悪魔も様々な外見をしていますが、女性の悪魔だった場合、お色気展開を期待したくなるのではないでしょうか。『悪魔のメムメムちゃん』は、そんな期待を覆してくるキュートなポンコツアクマが登場するギャグ漫画。webアニメ化やゲーム化、VTuberデビューもしているメムメムちゃんの魅力を余すことなくご紹介していきます。
『悪魔のメムメムちゃん』は、web漫画配信サイト「少年ジャンプ+」に連載されている、四谷啓太郎のギャグ漫画。舞台は現代ですが主人公は悪魔という、現代ファンタジー作品です。悪魔というと、どんなキャラクターを想像するでしょうか。一般的な悪魔は人を堕落させ、破滅に導いていくはずですが、メムメムちゃんはちょっとどころかだいぶイメージからはかけ離れた存在です。
高校生の小日向日太(こひなたひょうた)は、アパートに下宿し一人暮らしをしている高校1年生。ある日眠っていると、どこからともなく女性の色っぽい声が聞こえてきます。
恐怖と期待の入り混じった日太が目を覚ますと、そこにいたのは色気の欠片もない、幼女悪魔メムメムちゃんでした。
人の魂をとるため、メムメムちゃんの斜め上の奮闘をコミカルに描いていきますが、なんといってもメムメムちゃんのキャラクターが魅力的。ドジで色気ゼロ、常に涙目、小心者なのに自己主張はしていくという、ポンコツっぷりがたまりません。
公式サイトでショートwebアニメやアプリゲーム、さらにはVTuberデビューと多方面で魅力を振りまくメムメムちゃん。こちらでは作品の魅力はもちろん、メムメムちゃんやキャラクターの魅力をご紹介していきます。
メムメムちゃんの魅力を語る前に、まずはあらすじをご紹介いたしましょう。
高校1年生の小日向日太は、アパートの下宿で一人暮らし中。美人な大家さん母娘を眺めることを日常の癒しとしていました。ある日の夜、日太が眠っているとどこからともなく声が聞こえてきます。それは女性が色っぽく誘ってくるような声でした。
日太の脳裏にエッチなことをして魂をとるという淫魔の姿がよぎります。恐怖を感じるも、エロいことがされたいと欲望のままに起き上がった日太。目の前にいたのは、涙を浮かべ膝にラジカセを抱えながらうつむく幼い悪魔の姿だったのです。
想像の中では露出が多く凹凸のハッキリした色っぽい悪魔を思い浮かべていましたが、目の前の悪魔はまったくの正反対。想像との差に困惑する日太に、悪魔メムメムは涙を浮かべたまま誰か殺したい人はいないかと、物騒なことを訊ねてきます。
メムメムちゃんは人間を堕落させるのがお仕事ですが、ダメすぎて今まで成果を上げたことがありません。今帰るとコマ切れにされ、魔犬のエサにされてしまうという、まさに崖っぷちの状態です。なんとか日太の魂を取ろうと、メムメムちゃんのお願いが続くのでした。
- 著者
- 四谷 啓太郎
- 出版日
どうにかして魂ゲットを目指すメムメムちゃんと日太のやり取りを中心に、悪魔界の面々や日太の周囲の人間たちが絡み、ドタバタ劇をくり広げていきます。次では、そんな本作の魅力と見所を詳しくご紹介していきます。
悪魔というのは、本来粗暴であり悪事を働く存在です。そんな悪魔が登場するというと、人間的に非常識な行動や血まみれ展開も珍しくありません。メムメムちゃんも人間の魂を集めているという点では、非人道的だといえるでしょう。何らかの対価として魂をもらうというのは、悪魔の常套手段です。
本作の場合、悪魔のなかでも淫魔の活動が中心になっているのですが、日太が想像したようなエッチな展開は物語序盤から華麗に回避されました。この時点で読者の多くは察したと思いますが、メムメムちゃんの性格も手伝ってか下ネタ展開になっても、下品にはなりません。せいぜい単語として「おっぱい」が出てくる程度。それすらもR指定されているかのような程度の大騒ぎとなってしまいます。
エッチな展開を楽しむという方向性はありませんが、いかにして下ネタを回避していくか、作者の創意工夫は見所といえるでしょう。そして、ツッコミの鋭さを外すことはできません。日太は思春期らしくエッチなことに興味津々ですが、メムメムちゃんが斜め上過ぎて欲望は空回り気味。たまに理性がぐらっとくる展開もありますが、ツッコミ役の本能なのか欲望に負けることなく鋭いツッコミを見せてくれます。
