数は400万部を突破しています。高校サッカーを題材としていますが、学校やクラブチーム単位で試合をしていき、頂点を目指していくというような、従来の高校サッカー漫画とは一線を画しているのが本作の大きな特徴です。
高校のサッカー部に所属している潔世一(いさぎよいち)は、全国大会出場をかけた試合に負けたばかり。気落ちしていた中、日本フットボール連合から強化指定選手に選出されたという知らせが届けられます。指定された場所には、世一以外にも18歳以下のストライカー300名が集められていました。そこで絵心甚八(えごじんぱち)と名乗る男から、日本が世界一になるために、革命的なストライカー1人を選ぶと告げられます。
この度、『ブルーロック』が2022年にテレビアニメ化することが分かりました!
PVに続き、ティザービジュアルも公開され、SNSで大きな反響を呼んでいます。
そして、主人公である潔世一を浦和希が演じ、そのほか海渡翼や小野友樹などの出演が決定しています!
さらにアニメ『ブルーロック』公式サイトでは、第一陣として発表された上記声優陣のコメントも記載されていますので、ぜひご覧ください。
本作は高校で1番を目指すのではありません。日本サッカーが世界で1番になるために、300人の中からたった1人のエースストライカーを選ぶという、究極のサッカーデスゲームなのです。チーム力が核となるはずのサッカーにおいて、たった1人のエゴを通すという真逆の考えにまず驚かされるのではないでしょうか。
かなり特異な考え方の漫画だと思われますが、元サッカー日本代表で現在東京ヴェルディに所属している大久保嘉人選手など、現役選手も本作のファンであることを公言。本作における「エゴイストFW論」にも共感しています。現役選手も注目する異色サッカー漫画、こちらではあらすじや見所はもちろん、キャラクターや選考過程などを細かくご紹介していきます。
主人公の潔世一は一難高校サッカー部の2年生。FWとして埼玉県大会決勝戦に出場していました。ゴールキーパーとの対面する場面でチームプレイを優先、シュートミスで得点することができず敗退してしまいます。あの時チームを優先せず、自分でゴールを狙っていれば勝てたのだろうか。思い悩む世一の元に、日本サッカー連合から強化選手に選ばれたという知らせが届けられます。
指定された場所には、世一以外にも多くの同年代選手がひしめいていました。そこに現れた絵心甚八は、日本をW杯優勝に導くために雇われたという人物。絵心は、日本が優勝するためには革命的なストライカーが必要と言い、300人の中から1人のFWを選ぶために全員を「ブルーロック」と呼ばれる特殊な施設に収容すると言います。
入所するには、高校をはじめ今までの生活すべてを捨てることが条件。1人のために299人の人生がめちゃくちゃになる可能性もあります。それでもたった1人に選ばれるため、世一たちは「ブルーロック(青い監獄)」での戦いに挑んでいくのでした。
300人の中から1人を選ぶという残酷な選考レース、門が狭すぎるがゆえに過酷な戦いが予想されます。次からは主人公世一をはじめ、本作に登場する注目選手を選抜してご紹介していきます。
潔世一(いさぎよいち)は本作の主人公。埼玉県一難高校の2年生で、物語冒頭に手痛い敗北経験を味わいます。強化選手に選ばれたことを家族だけでなく自身も驚いたくらいなので、U18の選手として知名度は皆無。「ブルーロック」に参加を決めた後、最初に行われたランク付けでも下位の299位です。
- 著者
- ノ村 優介
- 出版日
- 2018-11-16
他の選手と違って自分には高い身体能力やサッカーセンスがないと思い悩みますが、物体の方向や位置、大きさなどの状態を瞬時に判別することができる、優れた空間認識能力があることを自覚してからは才能が開花。
