5分でわかる囲碁棋士!年収から1日の過ごし方、プロ試験と院生になる方法など疑問を解説!

更新:2021.4.27

日本における伝統文化である囲碁。この囲碁を生業にして収入を得ている方たちを、囲碁棋士といいます。ときどきテレビなどで対戦の中継をなされているので、目にしたことのある方もいるのではないでしょうか。囲碁棋士になるには、相当の練習と体力・精神力が必要といいます。それでもプロとして生活していける棋士はほんの一握り。今回はその囲碁棋士の実態を調査。プロになるための入段試験の内容、収入事情、これからの活躍が期待される囲碁棋士など気になる疑問を解説していきます。記事の最後にはおすすめの書籍もご紹介しているので、囲碁の世界に興味のある方はこちらの書籍もぜひ目を通してみてくださいね。

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囲碁棋士とは

囲碁棋士とは、囲碁のプロ試験に合格し、プロの囲碁棋士として対局でお金を稼いでいる方のことです。

引退制度がないため囲碁棋士の数は将棋などと比べると比較的多く、約450人ほどの囲碁棋士がプロとして登録されています。プロ採用試験に合格できるのは年間で6名しかいないため狭き門と言われています。

囲碁棋士の平均年収

囲碁棋士のお給料は、実力によりかなりの有意差があります。どの棋士に対しても基本的な支払=給料として毎月支給される額のほかに、対局料と、そのタイトルを優勝したときにもらえる賞金が、収入源となるようです。

7大タイトルの賞金

囲碁の国内棋戦の7大タイトルは以下になります。

  • 棋聖戦→4500万
  • 名人戦→3100万
  • 本因坊戦→2800万
  • 玉座戦→1400万
  • 天元戦→1300万
  • 碁聖戦→800万
  • 十段戦→700万

これら以外にも「阿含・桐山杯」「竜星線」「NHK杯」「新人王」「若鯉戦」「おかげ杯」「王冠戦」「SGW杯中庸戦」などがあります。7大タイトルと比較すると優勝賞金は劣りますが、いずれも数百万単位の優勝賞金となっています。

参照:日本棋院HP参照

対局料・基本給ともに設定がある

タイトルを保持できる個数の制限はないので、タイトルを取れば取るほど年収も上がっていきます。また、対局料・基本給ともに設定はあり、これも棋士のランクにより変わってきますが、将棋棋士とは違い、囲碁棋士の場合は明確な金額は公表されていません。はっきりと明言しないのが暗黙のルールとなっているようです。

明確な金額の明言はありませんが、参照事項を確認することはできました。

  • 基本給については「デジカメが買える程度~大きいテレビが買える程度」→3万円~40万円と推測される
  • 対局料については「よい食事ができる~数百万」→3万円~200万円推測される

ここから推測するに、基本給については3万円〜40万円、対局料は3万円〜200万円と幅があると考えられます。

また、名人戦での対局料ですが、以下のような情報も確認できました。

・予選Cの対局料は13万円
・予選Bの対局料は20万円
・予選Aの対局料は30万円
・最終予選の対局料は40万円

参照:【囲碁の対局料】プロ棋士が対局で得る収入を検証!最終予選がエリートの境!? 

この対局料から、いくらかを日本棋院に納めなくてはなりません。結果的に棋士の手元に残る金額としての比喩が、上記のような金額だったのではないでしょうか。

月々の基本収入は10万円〜300万円

これらのことから考えると、月々の基本的な収入は10万円~300万円程度と予想できます。これに加え、先に述べたタイトル賞金、一般の方に向けた指導料、テレビ出演料や広告料なども加味されます。

囲碁の家庭教師などもあるようなので、やはりプロとなればなにかしらの手段で収入を得ることはできそうです。

囲碁棋士になるには。最大の近道は院生制度の利用

現在活躍している囲碁棋士の大半が囲碁の上達を目指し、勉強する子供たちである「院生」の期間を経ています。これは、日本棋院と同じく関西にある関西棋院にもある院生制度です。院生は全国から集まってくる囲碁仲間たちです。

