1980年代後半から勃興したジャンル“テクノ”。21世紀が目前にせまっていた時代に、未来感あふれるこの単語がダンスシーンに新たな指針を与えた。クラブ、レイヴ、フェスティバル。様々な場所でシンセサイザーによる電子音が盛り込まれたトラックをDJがプレイし、「ラヴ・パレード」では100万人が集まり社会現象になった。 そしてテクノという大きな枠組みから多くのサブジャンルが派生。テクノは日本国内では90年代初頭から輸入され、書籍などによって状況を把握する試みが行われていた。今回はその一部を選書した。
出版されたのは1994年、国内初となるテクノに関する書籍。世界的な盛り上がりと連動して国内テクノ・シーンが形成される最中で、その熱気を言語化しようと挑戦した、電気グルーヴの石野卓球と音楽ライターの野田努による対談本だ。テクノボン
1999年までに派生したテクノのサブジャンルを章立てして紹介。個々のサブジャンルを、それぞれの成り立ちとディスクガイドによって解説しており、歴史的な連なりが把握できる一冊。単なるディスクガイドはディスクのみを紹介するためにどうしても断片的になってしまうが、こういった一冊があることでシーンの全体像を把握できる。
- 著者
- 佐久間 英夫
- 出版日
2000年代初頭に注目されたテクノのサブジャンル“エレクトロニカ”とテクノがクロスオーバーした音源を紹介する一冊。本著ではエレクトロニカを「DJツール的/ミックス・フレンドリーな要素にも、旧来のポップ/ロック的な楽曲構造にも束縛されていない(だが、そのいずれとも柔軟な関係を結んだ)、新しい電子音楽のカタチ」と定義している。
- 著者
- 出版日
掲載されたレコードの総数4000枚。ディスクガイド史に残る網羅性が特徴。
- 著者
- 出版日
本書の中核となるアーティストは、デトロイト・テクノの大御所アンダーグラウンド・レジスタンス(UR)。マイノリティである黒人が商業主義(メジャー)との対立を掲げながら“テクノ”という武器を持って戦うという、カウンターカルチャーの側面を強く感じさせる内容。
- 著者
- 野田 努
- 出版日
- 2014-10-09
“テクノ”を主題に置いて、2012年に著された最新のディスクガイド(2017年1月現在)。テクノのルーツを解き明かすため、電子音楽以前の現代音楽まで遡っている。
- 著者
- ["三田格", "野田努"]
- 出版日
- 2012-11-23
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。