めきめきと実力を身に着けていきます。できなかったことが多いだけに伸びしろが多く、成長が楽しみな選手といえるでしょう。「週刊少年マガジン」が行った第1回人気投票では堂々の1位を獲得。努力し、考えることができる潔に、共感や期待が寄せられています。
「ブルーロック」参加者はまず入寮テストに挑むことになるのですが、その際に世一とともに、チームZとして一次選抜を戦うことになるのが蜂楽廻(ばちらめぐる)です。
- 著者
- ["金城 宗幸", "ノ村 優介"]
- 出版日
蜂楽は自由奔放な性格で、天然気味。独特な感性を持っていますが、他者を蹴落とすことを目的とする本作において、明るさに救われるキャラクターの1人です。
蜂楽はドリブルやパスなどでテクニカルなプレイができる選手。サッカーセンスに優れていますが、サッカーに対する考え方や理想とするプレイの齟齬により、チームメイトとはうまくいかず孤独を味わっています。蜂楽曰く、自身の中には怪物がおり、自分はその声に従ってプレイしているとのこと。内なる怪物は禍々しく、奔放な性格に潜むサッカーに対するエゴを感じさせます。人気投票では3位、普段と試合中のギャップの激しいところも魅力です。
潔は最初のランキングで299位でしたが、300位という最低評価を受けていたのが五十嵐栗夢(いがらしぐりむ)です。愛知県出身、実家はお寺で名前のとおりイガグリのような坊主頭が特徴。実家を継ぐことに反発しており、日本代表になれば実家を継がなくて済むという理由で「ブルーロック」に参加しました。参加者の中では、1番特異な理由でしょう。
最下位評価であることも頷けるくらい、選手としては勝るところがないという五十嵐。本人も自身の実力が劣っているという自覚はあるようです。諦めない心で食らいついてきましたが、デスゲームに勝ち残っていくために彼が身に着けた武器は、ずる賢さ。ポルトガル語で「マリーシア」と呼ばれており、主に駆け引きをさす言葉として使用されています。ゲーム中の流れや空気を換えていくのも選手としての力量。五十嵐のスタイルはスポーツにおいて賢さも武器であると教えてくれます。
ランク下位選手が配属されているチームZになった千切豹馬(ちぎりひょうま)は、足の速さが武器の選手。威力とコントロールに優れ、超高校級の選手として名の知られた存在でした。
- 著者
- ["金城 宗幸", "ノ村 優介"]
- 出版日
1年前にした大怪我によりサッカーの道を断念しようと考えていましたが、「ブルーロック」に参加したことでサッカーへの想いが再燃、存在感を増していきます。
足の速さが売りの豹馬ですが、髪が長いのが大きな特徴。編み込みにするなど美意識が高めで容姿も女の子のように可愛らしく、1人だけ女子が混ざっているような錯覚を起こしてしまいます。言動がマイペースなことから付けられたあだ名は「ワガママお嬢」。エゴを貫く人材が生き残る「ブルーロック」においては必要な素質といえるのではないでしょうか。人気投票では4位にランクインしています。
雷市陣吾(らいちじんご)もチームZに所属、ランク294位という微妙な位置づけの選手です。華麗なシュートテクニックが武器と自負しており、座右の銘は「セクシーフットボール」。作中では売りである部分は強調されておらず、ディフェンスでの活躍が目立ちます。身長184㎝でがっしりとした体格をしており、スタミナも売りの1つといえるでしょう。
マイペースかつ傍若無人なキャラクターが多い本作ですが、なかでも雷市は特に口が悪いキャラクター。我が強く周囲との衝突も絶えません。攻撃的すぎる性格は不和をもたらすか、唯一無二のストライカーとして必須の要素なのかは悩むところです。仲間に声をかけるという行為自体は推奨されるものなので、方向性が変わっていけばチームを奮起させるムードメーカーとなれる可能性を持つ選手です。