1話完結形式でストーリーが進むため、ライトな気持ちで空き時間に読むことができるのも魅力。テンポの良さが作風にマッチしています。
そして、絵柄の可愛らしさも魅力です。ギャグ漫画らしく丸みを帯びた可愛らしい絵柄ですが、細部まで丁寧に描きこまれています。そして、デフォルメキャラがとても秀逸。まるっとしたフォルムはメムメムちゃんの可愛さと小憎らしさが余すことなく表現されています。
下品過ぎない下ネタと、鋭いツッコミとテンポの良さ。そして忘れてはいけないのが、キャラクターそのものの魅力です。次からは、メムメムちゃんをはじめ、登場するキャラクターの魅力についてご紹介していきます。
まず本作の主役であるメムメムちゃんの魅力をご紹介していきましょう。メムメムちゃんはショートカットで5~6歳ほどの体型をした悪魔です。体を覆うケープのようなものを羽織っており、悪魔の象徴たる角も翼も小さめ。全体的に子どもっぽい姿をしています。
しかし、実際の年齢は27歳。悪魔の成長速度と年齢が人間と同じであるかは謎ですが、少なくとも誕生してから27年が経過していることは間違いないでしょう。27歳にしてはかなりの幼児体型であり、悪魔の基本コスチュームであるビキニを着用することができません。なぜなら胸部分の布地が大量に余るうえに恥ずかしいから。
体型的にも27歳らしさが微塵もないメムメムちゃんですが、性格もだいぶ幼め。まずよく泣き、卑屈で小心者です。そのくせ褒められると調子に乗るところがあるため、自己肯定感は高め。嫌なことには積極的に取り組まず、なるべくズルをして回避しようという小賢しさがあったりと、図々しい一面もあります。
そして極めつけは、悪魔のなかでも性行為をおこなうことで相手を堕落させ、魂をとることを仕事としている淫魔であるはずなのに、エッチなことは全て苦手というポンコツっぷり。おっぱいですら単語として発することに戸惑いを覚えるくらいなので、誘惑も満足にすることができないのです。
なるべくなら嫌な仕事はしたくないという、自分に正直なところは羨ましくなるくらい。性格が1番悪魔らしい部分であるとも言えます。子どものような姿の27歳、悪魔らしくないのに自身に関することには悪魔っぽいところもギャップがあり、魅力の1つです。
純粋にまるっとしていて可愛いという、見た目の可愛らしさも大きなポイント。ほっぺたをツンツンして泣かせてみたいな、という誘惑に駆られてしまいます。
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- 四谷 啓太郎
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続いてメムメムちゃんに振り回され気味なキャラクター達をご紹介していきます。数多く登場するキャラのなかでも、特に注目のキャラクターを選抜いたしました。
小日向日太(こひなたひょうた)は、下宿先のアパートで一人暮らしをしている高校生です。思春期らしくエロいことには興味津々で、美人な大家さん母娘を眺めることを日常の楽しみにしていました。ある日突然メムメムちゃんのターゲットにされ、ゆえか居付かれてしまいます。
淫魔として活動するメムメムちゃんに魂を狙われるくらいなので、煩悩にまみれている日太。逞しい妄想を披露することで、現実とのギャップが際立ち笑いを誘います。ツッコミの切れ味鋭くメムメムちゃんを邪険に扱いますが、実はとってもお人好し。なんだかんだメムメムちゃんに付き合ってあげているところからも、人の好さがにじみ出ています。
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- 四谷 啓太郎
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日太が住んでいるアパートを管理しているのが、五木(いつき)母娘です。母は通称大家さんと呼ばれており、とても温厚な性格をしています。溢れる母性は体型にも表れており、とっても爆乳。エロいことが苦手で貧乳のメムメムちゃんからは恐れられている存在であり、悪魔が驚くほどの自然な色気を振りまいています。
