自分が見てる世界が全てじゃない。生田斗真さん主演映画の原作漫画をおすすめ

更新:2023.11.9

2021年一発目! 今年は「新年!明けましてぇ!よぉろしくぅ!」的なわちゃわちゃ感が少なくて、少し寂しくも思ったり思わなかったり、ラジバンd……。ッぶねぇ。今年一発目なのに完全に個人的に好きなだけの、懐かしのネタを打つところだったぜぇ……。年末年始のバラエティ番組に侵食された心が剥き出しになってしまいました。悪しからず。本年もどうぞどうぞよろしくお願いいたします!

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舞台中心で活動しているのですが、近年はありがたいことに映像のお仕事をいただけるようになってまいりました。舞台は大体本番までに1カ月程の稽古期間がありますが、映像のお仕事は「初めまして!」で「はい!本番!」なので、じっくり時間をかけて人間関係やお芝居を作り上げるタイプの私にとっては、リアルに口から心臓が出てくるんじゃないかと思うほど緊張するもの……。普段何気なく観ているドラマや映画の役者さんの凄さに、今更ながら驚いておりますぅ……。

そんな私ですが、1月16日にテレビ朝日にてスタートいたしますドラマ「書けないッ!?~脚本家 吉丸圭祐の筋書きのない生活~」への出演が決定いたしました!(詳細はプロフィール欄をご覧いただけますと幸いです!)

初めて楽屋があって浮かれる私

 

びっくり!しかも!映像のお仕事はこれまで、1日のみ撮影に参加で、1シーン、多くて2シーンの出演でしが、今回!なんと!初めて!2日も撮影に参加し!出演シーン!おそらく!……5シーンくらい!たぶんそんくらい!成長しました!

数話にわたってちょこちょこっと出演しておりますので、出演シーン数えてみようと思います!

当日は当然のようにガクブルに緊張し、メイクさんに「塗ってね」と渡されたマニキュアは、はみ出しまくりましたが、見事「クランクアップ」出来ました! かっこいい! 言ってみたかったよー!

脚本は「まんぷく」や「ガリレオ」シリーズ等、数々の作品でヒットを連発する、福田靖さん。なかでも木村拓哉さん主演の「HERO」は、私にとってどんぴしゃで世代! 田中要次さん演じるバーのマスターの台詞「あるよ」なんて、学校で何回言ったことか! そんな福田さんの作品の人物になれたこと、大変に感激しております! 「書けないッ!?」は「脚本家」福田靖さんが最初で最後!?に描く、「脚本家」のお話。面白くない訳がないッ!?

主演は生田斗真さん。私が中学生のころ、「イケパラ」こと「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」に出演なさっていて、あの~はい、ちゃんと好きでしたね。撮影も地元でやってたとか、そんなん親近感沸くやん! 金髪にときめきが止まらなくなった、初めての人です。照れッ!!

興奮で前置きが長くなってしまいました……。さて、今回紹介させていただく作品は、「書けないッ!?」の出演にあたって、生田斗真さんの過去の出演作品をリサーチしている際に目に止まった映画、の原作漫画。しかも、「書けないッ!?」に友情出演されている、岡田将生さんも出演してるらしい……。ムムム。これは!と導かれて行った先には予想を遥かに越えるスケールの作品が待ちわびておりました。

著者
清水玲子
出版日
2015-12-18

時は2060年。日本で唯一「MRI捜査」を取り入れ凶悪犯罪捜査を一手に担う、科学警察研究所法医第九研究室、通称「第九」が舞台。

「MRI捜査」とは、死亡後一定時間内に取り出された損傷のない脳を、MRIスキャナーにかけ、死亡した犯人あるいは被害者の生前に「見た」映像をスクリーンに写し出し、その情報から事件解明を行う捜査方法のこと。殺される前に見た犯人の顔、見た景色、凶器、総てを再現し「見る」ことで、犯人や自殺の理由をつきとめる。数々のショッキングな映像のため、捜査員の精神状態はかなり不安定になる。