チームZ所属の我牙丸吟(ががまるぎん)もかなり個性の強いキャラクターです。黒目がちの瞳と部分的に金髪という奇抜な髪色、190㎝というかなり大柄な体格が特徴で、動物が大好き。山の動物と会話ができたり食べ物を素手で食べたりするという特異な行動が見られるため、周囲からは「野生児」と呼ばれることも。あだ名のとおり、どこか動物的な要素を強く感じます。
武器は、恵まれた身体能力。身長だけでなく肉体のバネに優れており、そのため常人には難しい変則的なシュートを打つことやブロックをすることができます。肉弾戦も得意で、ゴールポストにぶつかってもゴールを狙うなど、打たれ強さに加えてゴールを執拗に狙っていく貪欲さも持ち合わせています。自然に添うからこそ欲とは無縁に感じられますが、内には勝利への欲望が渦巻いている、まさに野生児という名にふさわしい人物です。
世一たちチームZの対戦相手、Xチームのメンバーとして対決することになる馬狼照英(ばろうしょうえい)は、自己中心的な超オレ様。自身を王様と称し、サッカーにおいては、チームメイトは自分を輝かせる存在でしかないと豪語、ボールに至っては下僕という認識という、まさしく「ブルーロック」向きの考え方をすでに持っている人物だと言えます。
- 著者
- ["金城 宗幸", "ノ村 優介"]
- 出版日
突進力があり、正確無比なシュートも魅力。強靭な肉体を活かしたプレイが持ち味ですが、馬狼の肉体は天性のものではなく、自ら実施してきた徹底的なトレーニングの賜物なのです。オレ様な性格ではありますが、実はかなり几帳面で神経質。「ブルーロック」にくる以前からトレーニングを実施しており、その内容がかなりストイック。過剰ともいえる自信は根拠がないものではなかったのです。粗暴そうに見えてマナーやルールを守るというギャップの持ち主、人気投票では5位にランクインしました。
多くの選手が小学校低学年か中学校までにサッカーを始めているのに対し、凪誠士郎(なぎせいしろう)と後述する御影玲王は「ブルーロック」に選手たちが召集される約半年前とかなり短め。
- 著者
- ["金城 宗幸", "ノ村 優介"]
- 出版日
元々サッカーに興味を持っておらず、有名サッカー選手の名前もあまり知らないという稀有な人物です。しかし才能は本物。「ブルーロック」では得点王になるなど目覚ましい活躍を見せています。
ボールを身体の一部で受け止め、次の行動に移しやすい位置に置くトラップをはじめとしたボールコントロール能力に優れており、全体的なスキルが高め。身体能力にも優れており、どんな姿勢からでもシュートやパスに映ることができます。凪はルーズな性格で、口癖は「面倒くさい」。元々興味がなかったため、他の選手に比べると熱量は低めです。向上心を持ったらどうなるのか、先が楽しみな選手です。人気投票では2位にランクインしました。
御影玲王(みかげれお)は凪をサッカーに誘った張本人であり、高校在学中には相棒としてプレイしていました。
- 著者
- ["金城 宗幸", "ノ村 優介"]
- 出版日
実は総資産7058億という「御影コーポレーション」の御曹司。ついでに容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能という絵に描いたような勝ち組人生を送ってきました。手に入らない物はないと豪語できるレベルですが、サッカーを始めたのは簡単に手に入らない、唯一無二のモノが欲しかったからなのだとか。
サッカーにおいてもその万能性が出ており、全てのスキルが高い水準にまとまっているオールラウンダータイプ。ゲームメイクも得意で、参謀としてチームをまとめます。御影の弱点は、恵まれすぎたからこその精神的な脆さ。短気で直情的なところがあり、プレイに影響を及ぼすこともあります。精神的な成長が今後の活躍の鍵となってくるのではないでしょうか。人気投票では9位にランクインしました。