娘の杏(あんず)は日太のクラスメイトで、日太が密かに想いを寄せている相手でもあります。母に似て巨乳であることから、メムメムちゃんからは辛辣な物言いをされることもしばしば。杏自身はメムメムちゃんと仲良くなりたいようですが、ハードルは高いようです。
怪しげな道具によってひどい目に遭うという、お色気漫画にありがちな展開というものがありますが、杏は巻き込まれ担当。ひどい目に遭ってもメムメムちゃんと交流を深める、優しさをもっています。
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メムメムちゃんは出来が悪く、日太の元にやってきたときもかなり崖っぷちな状態でした。細切れにして魔犬のエサにするくらいだから、さぞ非情な上司なのだろうと思いきや、そんなことはありません。メムメムの上司であり、「六淫将」と呼ばれる実力派悪魔であるレースは、実に面倒見のよい人物なのです。
僅かな言動のみで日太が、魂を飛ばすくらいのエロス力を誇るレース。スレンダーな巨乳という、羨ましくなるくらいのボディの持ち主です。圧倒的な仕事量をこなし、自分にも他者にも厳しい性格からメムメムちゃんを甘やかさず様々な仕事を言いつけますが、見捨てることはありません。悪魔だけれども部下に対する愛情をひしひしと感じます。
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チュチュは正式な名前をチューリングという、メムメムちゃんの友人でもあり先輩でもある悪魔です。華奢で可憐な姿をしていますが、実は股間にドラゴンを飼っているという衝撃設定が。そう、チュチュは愛らしい容姿をした男の娘なのです。
魔界将軍の息子であり、成績も優秀なチュチュ。女であるメムメムちゃんではビクともしなかった日太の魂を、陥れる寸前にまで持ち込むなど実力を発揮してきます。美脚の持ち主でお色気な仕草も板についており、脚フェチでもある日太が悶絶してしまうのは仕方がないこと。意地悪なわけではないのにメムメムちゃんを泣かせる、罪深い男の娘なのでした。
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- 四谷 啓太郎
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ランプの魔人とは、おとぎ話などでもお馴染みの存在です。ランプに宿り、呼び出したものの願いをひとつだけ叶えてくれる。デデルは通称「魔人」と呼ばれる、正真正銘のランプの魔人です。その能力は六淫将をもしのぐ程ですが、禁じ手を使用しランプを手に入れたメムメムちゃんに使役される存在となってしまいました。
執事のようなタキシードを着用し、頭には黒い角を生やしています。冷静沈着で現実主義なため、メムメムちゃんにぐさりと釘をさすこともしばしば。主人の出来が悪いですが時にはいさめ、一応支えるという従者としてのプロ意識の高さが伺えます。
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- 四谷 啓太郎
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レースはメムメムちゃんの上司兼先輩ですが、所長であるドロムは悪魔の仕事を統括している存在です。2つの大きな角とひとつ目という風貌は悪魔というよりはモンスター的ですが、まるっとしたフォルムが愛らしい印象。メムメムちゃんとはまた違った、癒し系マスコットキャラです。
実際は不出来な部下に心労が絶えず、管理職ならではの問題を抱えているためとっても不憫枠。メムメムちゃんの泣き落としに屈するなど、人の好いところが随所に現れています。
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- 四谷 啓太郎