参考として、東京本院の募集方法をご紹介します。

院生になるための受験資格

プロになるための近道であるのが院生です。しかし、院生には誰もが簡単になれるわけではありません。当然ですが、囲碁そのものの強さと、囲碁棋士になりたいという強い志や気持ちを問われます。

  • 14歳を迎える年度までとする
  • 棋力は14歳で六段位が必要

院生は年に4回募集がおこなわれており、4月、7月、10月、1月となっています。

受験資格が若い年齢での制限を設けられているのには理由があります。囲碁の世界では、できるだけ早いうちから修行をする方が高い実力を得られると考えられているからです。14歳以下であれば、それ以下の年齢制限はありません。14歳で6段くらいの実力であるとの明言はありますが、これより若ければ、それより棋力が低くても、才能があれば合格することができます。

院生試験の内容

院生募集に応募するには、院生志願書と履歴書、それと推薦を得て応募する必要があります。

  • 書類審査
  • 試験碁
  • 面接

書類審査に通った場合のみ、その後の試験碁、面接が受けられます。

書類審査後の試験碁とは、実際に院生師範と対局する実技試験です。勝敗そのものよりも現在の棋力と将来性が試されます。緊張で普段通りの実力が出せない場合もあるとは思いますが、プロ棋士として活躍するには、そのプレッシャーに打ち勝てる精神力も必要です。

参照:院生募集

院生になるとアマチュアの大会には出られない

院生になったらアマチュアの大会に出ることはできなくなります。多くの場合、研修日は週末に設けられますが、毎週末院生同士で対局をおこない、プロ棋士の指導の下、日々実力を磨くことになるのです。院生はただ対局しているだけではなく、毎月成績が発表され、その成績ごとにA〜Fまでのクラス分けがなされます。

実力がはっきりと示される厳しい世界です。院生期間中にプロ棋士試験に合格すれば、晴れて院生は卒業、プロの囲碁棋士となります。もし18歳までにプロ棋士の試験に合格できない場合も、18歳をもって院生を卒業することになります。

プロ試験(入段試験)の内容

プロ試験は夏冬の年2回

プロになるための「プロ試験(入段試験)」は、基本的に夏冬の2回おこなわれます。夏の大会には原則、院生しか参加することができません。さらに、その院生のなかでも上位の成績を持つ12名のみでおこなわれます。12人の総当たり戦で、そのなかで1位になった人のみが晴れてプロ棋士となることができるのです。

冬の試験は院生+外部応募の総当たり戦

冬の試験は院生以外でも参加することができます。冬の試験では、本選前に予選があり、この予選は22歳以下の人であれば、誰でも受験することが可能です。また、アマチュアの大会などにおいてよい成績を持っている場合は、28歳まで受験できるようになっています。

予選を通過した人に、院生の上位成績者が加わりおこなわれるのが、冬の入段試験となります。冬の入団試験では、上位2名がプロになることができます。この場合は、日本棋院・いわゆる東京でのプロ入段を目指した場合ですが、この他に愛知にある中部総本部と大阪にある関西総本部でも、また別の採用枠を用意しています。

女流特別採用推薦棋士もある

さらに女性の場合、女流採用枠としてまた別の採用枠を設けています。これは女流棋士を増やすことを目的として設けられ、院生師範が推薦する院生および院生経験者のみが対象となります。

  • 東京本院において同一年度内(12月~翌年2月までを除く)に院生研修Aクラスに5カ月以上在籍した者
  • 東京本院冬季採用試験本戦において勝率5割以上の成績をあげた者
  • 上記のどちらかに準ずる成績を収め、かつ将来を嘱望され所属の院生師範全員の推薦があった者