入寮から一次選考までは世一を中心とした下位ランクの選手の戦いを描いていきましたが、二次選考からは高位ランクとされている選手たちとの試合風景も描かれていきます。糸師凛は16歳、まつげが特徴です。
- 著者
- ["金城 宗幸", "ノ村 優介"]
- 出版日
クールかつ傲岸不遜な性格で、同格以下の相手には高圧的な言動をとることも。世界のクラブチームで活躍するサッカー選手糸師冴は兄であり、日本代表選手になって兄を超えるという野望を胸に秘めています。
「ブルーロック」のトップランカーという名に恥じぬ技術力、身体能力の持ち主。相手の思考をも操ってフィールド全体を支配するという戦法を可能にしており、参加選手のなかでも頭一つ抜けた選手であるという印象を受けます。周囲と一線を置くクールな性格ですがサッカーとなると別。どんな相手でも全力で戦い、不利な状況でも諦めないという強い精神力を持っています。高い技術と強靭な精神力、双方が備わっていなければトップストライカーにはなれないと、糸師の在り方が示しているといえるでしょう。人気投票では6位にランクインしました。
蟻生十兵衛(ありゅうじゅうべえ)も二次選考から登場する選手。
- 著者
- ["金城 宗幸", "ノ村 優介"]
- 出版日
独特の美意識を持っており、ナルシストな一面があります。長い黒髪と長い手足が特徴で、口癖は「オシャ」。万人が見てオシャレだからというわけではなく、蟻生の琴線に触れた物事や人物が「オシャ」認定されている様子で、たとえ敵であってもオシャならば敬意を表するなど一定のこだわりと見せています。
そんな蟻生の武器は、長い手足。身長2m以上と出場選手のなかでもひときわ高く四肢も長いため、常識の範囲で考えているとすぐさまボールを奪われることになってしまいます。相手がボールを持っている状態でも、自分の領域としてシュートやパスにつなげることができるというのは大きな利点。プレイにも迫力があります。己の美を追求していますが、実は自分の「十兵衛」という古風な名前がコンプレックス。指摘すると動揺するという、意外な弱点を持っています。人気投票では11位にランクインしました。
エゴイストであることを求められる「ブルーロック」のシステムの中では、多くの選手は自己中心的で空気を読んで周囲と合わせることはありません。なかでも士道龍聖(しどうりゅうせい)は、最も暴力的と言ってもよい人物。
- 著者
- ["金城 宗幸", "ノ村 優介"]
- 出版日
相手に暴力を振るうことに対して躊躇いがなく、試合に満足できなかったからという理由で対戦相手を殴ることも。剽軽な物言いをすることもありますが暴言は多め、実力を認めた相手は褒めるなど、士道なりの公平さは見せています。
色黒で金髪と外見も派手でどこか粗野な空気を感じさせますが、プレイスタイルも荒々しさがあるのが特徴です。体操選手なみの身体能力や柔軟性を持ち、どんな姿勢からでもシュートを打てる身体能力とセンスは抜群。半面、性質が攻撃に特化しているためディフェンス面が弱いのが難点です。とはいえ、攻撃は最大の防御、攻めていくからこそ強いともいえます。
烏旅人(からすたびと)は、ツンツンとした髪型と泣き黒子が特徴のキャラクター。基本的に関西弁で、物言いはきっぱりと歯に衣着せぬといった鋭いものです。ノリが軽いのかと思いきや、実はかなりの頭脳派。相手のデータ分析を徹底的にするなど、下準備は怠りません。試合にもデータは存分に生かされており、烏の戦略にも大いに活用されています。
高いフェイント技術を活かし、ボールをキープすることを得意とする烏ですが、頭脳派かつ効率を重視するという特性は、戦術に現れています。相手の弱点を突くことに重きを置いており、徹底的に追い詰めていく姿は「殺し屋」と呼ばれるほどえげつないもの。戦術から考えれば最も効率がよい勝ち方ともいえるので、卑怯ともいえないところがあります。また、相手の弱点を見抜くのは的確な情報分析能力があるからでしょう。味方に居れば心強いといえる選手ではないでしょうか。
