『それでも愛を誓いますか?』全巻ネタバレ!リアルミドサー夫婦たちの悩みに共感!

更新:2021.12.10

夫婦の事情は各家庭によって異なるもの。仲睦まじく笑顔で過ごしていても、内側には何かわだかまりを抱えているかもしれません。『それでも愛を誓いますか?』は30代半ばの夫婦を描いた作品。リアルすぎてイライラするか共感するかは読者次第、作品の見所や最新の展開をご紹介していきます。

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『それでも愛を誓いますか?』リアルミドサー物語に揺さぶられる!

『それでも愛を誓いますか?』は萩原ケイクの漫画作品。web上で配信されているほか、コミックスが発売されています。主人公は30代半ばの夫婦。妻の純須純(すみすじゅん)は35歳、夫の武頼(たけより)は39歳、結婚して8年目で子どもはなく、大きな喧嘩もなく穏やかな日常を過ごしていました。

純は結婚後に仕事を辞め、現在はパートをしながら夫の帰りを待つ状態。子どもが欲しいと思いつつも、疲れて帰る夫を誘うこともできずセックスレスになって5年が経過していました。子どもも持たず、セックスもしない日々を続けるのか、悩む純は自分を磨くため就職しようと心に決めるのでした。

仕事でもプライベートでも転機が多い年代、どこにでもいる等身大の存在である純が問題に直面し、悩み焦る姿を自分に重ねる読者も多いのではないでしょうか。ミドサー女子のリアルが詰まった作品、この記事では見所だけでなく最新の展開も解説します

セックスレス夫婦の悩みがリアル!【あらすじ】

まずは物語のあらすじをご紹介いたしましょう。

結婚8年目になる純須純と武頼夫妻。純は5年前に仕事を辞め、パートとしてコンビニで働いていました。武頼は大手ゼネコンに勤務、朝早く夜遅い仕事で日々疲労がたまっています。セックスレスになって5年、友人たちの子どもの話を見ると胸がモヤモヤするものの、純は武頼に「子どもが欲しい」と口にすることができずにいました。

『それでも愛を誓いますか』1巻

レスなのは自分に手を抜いていたからだと考えた純は、昔の自分の輝きを取り戻すために就職を決意。派遣会社に登録し、企業の営業アシスタントとして働き始めます。仕事をはじめ、充足感を覚えた純は仕事終わりに見た夫の姿にときめき、久しぶりにセックスに誘いますが武頼は拒否。子どもの問題をどうするか問い詰めますが、口論にすらならず落ち込んでしまいます。

仲直りはしたものの、子どもの問題は棚上げ状態。揺れる純の前に、知らない女性と子どもと連れ立って歩く武頼が現れます。老いた母親は介護施設、実家は売り払い帰る家もなく自身は非正規雇用。夫の浮気疑惑に加え、帰る家もないことに直面した純の前に、会社の年下の同僚、真山が現れるのでした。

著者
萩原 ケイク
出版日
2020-03-11

『それでも愛を誓いますか?』登場人物をネタバレ紹介

夫婦間のわだかまりが周囲の人々も巻き込み、どんどんと広がっていきます。続いて物語の中心となる純須夫妻と主要人物をご紹介していきましょう。

順須純

主人公の順須純は35歳、大手広告代理店に勤めていた時、取引先の担当だった武頼と出会い、8年前に結婚。5年前に仕事を辞め、コンビニでパート勤務をしています。人当たりはよいですが人の顔色をうかがい、本音を隠して内にため込みがち。子どもがいないことで思い悩んでいます。物語冒頭で派遣会社に登録。両親が高齢になってからの子どもだったこともあり、父親はすでに他界、母は介護施設に入所し兄とは疎遠になっています。

純須武頼

夫である純須武頼は39歳、大手ゼネコンに勤務しています。働き者として職場のベテランからも評価されており、早朝から深夜まで仕事をすることも。ぶっきらぼうな性格で言葉数は少なめ、純を大切に想ってはいますが子どもについては、なるならよい父親になりたいと答えを保留にしている状態です。EDになっていることもあり、5年前から純とはセックスレスが続いています。

足立沙織

子ども以外に夫婦の間に入り込んでくる存在が登場しますが、1人が足立沙織。39歳で子どもが1人いるバツイチ、教師として働いています。武頼とは高校の同窓会で再会しましたが、実は元カノ。再会してからも連絡を頻繁に取り、実際に会ったりと純須夫婦をかき乱します。

真山篤郎

沙織同様、重要なポジションを担うのが真山篤郎です。真山は純が働くことになる派遣先の会社の社員。人とのコミュニケーションを苦手としており、常にマスクを着用。言葉数も少なく、真面目できっちり仕事はこなしますが定時で帰るなど、今どきの若者扱いされている23歳です。最初は純に対してあまりよい印象を抱いていませんでしたが、街中で偶然会ったことをきっかけに距離が縮まっていきます。

『それでも愛を誓いますか?』1巻

他にも純の友人である既婚で子持ちのサヨや不妊症のアヤ、純の高齢の母親や武頼の父など、2人にとって欠かせない人間関係が心をざわつかせます。

各巻の見所をネタバレ解説!嫌なところを突いてくる?