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メムメムちゃんの衣装も含め、悪魔たちの衣装はどれも可愛く、凝った作りをしています。悪魔たちの衣装を担当しているのがドール。巨乳で本人も可愛らしい衣装を着用しています。手縫いではなく、「プイプイの杖」というアイテムを使用するのが魔界流。各悪魔にあった衣装を着せ、メンテナンスにも対応しています。
ゆえかメムメムちゃんだけには適切な衣装を提供できず、全身タイツだったりと、苦戦している様子。とはいえ悪魔たちの衣装は可愛いものなので、ドールが杖を使う時は必見です。
人類はただ悪魔の暗躍に手をこまねいているだけなのか……。そうではありません。数多くの作品で魔に対抗する手段があるように、本作にも悪魔たちに敵対する人間が存在します。悪魔狩りで勇名を馳せたルーヴィンス一族、なかでも高い実力を誇っているのがオルル・ルーヴィンスです。長い三つ編みが特徴で、大きな剣を振るって戦います。
人の魂をとることも満足にできないメムメムちゃん最大のピンチと思いきや、実はオルルには特別な呪いが欠けられていました。悪魔狩りの一族なのに「悪魔に劇的に弱くなる」という致命的な呪いです。そのため、メムメムちゃんより弱いという状態になってしまっているのです。とはいえ、実力は高く有能であることには変わりありません。日太たち一般人とは違った立場から悪魔たちに関わっていきます。
- 著者
- 四谷 啓太郎
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他にもトラブルメーカー的な悪魔、モモーラや日太の同級生でツッコミ役も務める眼鏡少女黒野雨など、数多くのキャラクターが登場。きっとお気に入りのキャラクターが見つかるはずです。
本作は12巻で完結が決定しており、連載も残り少なくなってきました。こちらでは完結前におさらいも兼ねて、最新11巻の内容をご紹介していきます。
メムメムちゃんとかかわりが深くなったことで日太が淫魔病に侵されたり、魔界がメムメム化して大騒動が巻き起こったりと騒動の種は尽きません。なんとか問題を解決して日太のアパートに戻ってきたメムメムちゃんは、客を増やせと「悪魔の相談」という怪しげなチラシを作成していました。そんな時、日太のアパートに自分の性癖が思い出せないという老人が現れます。
いい話風にまとめようとせず、きちんとオチで笑わせてくれる手腕は見事。ギャグパートはもちろんありますが、後半は物語完結に向けてシリアスが多めになっていきます。そう考えるとメムメムちゃんの涙目が貴重だと感じるようになるのではないでしょうか。マスコット的なメムメムちゃんですが、作者の設定で実はロリババア枠だったという新発見もありますよ。
- 著者
- 四谷 啓太郎
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漫画作品の魅力を語ってきましたが、最後に本作の漫画以外のメディアミックス展開についてご紹介したいと思います。実はメムメムちゃん、バーチャル世界で大活躍をしていたのです。
まずは動画配信サイトや「少年ジャンプ+」公式サイトで見ることができるwebアニメ。5分ほどの短い内容ですが、作品全体の雰囲気や展開がよくわかる秀逸な内容です。メムメムちゃんのポンコツっぷりはもちろん、ぷるぷる震える可愛らしいところも堪能することができます。あととても揺れます。
キャストはとても豪華。メムメムちゃん役は高橋花林、小日向日太役は悠木碧、五木杏役に五十嵐裕美、大家さん役に中原麻衣が抜擢。大家さん母娘のセリフ数は多くありませんが、存在感を見せてくれます。
そしてメムメムちゃんはVTuberとしてデビューしました。YouTube「悪魔のメムメムちゃんねる」に動画がアップされていますが、声優の高橋花林と対談するといったメタ的な内容はもちろん、どんな生活を送っているのかも知ることができます。悪魔界好きにはアプリゲームもおすすめ。動いてしゃべるメムメムちゃんを堪能してください。
仕事がまったくできないポンコツ悪魔であるメムメムちゃん。そんな自分を気に病むことなく、ズルく賢く、自分を全肯定する生き方は羨ましくもあります。少しダメでも何とかなると、肩の力が抜けてくるのではないでしょうか。笑って力が抜けるメムメムちゃんの魅力をぜひ感じてください。