新人捜査員の青木一行(いっこう)は、憧れの「第九」に配属されたものの、想像を絶する過酷な捜査に日々苦悩する。青木が尊敬する第九の室長である薪 剛(まき つよし)警視正は、第九発足時からの唯一の「生き残り」だ。青木は数々の事件の捜査と共に、薪の抱える「秘密」と向かい合ってゆく……。

 

2060年を舞台にした近未来SFストーリーでありながら、スーツや髪型など、MRI捜査以外はなんだか昭和の匂いがプンップンして(笑)、でも、SFでありがちな「これは、あり得ないだろぉ!」を感じない点が、個人的にめっちゃ好き! そして、絵がとにかく美しく、とにかく足が長く、とにかくまつ毛が長い! 端々まで丁寧に描かれた隙無さが、「死体」や「幻覚」までも美しいと感じてしまうほどだ。

登場人物も、もちろん美しい。薪室長は小柄で年齢不詳辛口美男子、青木は190cmの長身で誠実で腰が低い、で、美男子。この2人の関係性は確実に特別なのだが、それは上司への強い憧れかそれとも……。映画版では、薪室長を生田斗真さん、青木を岡田将生さんが演じてるらしい。原作とキャラクターがだいぶ異なるらしいが、どっちにしろ…はぁ! 尊い!

全12巻を読み終えて、感じたことは、「自分が見てる世界がすべてじゃない」ということ。私が見えてる「赤」は他の人も同じように「赤」なのか、相手が見てる私は、鏡に写る私と同じ私なのか……。

私は、ハロウィンの渋谷は茶色っぼいくすんだ世界に見えていて、仮装して集合する気持ちが分からないのだけれども、もしかしたら彼ら彼女らにはすごくキラキラした宝石のような世界なのかもしれない。仮にそうだとして、どちらも正解だと思うから「何で、集まるの?」とかいう愚問は、この漫画を読んでから浮かばなくなった。必ず理由があるし、その人にとって何を一番大事に生きていて、幸せに感じるかなんて、他人と同じ訳がないのだ。だって、見てる世界がみんな違うから。

それを強く感じたのは、第6巻の「40歳姫系女が4名を惨殺した事件」。

(ちょっとネタバレします!)

被害者の脳だけをみると、「ヘンな格好をした虚言癖のある中年女が若い男に入れあげて、男の恋人もろとも惨殺した」事件だ。報道されるのも、こういった情報だろう。

犯人は、排泄物を部屋中に擦り付けるほど認知症が進んだ父親の介護や、母の死、縁談の破談等によって自殺未遂を繰り返している。しかし、あるときから「自分がスーパーモデルのように美しい姿」にしか見えなくなる。この頃から、周りから虚言癖など陰口を叩かれるようになるのだが、彼女にとって、この「幻覚」を見てるときこそが一番幸せな瞬間だった。

だが、彼女のことを思い「治してあげよう」としてしまった男がいる。彼は親切で、介護も手伝ってくれ、数々の相談にも乗ってくれた。そんな彼が、彼女のために安定剤を渡し、現実を見せようと努力してしまったことで、事件が起きてしまう。

何が正解で、何を幸せと感じるのか、他人に分かるわけがない。

自分が見たものだけで物事を判断することは簡単だ。だが世界には70億ほどの人が生き、1人1人見てる世界が違くて、考え方が違う。頭では分かっているが、自分が見てる世界が「すべて」だと思ってしまう。だがそれも当たり前だ。だから、時間をかけて人と向かい合ったり、人の行動の「なぜ」を落ち着いて考えるだけで、見えてる世界はもう少し明るくなるのかもしれないと思う。

この先、あなたが亡くなったあと、思い出のビデオテープを見るように、あなたの見た景色を見る時代が来るかも。人には必ず秘密はあるし、誰にも見られたくない自分だけの宝物もあるだろう。もしそんな時代が来たら…。いいや! 私はシンプルにはずい!

今から少しだけ進んだ未来の景色、一足お先に「見て」みてはいかがでしょうか。


 

全12巻を大人買いした後で、現在「season0」が9巻まで刊行されていて、最新刊は2021年11月に発売予定との噂を耳にした。くッ……これは、「もう一度大人買いしろ」という薪室長からの命令か……。買いますッ!! また来月~!

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