連載開始時から読者アンケート1位の大ヒットファンタジー少女漫画『チョコレート・ヴァンパイア』、通称「チョコヴァン」。ドラマCDや小説版も好評で、コミックス最新刊はハラハラドキドキの展開に。 この記事ではそんな「チョコヴァン」をネタバレしつつ、アクションあり、ラブストーリーありの魅力をたっぷり紹介します。
デビューから15周年を迎える人気少女漫画家・くまがい杏子原作の漫画『チョコレート・ヴァンパイア』。女子中学生のバイブルとしても知られる「Sho-Comi」にて連載されています。8巻が出るまでに累計100万部を突破する漫画は、少女漫画のなかでは異例の人気。
ヴァンパイアである篝月(かがりづき)家が支配する学園を舞台に、主人公の美崎千代と幼なじみの雪との数奇な運命を描いた物語です。
千代は紅血の契約(アーティクル・ブラッド)を結んでいるため、ヴァンパイアの雪に血を与え続けています。この契約とは、「ヴァンパイアは契約した人間の血しか飲めず、人間は契約相手のヴァンパイアにしか血をあげられなくなる」というもの。
純粋な気持ちでこの契約を結んだ2人でしたが、千代が自分の両親をヴァンパイアに殺された事件をきっかけに、ヴァンパイアを憎むことに。そんな千代を守るためわざと嫌われ役を演じている雪が、彼女といくつもの試練を乗り越え互いに惹かれ合う姿を描きます。
篝月学園で警備隊に所属する千代は、暴走するヴァンパイアの鎮圧に銃を使って応戦。この千代の銃さばきも見どころのひとつです。篝月兄弟たちも非常に強く、全編通してのアクションシーンは見応えたっぷり。
また、雪と千代の吸血シーンやキスシーンなどドキドキするラブシーンもたくさん登場します。雪がエロ可愛く、それに反応する千代との2人だけの空間が幾度となく描かれていきます。
この記事ではそんな『チョコレート・ヴァンパイア』の魅力を紹介します。
チョコレート・ヴァンパイア (1) (フラワーコミックス)
2017/1/26
『チョコレート・ヴァンパイア』の主なキャラクターです。人気の篝月ヴァンプ4兄弟も紹介します。
篝月学園の高校1年生。幼い頃、両親をヴァンパイアに殺されました。残された弟と妹の面倒をみるしっかり者。運動神経も抜群で、学園の警備隊に所属しています。初恋の相手の雪と紅血の契約を結びましたが、両親の死をきっかけにヴァンパイアである雪も憎むことに。コミック6巻、8巻、10巻の特別版ドラマCDでは、清水彩香が演じています。
篝月学園の中学2年生。篝月兄弟の末っ子。学園のアイドル的な存在です。千代と幼い頃、紅血の契約を結びました。彼女のことを慕い、幼い頃からずっと守っています。コミック6巻、8巻、10巻の特別版ドラマCDでは、堀江瞬が演じています。
篝月学園の高校3年生。篝月兄弟の長男。かなりの実力者で冷静沈着。冷たく見えるときもありますが、常にみんなのことを考えています。コミック6巻、8巻、10巻の特別版ドラマCDでは、野島健児が演じています。
篝月学園の高校2年生。篝月兄弟の次男。女の子好きなヴァンパイア。味オンチでどんな女の子の血でも飲めます。血気盛んな男の子です。コミック6巻、8巻、10巻の特別版ドラマCDでは、森嶋秀太が演じています。
篝月学園の高校1年生。篝月兄弟の三男。気弱で優しい性格のヴァンパイア。血が嫌いで、輸血をして血を得ています。その気になれば、かなりの実力を発揮します。コミック6巻、8巻、10巻の特別版ドラマCDでは、田所あずさが演じています。
白金学園の高校2年生。白金家の長男。9年前、篝月家にいた千代をさらうため襲撃します。口も悪く、血気盛んですぐに手が出る性格。あまり賢いタイプではありません。コミック8巻の特別版ドラマCDでは、小松昌平が演じています。
白金学園の高校1年生。白金家の長女。紅と同じ母を持ちます。紅と似たもの同士で口も悪く、短気で気の強い性格です。紅と同じようにあまり頭が回りません。コミック8巻の特別版ドラマCDでは、大地葉が演じています。