1組の夫婦のすれ違いから始まる物語、あらすじや登場人物を読んだ時点で不穏な展開を予想したのではないでしょうか。人間関係は拗れ始めるとなかなか修復が難しいもの。純と武頼は互いに折り合いをつけて生活しているものの、沙織をはじめとした周囲の人々がかき乱していきます。

このかき乱されるという、心がざわつくような感覚も本作の魅力のひとつ。目を逸らしていた事実を突きつけられたような気がして、読者もどこか焦った気持ちが生まれるでしょう。こちらではその他にも本作の見所や魅力を3つ解説していきます。

見所1:ミドサーとアラフォーが主人公

まず注目していただきたいのが、純と武頼の年齢です。人生の1つの分岐点としてアラサーを主人公とした作品が増えましたが、本作は少し上がってミドサーとアラフォー。人の寿命が約80歳だと考えても、まだまだ若い年齢だといえるでしょう。しかし、世間的には家庭を持ち、落ち着いた頃合だと思われます。

純須夫妻のような年齢の夫婦を主人公とした作品はもちろんありますが、リアルな問題に切り込んだ作品はそう多くはありません。日々が忙しく、家庭の問題を他者に相談することに気が引けることもあるのでしょう。まったく同じ悩みを抱えていなくても、純をはじめとした登場人物の悩みが、読者自身と重なって感じられる瞬間があるはずです。

見所2:複雑に絡み合ういくつもの悩みがリアル

悩みが1つではないというところも、見所の1つ。当然、人間は様々なことに頭を悩ませているもの。純の主な悩みはセックスレスおよび子どもがいないことですが、他にも親や兄弟、子どもとの関係、介護など、夫婦間以外の問題も出てきます。

特に親の介護の問題はまさしく30代以降に考えなければならないこと。純の年齢では少し早く感じますが、出産する年齢が高くなっている現代では今後、こういったケースも増えていくでしょう。けして他人事ではありません。

見所3:実話じゃないの⁉時代に沿ったテーマ選び

あまりにリアルすぎて作者の実体験では、と思ってしまいますが、作者の萩原ケイクは本作に登場する問題は、ニュースで取り上げられている話題を盛り込んで作成しているとのこと。だからこそ悩みは時代に沿ったリアルな内容になるのでしょう。現実と作品世界が乖離していないからこそ、読者の心を掴んで離さないのです。

次からは現在刊行されている、書籍版のあらすじと見所をご紹介していきましょう。

子供をめぐって夫婦にすれ違いが生じる【1巻ネタバレ】

子どもがいないことに劣等感や焦燥を感じている純は結婚して8年、夫の武頼とは5年セックスレス状態が続いています。誰にも相談することができず、子どもの話題を見るのも避ける日々が続いていました。ある時一念発起し、パート勤めを辞めて就職することを決意。派遣会社に登録し、営業アシスタントとして働き始めます。

仕事はそれなりにこなすことができていましたが、夫婦にすれ違いが生じ始めます。子どもについて純は武頼を問い詰めますが、話し合いになりません。一応の仲直りはしましたが、空気は重くぎこちなく感じられます。

『それでも愛を誓いますか?』1巻

原因は自分にあると感じ始めた純でしたが、高齢者施設に入所している実母に会った帰り道、友人と出かけたはずの武頼が見知らぬ女性と子どもと一緒にバスから降りてくるのを目撃してしまうのでした。

1巻は1話~5話までを収録。結婚すれば子どもができるものと当然考えがちですが、様々な理由で子どもを持たない夫婦も存在します。純が悩み苦しむ姿に共感する人も多いでしょう。無意識な言葉が他者を傷つけると同時に、武頼は何やっているんだと苛立ちを感じるのではないでしょうか。1巻の見所は、話し合いできない結果のすれ違い。何も言わない事の残酷さが胸に刺さります

著者
萩原 ケイク
出版日
2020-03-11

浮気⁉新たな出会いに不穏な空気?【2巻ネタバレ】

仕事面では充足感を感じていた純でしたが、プライベートはいまひとつ。子どものことで言い争いになり、武頼は家を出て行ってしまいます。苛立ちと帰ってこない武頼を心配し休むことができなかった純は体調を崩してしまいます。一方、武頼は高校生の時の元カノ、沙織と会っていました。教師をしている沙織は保護者の目があり自由がないと言い、高校生のころを懐かしみながら武頼にキスをします。