三次選考から本格的に登場する氷織羊(ひおりよう)は中性的な容姿を持ったキャラクター。体格がよい他の選手に比べても細身で、京都弁で話すことから一層柔らかい印象を受けるでしょう。実はかなりのゲーマーで、プレイ中も例えを往年のパズルゲームにするなど、相当やり込んでいる様子。試合風景を見ると、他の選手よりもチームプレイ向きといった様子が伺えるので、彼の持つエゴイストな部分がどのようなものなのか、気になるところです。
氷織の持ち味は、高精度なパスとボールをキープする技術。また、ゲーマーならではの能力か分析能力に優れており、敵味方双方の改善点も良く見えているようです。潔は氷織のアドバイスによりシュートを決めることができるなど、成長する糸口を掴むきっかけを作りました。プレイスタイルや選手としての在り方も他の選手とは一線を画しているものの、「ブルーロック」に参加しているからには何か目的があるはず。今後の活躍と掘り下げを待ちたいところです。
注目選手を中心に紹介してきましたが、ここで「ブルーロック」の仕掛け人たる2人の人物をご紹介しましょう。まずは帝襟アンリ(ていえりあんり)。
「ブルーロック」を作るきっかけを作ったといえる人物です。日本フットボール連合の新入職員で日本のW杯優勝を夢見ており、サッカーは金儲けと豪語する会長や上層部に怒りを覚えていました。
このままではW杯優勝は不可能だと言い切り、現状を打開するための策として絵心を雇います。勝気で男勝りな性格ですが、絵心がアンリ以上に曲者であるため振り回され気味。紅一点ですが若干不憫な立ち位置になっています。また、男子ばかりの作品なので、スタイル抜群で美人なアンリは画面の上でも癒しの存在といえるでしょう。人気投票でも選手を差し置いて8位にランクインするなど、存在感は抜群です。
アンリがどこからともなく招集し、「ブルーロック」のシステムを作り上げたのが絵心甚八(えごじんぱち)。
エゴイストたることを求められる本作において、名前からして「エゴ」な絵心は、W杯優勝という途方もない目的のために多くの選手の人生を犠牲にするというエゴイストっぷりを発揮しました。
絵心のサッカー理論は極論と感じる部分はありますが、理論には変わりありません。絵心なりの筋が通っているため、反発する部分はあるものの、うなずかせる力強さがあります。ただ反発心を煽って選手を戦わせるだけでなく、技術を伸ばすためのアドバイスをするなどコーチらしい一面も見せました。
過去を全て明かしているわけではありませんが、現役選手として活躍していたことがあったのだとか。インスタント食品をよく食べるのは選手時代、食事制限をしていた反動なのだそうです。
元選手とサッカー連合の職員という、現役の選手とはまた違った立場ですがすべての始まりたるこの2人。やはりこの作品にふさわしく「エゴ」の塊だと言えます。
全国の高校生300人が集められ、「ブルーロック」での生活が始まりました。入寮から一次選考が終わり、二次選考が開始されました。二次選考は1~5のステージに分かれており、3人1組からスタートし、負けたチームから1人を引き抜いて5人組を作ったチームが勝ち抜けとなります。
10巻では二次選考4thステージの潔、馬狼、凪、千切チームと糸師、蟻生、時光、蜂楽チームとの対決を中心に描いてきました。最新11巻では、二次選考の決着がつき三次選考に残るメンバーが公開されました。さらには対外的な事情から急遽ルール変更となり、世界選抜チームとの対戦が実現します。
「ブルーロック」内での出来事が中心でしたが、実は外部からの圧力があるなどの事情も判明する巻。選手たちも絞られてきており、さらなる激闘がくり広げられていきます。見所は目標である世界で活躍する選手との対決。「ブルーロック」内での戦いだったため、その中での優劣はわかりますが、世界とのレベルがどの程度なのか明確になるのは重要なポイントです。選考の裏目的も判明するため、目が離せません。