紅や菫とは異母兄弟。極度の大食いで、血の飲みすぎで人間を殺してしまうほど。ふだんは琥珀の言うことに従順ですが、血を見ると我慢ができません。
胡桃の双子の兄。紅と菫とは真逆で戦いは強くありませんが、秀でた頭脳の持ち主です。策略を練り、篝月家を追い詰めます。自分では手を汚すことなく、他人を動かすのが得意な頭脳犯です。
- 著者
- くまがい 杏子
- 出版日
- 著者
- くまがい 杏子
- 出版日
- 著者
- くまがい 杏子
- 出版日
幼い頃、両親を目の前でヴァンパイアに殺された美崎千代。ヴァンパイアである篝月雪に恋をした千代は、紅血の契約を結んでいました。両親の死で、雪に血を与えることに恐怖を覚え、契約を破棄したいと思う千代。しかしながら、なかなか契約破棄をしてくれない雪なのでした。
時を経て、ヴァンパイアの篝月家が支配する学園に通う千代。篝月4兄弟と親交を持ちつつ、警備隊で活躍していました。そんななか起こる数々の事件。篝月学園の生徒が黒幕のオークション事件、千代の両親の死の真相と白銀家との戦い、篝月学園で起きた連続殺傷事件など、千代や雪を中心に立ち向かいます。徐々に明かされていく千代の素性や雪の千代への本当の想いなど気になる展開が盛だくさんです。
14巻では、ヴァンパイア以上の力を持つ最強の種族として登場した「ダンピール」と千代の関係が明かされていきます。またダンピールとの戦いで大きな傷を負った雪のため尽くす千代の姿も。これまで以上にドキドキな吸血シーンも登場し、ますます目が離せない展開になっていきます。
- 著者
- くまがい 杏子
- 出版日
ここからは、本作のなかからおすすめのエピソードを紹介していきます。
「ねーおとーさん 天使がいるよ かみのけがキラキラしてきれー...」
(『チョコレート・ヴァンパイア』3巻より引用)
これは千代が雪を初めて見たときのセリフです。両親に連れられて篝月家を訪れていました。そこで、幼い2人は互いに惹かれ合い、紅血の契約を結ぶのでした。
雪はこの時から変わらず千代を想い、守り続けてきました。千代はヴァンパイアに両親を殺されたことで、ヴァンパイアである雪にも敵意を向けることに。自分が嫌う相手に血を与え続ける千代と契約を絶対に破棄しない雪。2人の悲しい関係はこの後何年も続いていくのでした。
雪に反発しながらも、彼の存在の大きさにしだいに気付いていく千代。徐々に心を開いていくことになります。そんな2人の初めての出会いが可愛らしく愛おしく描かれています。
- 著者
- くまがい 杏子
- 出版日
9年前、千代の両親を殺した白銀家。実際は双子の妹・胡桃が両親の血を飲み尽くし殺してしまったのでした。白銀家の頭脳ともいえる双子の兄・琥珀の企みにはまり、千代は篝月学園の生徒を守るため、その長男である紅と紅血の契約を結ぶことになります。そして、白銀家へ連れ去られてしまうのでした。
篝月家4兄弟は、千代の救出に向かいます。一方、千代は自らの出生の謎を知ることに。白銀家には、極上の血を持つといわれる皇妃家出身の千代の母がいたのです。助けに行った雪との再会を果たし、互いの気持ちを確かめ合う千代と雪。幼い頃、まだ弱くて千代の両親も千代も救えなかった雪が、兄弟とともに白銀家との死闘をくり広げます。
本当の父と母に出会うことのできた千代は、自分の理想とは程遠い両親にショックを受けます。しかし、今の彼女にとっては、雪を含む篝月家の人々が本当の家族のように大事な存在。そのことに気付くエピソードでもあります。
- 著者
- くまがい 杏子
- 出版日
最後にして最強の敵、皇妃家当主・麗とその前に立ちはだかる白銀兄弟とその当主。彼らとの戦いに挑む千代と雪がいました。
母は皇妃家出身、父は白銀家当主という千代にとっては複雑な相手ですが、雪とともに強くなった彼女に迷いはありません。果敢に応戦しながらも、白銀家当主の非道なやり方に一瞬隙をみせた雪が大怪我、霞も麗の不意打ちにあってしまいます。