通常のプロ試験の枠よりさらに狭き門であることは間違いありません。しかし令和2年度はこの制度を利用して約2名が入段を果たしています。

この制度が設けられたのには大きな理由があります。それは2017年時点で、男性と混ざって受験するプロ試験から合格した女性棋士が経ったの4名しか輩出されなかったこと。囲碁の世界に性別は関係ありませんが、どれだけ優秀な女性棋士であっても、男性と同じ条件ではプロ試験に合格することが難しい実情がありました。

そこから設けられたのが女流特別採用推薦棋士の採用枠です。これによりタイトルを取るほど強い女性棋士がプロ試験に落ち続けることなく、若い年齢で入段することが可能となりました。女性だけが優遇されている制度のように思えるかもしれませんが、性別関係なく囲碁棋士を目指せる環境が整えることは、囲碁界の存続に関わる重要な判断なのです。

参照:令和2年度 女流特別採用棋士および女流特別採用推薦棋士入段のお知らせ

プロの囲碁棋士の生活

棋院の院生になり日々のたゆまぬ研鑽を続けても、プロになれない方も大勢います。それだけ囲碁棋士になるのは険しい道のりです。やっとの思いでプロ試験をパスし、囲碁棋士となった後も、囲碁の研究や鍛錬は欠かせません。

対局に勝ち続けることで収入が安定する

プロになると、その生活の中心となるのが対局です。基本的な対局料はもらうことができますが、多くの場合、対局に勝って対局数をこなさないと収入を得ることができません。囲碁の世界は、対局し、それに勝利すれば次の対局の機会が得られる=対局料がもらえることとなりますが、負ければそれで終わりです。

多くの棋士は囲碁教室などで副収入を得ている

負けた時点で次の対局の予定がなくなります。そうなると収入がなくなります。一部の棋士たちは、対局料や賞金だけで生活をできるようになりますが、多くの棋士は囲碁サロンなどでの囲碁教室を通じ、副収入を得て生活をしている場合が多いのです。

それでもプロの肩書があれば、ある程度の生徒獲得には困らないでしょう。むしろそれを使命と感じ、囲碁の競技人口を増やすことに尽力している棋士もたくさんいます。次世代の囲碁棋士を育てることに喜びを感じているプロ棋士は多いのです。

対局以外は自由時間

基本的に囲碁棋士たちは、対局以外は自由時間です。アマチュアへレッスンをするのもよし、自分自身の勉強時間にするのもよいでしょう。ただ、やはり強い棋士たちは、日々囲碁の勉強に励んでいます。強い棋士ほど囲碁の勉強をしているといわれています。

対局には大会のある各地への移動、また長時間対局に挑める体力と精神力が必要です。プロスポーツ選手と違い、オフシーズンはありません。実は囲碁棋士も、体力向上のために日ごろからの体力作りも必要とされているのです。

注目の囲碁棋士たち

最後に、2021年4月時点で注目されている囲碁棋士たちをご紹介します。若くして入段した方々も多く、これから囲碁棋士を目指す方にとって彼らの言動は参考になるところも多いでしょう。

史上最年少、10歳でプロになった仲邑菫

ニュースで連日取り上げられたことで知っている方も多い、女流囲碁棋士の仲邑菫さん。2021年3月には史上最年少の12歳で二段への昇格を決めています。まだ中学生と若く、これからの活躍が期待される囲碁棋士のひとりです。

彼女が囲碁を始めたのは3歳の時。実父が仲邑信也九段であり、小さな頃から囲碁に触れる機会がありました。7歳から韓国・ソウルの道場で修行し、無試験でプロ採用をおこなう英才特別採用推薦棋士の第1号として入段を果たしました。

長い時は1日9時間ほど囲碁の勉強をすることもあり、インターネットと使った対局も熱心におこなうのだそう。ほとんどの時間を囲碁に費やし、楽しみながら強くなっていく姿勢から学べる部分は大いにありますね。