- 著者
- ["金城 宗幸", "ノ村 優介"]
- 出版日
選手や選考があるということだけ解説してきましたが、では実際にどんな選考が行われてきたのか、詳しく解説していきましょう。
まず集められた選手たちは入寮テストに挑みました。内容はサッカーの技術的を見るといったものではなくまさかの「オニごっこ」。サッカーのPA(ペナルティエリア)とほぼ同じ大きさの室内の中、1チーム12人に振り分けられた選手たちの中で、制限時間136秒の最後にボールを当てられた者が脱落します。
チームはランクごとに分けられており、潔は300位~289位までの組み合わせで参加していました。終了間際にボールを持っていた潔は、アクシデントにより足に怪我をしていた五十嵐を狙おうとします。しかし、「ブルーロック」参加の目的を思い出して方向転換、県大会決勝での因縁の相手、吉良涼介にボールを当てて脱落させました。
一次選考は入寮テストで組み分けられた11人を1チームとし、V~Zの5チームが参加する総当たりグループマッチが行われました。二次選考に進むのは、上位2チームと最も多く得点を決めたもの。潔たちチームZは第1試合、馬狼らが振り分けられたXチームと対戦、敗北してしまいます。
チームY戦では作戦が功を奏して勝利、チームW戦ではチーム内の裏切りが発覚、潔や千切の奮闘により不利な状況から引き分けに持ち込みました。最強と言われるチームV戦では、1人少ない10人での戦いを強いられました。劣勢が続きますが、蜂楽の活躍もあり士気を取り戻したチームZは勝利をおさめます。
二次選考は他の寮に配属された選手も参加して行われました。奪敵決戦(ライバルリー・バトル)は1~5ステージを設定。1stステージは小手調べとなっており、世界のゴールキーパーのデータが集約されたホログラムゴールキーパーから、90分間で100ゴールを決めた者が2ndステージに進むことができます。
2ndステージからは引き抜き戦となっており、3人1組でスタート。1stステージで使用したゴールキーパーを採用し、先に5点先取したチームが勝利となります。勝ったチームは敗者から選手を1人引き抜くことができ、4thステージまでに5人組を作ったチームが選考突破となります。
潔は蜂楽、凪とチームを組みますが、初戦は糸師、蟻生、時光青志とランキングトップ選手ばかり。圧倒的な実力差に敗北、蜂楽を引き抜かれてしまいました。その後馬狼のチームと対戦し、勝利。続く御影、千切、國神錬介のチームにも勝利をおさめます。4thで再び糸師たちのチームに挑みますが敗北、潔は引き抜きという形で二次選考を突破しました。
ちなみに二次選考からはステージで勝ち抜いていくごとに生活環境が良くなっていくという特典が付与されました。格差がより明確になったことも、選手たちが奮起するきっかけになったようです。
二次選考までをまとめましたが、まさに負ければそこで終了というデスゲーム。三次選考も厳しい戦いが続きます。まず、二次選考の5thステージまで進んだチームは、三次選考の一時ノルマである「世界選抜戦」に参加。「世界選抜戦」は、文字通り世界選抜選手との対決。5vs5で5点先取した方が勝利となります。
世界選抜の選手、ジュリアン・ロキらは絵心が招待しましたが「ブルーロック」参加者と同年代の17歳前後。すでに世界で活躍する選手にまったく歯が立たず、潔たちは敗北してしまうのでした。しかし、三次選考参加者に意外な情報が伝えられます。なんと世界選抜との戦いは、U-20日本代表選考も兼ねていたのです。
急遽英語の勉強も強いられることとなった選手たちですが、絵心から選考プランを変更しブルーロックでチームを作り、現在のU-20代表選手と対戦することが伝えられました。そのため、現在進行中の本編ではチーム作成のための適性試験(トライアウト)が行われています。