絶体絶命の中、千代たちの運命は。「チョコヴァン」最大のピンチを迎えます。このエピソードは最新第15巻(2021年1月発売予定)に掲載されます。
9年前に育ての両親が亡くなってから、狂いだした千代の人生。雪と再び心を通わせ、自分自身が何者か知った上で身も心も強くなった千代だからこそ、幸せになってほしいものですね。
- 著者
- くまがい 杏子
- 出版日
『チョコレート・ヴァンパイア』はファンからの要望もあり小説版も発売されています。
コミックス第6巻のドラマCDの小説版。「スパイス」という薬物がヴァンパイアたちの間で流行することに。そんな折、霖が何者かにさらわれてしまいます。ドラマCDにはなかったシーンやエピソードが追加。さらに、くまがい杏子書き下ろしのさし絵も魅力のひとつです。
- 著者
- ["くまがい 杏子", "くまがい 杏子", "都築 奈央"]
- 出版日
白銀家から救い出した千代の妹・日葵が小学校の遠足の途中、ヴァンパイア一族であるロギオス家にさらわれることに。救出に向かう千代たちは豪華客船に乗り込みますが……。コミックス第10巻のドラマCDの小説化。書き下ろしさし絵やカバーはもちろん、原作者監修のオリジナルストーリーが魅力的な1冊です。
- 著者
- ["くまがい 杏子", "くまがい 杏子", "都築 奈央"]
- 出版日
「チョコヴァン」ファンはもちろんのこと、興味のある方はぜひ「チョコヴァン」ワールドにたっぷり浸ってください。
本作が好きな方へ、 『チョコレート・ヴァンパイア』以外のヴァンパイア漫画中から、選りすぐりの少女漫画を紹介します。
『失恋ショコラティエ』の水城せとな原作のヴァンパイア物語です。1908年のウィーンでテノール歌手として活躍していたディミトリ。100年後の東京に舞台を変え、自分たちの義務を果たすべく奔走するディミトリ含む4人の「吸血樹」たちを描きます。
- 著者
- 水城 せとな
- 出版日
映画『恋する♡ヴァンパイア』を原作としたコミカライズ版です。「Sho-Comi」の人気作家・杉しっぽが漫画に。ヴァンパイアの女子高生とその彼氏の胸キュンラブストーリーです。漫画オリジナルストーリーとして展開していきます。
- 著者
- ["杉 しっぽ", "鈴木 舞"]
- 出版日
樋野まつり原作の大人気ヴァンパイア漫画「ヴァン騎士」こと『ヴァンパイア騎士』。全寮制の黒主学園は、ヴァンパイアたちが通う夜間部と普通科に分かれていました。そこに通う優姫と零が、学園の秘密を守るために守護係(ガーディアン)として活躍する姿を描きます。
- 著者
- 樋野 まつり
- 出版日
- 2005-07-05
『チョコレート・ヴァンパイア』の原作者・くまがい杏子は、2006年、『キミの手で、あたしを』で漫画家デビューを果たしました。2021年にはデビュー15周年を迎えます。
その人気の秘密は、「萌え」を意識しているところ。「チョコヴァン」では、特に雪が萌えポイントです。可愛いキャラかと思えば、急にカッコいい瞬間もありこのギャップが読者にはたまりません。
また少女漫画ではなかなか難しいといわれていたファンタジーも牽引。「チョコヴァン」で初めてファンタジーに挑戦します。高いクオリティを保ちつつ、たくさんのキャラクターも登場し常に読者を楽しませるように考えられています。物語においても、主人公が逆境から這い上がっていく姿を描きます。その強さに読者は励まされることでしょう。こんなところが、くまがい杏子の魅力ですね。
代表作『あやかし緋扇』の舞台化も予定されており、ますます目が離せない作家のひとりです。
あやかし緋扇 (1) (少コミフラワーコミックス)
2011/9/26
『チョコレート・ヴァンパイア』は、物語、キャラクターどれをとっても非常に魅力的です。過酷な運命にも負けずに成長していく主人公の姿、一途な愛、年齢や性別を超えて楽しめるエンタテインメント作品です。