参照:小6の仲邑菫初段、史上最年少で二段昇段へ 囲碁

史上最年少、19歳の囲碁名人・芝野虎丸

囲碁の世界では、20代の名人は難しいと長年言われてきました。しかし先達がその迷信に終止符を打ち、そして10代の名人はあり得ないという考えを覆したのが、芝野虎丸さんです。囲碁界初の10代の名人です。

彼もやはり小学生の頃から囲碁に取り組み、小学3年生の時に本格的な修行をおこなっています。若くして活躍するためには、小学校低学年から囲碁漬けの日々を送ることがプロの条件であるように思えますね。

10歳で日本棋院の院生入りを果たし、中学3年生の9月にプロデビュー。その後、複数の華々しい戦績を残しています。彼もインターネット対局を通して実戦を積み、実力を磨いていくタイプで、インターネット対局で多くのプロ棋士との対局をおこなったそう。

実際、対面での対局よりは情報量が少なくなりますが、今後プロの囲碁棋士を目指す方は、インターネット対局などをうまく利用し、どれだけ実戦を積んでいけるかどうかが鍵となってくるでしょう。

参照:メンタルも「作法」も独特すぎる。10代囲碁名人・芝野虎丸の流儀。

『ヒカルの碁』作者がイラストを担当する囲碁入門書

こちらの書籍は、囲碁を始めるための入門編、少年漫画『ヒカルの碁』の作者がイラストを描いている囲碁入門書としておすすめの1冊です。

周りに囲碁のルールを知っている大人がいなくても、子供ひとりで読むことができるわかりやすい内容となっています。ヒカルや佐為が囲碁のルールからわかりやすく説明してくれる、見ていてもとても楽しい1冊です。

まずは勝ち負けではなく、カジュアルに囲碁を学び、楽しみたいと考える方におすすめです。

囲碁の考え方とは。もっと対局を楽しみたい方に

また、こちらの書籍は、囲碁について少し学びを深め、対局ができるようになった方向けの内容となっています。

手順そのものに着目した多くの囲碁書籍とは内容が異なり、考え方に主軸を置いた解説がなされているので、新しい思考方法の参考にするにもよいでしょう。いつも同じ場面で躓く、スランプを感じている方にもおすすめの1冊です。

囲碁に興味あるのならば読んでみて損はない『ヒカルの碁』

囲碁漫画といえば『ヒカルの碁』でしょう。このコミックは、日本における子供たちの囲碁の競技人口を爆発的に増やしたきっかけともいえる漫画です。

主人公である進藤ヒカル(しんどうひかる)は囲碁初心者で、平安時代の囲碁棋士・藤原佐為(ふじわらのさい)という幽霊がヒカルにとりついたことより物語は始まります。

佐為は、この世の囲碁に対する未練・神の一手を極めるために生き永らえたと言い、ともにヒカルに碁を打つことを勧めます。最初は佐為を成仏させるためにいやいや囲碁をうっていたヒカルですが、徐々にその面白さに目覚め、自分の碁をうちたいと思うようになります。

そんななか、生涯のライバルである塔矢アキラ(とうやあきら)や囲碁を打つ院生の仲間たちと巡り合い、切磋琢磨しながら、ヒカルは着実に囲碁棋士としての力をつけていきます。

いつの間にか佐為のための囲碁から、ヒカル自身の囲碁に変わっていく物語や、佐為のあり方、ヒカルの囲碁への思いなどが見事に描かれている、感動の囲碁漫画です。

プロ棋士である、ほったゆみ先生が原著者となっていますので、囲碁を知っている方でも楽しく読むことができます。

自分の市場価値をアプリで診断

今回はプロの囲碁棋士の実態や収入などについて調査してみました。囲碁の世界は厳しいものではありますが、その面白さややりがいは、人生をかけても惜しくないものであるともいえるでしょう。囲碁棋士に興味のある方はぜひ一度紹介した書籍も手に取ってみてくださいね。

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