作品の舞台となった場所を実際に訪れる「聖地巡礼」。

アニメやマンガの場合は、風景が作品の中で実際にビジュアルで示されているので、聖地を訪れたときに「あの作品のあの風景と同じだ!」という感動を味わいやすいですよね。

それに対して小説の場合はどうでしょう?

文字だけで表現されている小説は、ビジュアル化されていない分、それぞれ頭の中でイメージを膨らませていくしかありません。

ですがその反面、聖地を訪れたときの感動はひと味もふた味も違います。

僕が初めて聖地巡礼したのは二年前。

とある仕事で、愛媛県松山市にある道後温泉に行ったときのこと。

その温泉は、夏目漱石の『坊ちゃん』に登場する、住田の温泉のモデルとなった場所だと聞き、『坊ちゃん』を鞄に忍ばせて道後温泉に向かいました。

坊ちゃんが「深さは立って乳の辺まで」と言ったとおりに、座ると顔まで湯に浸かってしまう道後温泉の特徴的な浴槽に感動!

さらに男湯には、“坊ちゃんが湯壺で泳いでいたら、ある日、湯の中で泳ぐべからずと書かれた札が貼り付けてあった“という作中に登場するエピソードにちなんで、「坊ちゃん泳ぐべからず」の木札が貼ってありました。

文豪が愛した湯に浸かり、頭の中だけで想像していた小説の世界を、初めて現実に感じることができた僕は、すっかり聖地巡礼にハマってしまったわけです。

この感覚を皆さんにも感じてもらいたい!

ということで今回は、気軽に聖地巡礼を楽しめる小説~東京編~をご紹介します。

池袋西口公園の本当の顔は週末の真夜中。噴水のまわりの円形広場はナンパコロシアムになる。

ベンチに女たちが座り、男たちはぐるぐると円を描きながら順番に声をかけていくーー。

 

アヒルバス入社五年の観光バスガイド・高松秀子(通称デコ)はわがままツアー客に振り回されたり、いきなり新人研修の教育係にされたりと悩み多きお仕事の毎日。

さらにある日、アヒルバスを揺るがす大事件も起きて……笑いあり、感動ありのバスガイドたちの姿を東京の車窓風景とともに生き生きと描く。

 

明大前で開かれた退屈な飲み会。そこで出会った彼女に、一瞬で恋をした。

本多劇場で観た舞台。「写ルンです」で撮った江の島。IKEAで買ったセミダブルベッド。

フジロックに対抗するために旅をした7月の終わり。

世界が彼女で満たされる一方で、社会人になった僕は、“こんなハズじゃなかった人生“に打ちのめされていく。

息の詰まる満員電車。夢見た未来とは異なる存在。高円寺の深夜の公園と親友だけが、救いだったあの頃。それでも、振り返れば全てが美しい。

人生のマジックアワーを描いた、20代の青春譚。

 

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