武頼が帰宅し仲直りをしましたが、謝罪の言葉がないことに純はモヤモヤした気持ちを飲み込むことができません。浮気をしているのか、問いただしたいけれども喧嘩になるからと飲み込んでしまいます。一方、会社からは正式に雇用となり社会人としての自信を取り戻し始めました。そしてシステム課の同僚である真山から、気になっているという告白めいた言葉を告げられます。

2巻は6~10話を収録。当たり障りのない夫婦関係でしたが、徐々に心が離れているようにも感じられます。その隙を突くように現れたのが沙織と真山。沙織は元カノですが、清純そうに見えて魔性なのかと言いたくなるほど積極的。純とはまた違ったタイプの女性だけに、武頼が揺らいでいる姿にイラっとする読者もおられるのではないでしょうか。見所は真山の告白。周囲が不穏なだけに不器用で純情な真山の存在に癒されます

著者
萩原 ケイク
出版日

武瀬の本音?子どもを作らない本当の理由【3巻ネタバレ】

沙織とのことを純にすべて告白した武頼。キスしたことも明かされ、純は自分とはしないのにと激しく動揺します。武頼も純に対しての罪悪感を抱えており、純の要望通り連絡先を全て消し、沙織と一切連絡を取らないことを約束しました。しかし、純の心は晴れることがなく、苛立ちばかりが強くなります。

正社員になったことで仕事が忙しくなり、残業や飲みに行くことも増えた純。逆に武頼は帰宅しても純が居ないことに違和感を覚え、純について考える時間が増えていきました。沙織とはもう関わらないと決めたものの、彼女からは執拗に連絡が来ます。一度だけ沙織と顔を合わせた武頼は告白をされますが断りました。しかし、沙織は純と接触を図ろうとSNSに「いいね」と自分の足跡を残すのでした。

3巻は11話~15話を収録。沙織という女性の恐ろしさが際立ちますが、見所はずばり武頼です。今まで多くを語らなかった武頼にスポットが当たり、何を考えているのかが読者にもわかるようになってきました。なぜ子どもを作ろうとしないのか、純に対してどのような感情を抱いているのか。それを純と相談したらよいのでは、と思いつつ本音を聞けて安堵する部分もあるのではないでしょうか

著者
萩原 ケイク
出版日

『それでも愛を誓いますか?』最新話ネタバレ!展開予想

コミックスは3巻まで発売されていますが、webでの連載は続いています。こちらでは、最新話のネタバレと今後の展開予想をお話ししていきましょう。

3巻までは不穏な状態が続きますが、双方沙織と真山との微妙な関係が続くものの、夫婦の問題に向き合っていこうとします。子どもだけでなく離婚という可能性も浮上しますが、純の会社の同僚三好や武頼の先輩である五郎など、周囲の人の意見や温かさに触れ、すれ違いながらも夫婦としての在り方を模索していくのでした。

一方沙織は武頼と会っていたことを不登校の生徒、神山に見られてしまったことで脅されていました。複雑な家庭事情を持ち、苦しんでいる神山に昔の自分自身を重ねる沙織。しかし沙織の言葉に神山は激昂。母親に預けたはずの息子が沙織の元に行方不明になったという知らせが届けられるのでした。

純と武頼の関係とともに、沙織の過去が深く語られます。なぜ彼女が武頼に執着するのか、その一端も見えてきますが、今までの行動を顧みた時に素直に同情することもできません。しかし、沙織の存在があったからこそ武頼は純について深く考え、向き合おうとすることができたともいえるため、複雑な気持ちが増していきます。

今後の予想ですが、純と武頼は離婚せず夫婦として物語が完結するのではないでしょうか。物語の序盤とは純の立場も変わり、1人で生きていけるようになったからこそ対等な関係として話ができるようになったように感じられます。子どもを持つかはどちらもありそうだなという感じがしますが、仮に持たなくても純は今までのような劣等感ばかりを抱えて生きることにはならないでしょう。

まとめ

十人十色、人それぞれ考え方が違います。育った環境も価値観も違う2人が家庭を作っていくという行為は、誰もが簡単に行っているように見えますが、実はそれぞれ不満や不安を抱えているのかもしれません。何でも話し合い、分かり合える夫婦関係は素晴らしいものだけれど、それは当人たちの努力によって成り立つものなのだと、あらためて考えさせられました。夫婦関係に悩んだ時の一助となる作品、リアルな悩みが凝縮されています。

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