適性検査は固定選手2名を代表とした6チームを作り、5vs5マッチで争います。固定選手は世界選抜戦終了までの上位6名が担うため、現在の「ブルーロック」内の実力差が明確になりました。固定代表は、糸師、士道、烏、乙夜影太、雪宮剣優、凪の6名。潔は糸師、士道を固定としたAチームで戦うことになります。
6名は代表として選出されることはほぼ確定ですが、残りの5名と控えの選手が選出される形になります。全員FW代表を目指していますがプレイスタイルは様々。試合をするという展開上、残っている選手のなかでも突出した個人プレイヤーよりはサポート力に優れた選手が残るのではと予想されます。
ゲームメイクが得意だったり、どんなポジションでも器用にこなすオールラウンダーも存在するなか、成長著しいとはいえ潔が代表としてポジションを獲得するのは困難でしょう。最新の展開ではゲーム全体を動かす力がついてきたところが見え、司令塔としての役割を担えるのではと期待が高まります。
また、現在のU-20代表選手チームには、糸師凛の兄である冴も参加。世界の若手選手のなかでも注目を集める冴の真の実力も気になるところです。「ブルーロック」内では三次選考が進んでいますが、二次選考敗退者が参加することができる敗者復活戦の存在が明らかになりました。展開や誰が勝ち上がってくるのか、敗者がどう選考に絡んでくるのか、混戦が予想されます。
本作は最も優れたエゴイストであるFW1人を決める物語。選考過程では順位が登場しますが、結局参加者の中では誰が1番有能なのかが気になってしまいます。選考の結果が出ていない以上禁断の話題感は否めませんが、これまでの展開から「ブルーロック」内の強さランキング上位3名をご紹介したいと思います。
凪は二次選考終了時のランクでは6位ですが、サッカー歴半年という時間を考えると、逆に6位という数字が脅威に思えてくるでしょう。他の選手と比べて圧倒的にサッカーの経験が少ないはずなのに、高い身体能力と優れたトラップ力が印象に残ります。面倒くさがりスタートなので、やる気を出したらもっと伸びると考えられるでしょう。天才が本気になったらという期待からも3位としました。
暴力上等、粗暴かつ我の強い士道ですがサッカーの技術は軒並み高い水準を誇っており、どんな体勢からもシュートを打てるという抜群のシュート力が売りでもあります。相手を馬鹿にすることもあるのでチームメイトと連携できないのかと思えばそんなことはありません。チーム単位での試合を考えられるなど、意外と冷静な部分もあるため、元々の能力も相まって2位となりました。
現在の「ブルーロック」内でもトップランカーとして君臨し、高いサッカー技術を持っているのはもちろんのこと、糸師だけが持つ様々な能力がポイントです。なかでもフィールドを操作する能力が抜群に高く、敵味方関わらず操作するというのは特筆すべきことでしょう。誰もが彼の思うままという、フィールドへの支配力の高さは、1位にふさわしい能力といえるでしょう。
そんな糸師ですら歯が立たなかった世界選抜の選手たちや、兄の冴らU-20の選手たちの実力が気になるところ。「ブルーロック」の面々が競い合う仲でどれだけ成長できるのか、それによって順位も変動していきそうです。
まとめ
日本のサッカーのタブーに切り込んだ話題が多く、冒頭から攻めた内容だなと感じる本作。波風を立てず空気を読んで過ごすことを求められる社会において、自分を貫き通すことを求め続ける「ブルーロック」の中は過酷ではあるものの、選手たちが生き生きとしているように感じられます。選考はまだ半ば、ぜひ自分の推し選手を見つけて応援してください。
2022秋ドラマ・アニメ 原作まとめ!
2022秋季アニメ・ドラマ化した原作漫画・小説の紹介記事をまとめました!