二階堂黎人おすすめ作品5選!世界最長推理小説『人狼城の恐怖』は読んだ?

更新:2021.12.15

「本格派推理作家」と称される二階堂黎人。今回は「二階堂蘭子シリーズ」と「水乃サトルシリーズ」の2シリーズから、おすすめ5作品をご紹介します。ギネス認定の超長編推理小説『人狼城の恐怖』から、すぐに読めるライトな作品まで……あなたのお気に入りを見つけてみてくださいね。

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本格派推理作家・二階堂黎人とは?

二階堂黎人(にかいどうれいと)は1959年、東京都で生まれます。中央大学理工学部卒業。理系の学部ながら、大学在学中には手塚プロ主宰の「手塚治虫ファンクラブ」の初代会長を務めるほど手塚治虫の熱心なファンでした。

大学卒業後は運輸省の外郭団体で勤務しながら、小説を執筆。1990年、『吸血の家』が第1回鮎川哲也賞で佳作入選します。その後、1992年に出版された『地獄の奇術師』で作家デビューしました。

二階堂黎人による、世界最長の推理小説!

ドイツとフランスの国境の、険しい渓谷の上に建つ双子の古城・人狼城。銀の狼城と青の狼城からなるこの城には、城主が人狼に惨殺されたという言い伝えが残されています。1970年、ドイツ側の銀の狼城に10名の客が招待されました。古城で優雅な滞在をするはずが、閉鎖空間となった城の中で連続殺人に巻き込まれていき―。

著者
二階堂 黎人
出版日


本作は、ギネスにも認定された世界一長い推理小説。ご紹介した第1部から最終巻第4部まではあわせて4000ページを超える超長編小説なのです。ただし物語のスピード感や確立された世界観は圧巻です。次の展開が気になり、ページをめくる手が止められなくなるでしょう。

少しネタバレとなりますが、第1部と第2部は「出題編」のため、事件は解決しません。第3部でようやく謎に挑む探偵が登場し、第4部の完結編へと続いていくのです。なお第3部から登場する探偵・二階堂蘭子は、筆者の代表作「二階堂蘭子シリーズ」の主人公。彼女は「ハリウッド女優のような豊かな巻き毛、滑らかな輪郭の顔だち、そして猫のような黒い瞳」と称される美貌と、シャーロック・ホームズを思わせる抜群の推理力とを併せ持ちます。

ミステリーには欠かせない圧倒的な魅力を持つ彼女は、果たしてどのように閉ざされた古城の謎を解決していくのでしょうか? 第4部の完結編までミステリーファン必読の1冊です。

二階堂黎人が変人探偵を描いたシリーズ第1作目

旅行会社に勤務する水乃サトルは、長身の美男子ですが、周りの女性からは変人扱いされれいます。そんなサトルと、彼に密かに恋心を抱く部下・見並由加里が、本作の主人公です。

著者
二階堂 黎人
出版日
2008-09-12

ある日、サトルと由加里は出張からの帰途、連続殺人事件に巻き込まれて容疑者にされてしまいます。ペンション、ホテル、列車内で見つかったそれぞれの死体は、同じナイフによって殺されていたのでした。この連続殺人の謎に、変人改め探偵・水乃サトルが挑みます。

本作を魅力的にしているサトルは、ブランド物(偽物やバーゲン品)に身を包み、高級外車(借り物)を乗り回す個性の強いキャラクター。しかしその推理力は侮れません。由加里の密かな恋が進展するのか、という点も見どころの一つでしょう。

前述の『人狼城の恐怖』が重厚な推理小説だとしたら、本作はサクサク読める推理小説入門編のような作品。「水乃サトルシリーズ・社会人編」の第1作目でもある本作は、特にミステリー初心者におすすめしたい1冊です。

禁断の黙示録になぞらえて起こる、恐ろしい惨劇

聖アウスラ修道院の尼僧の塔で悲劇が起こります。聖アウスラ女学院の生徒・太田美知子の転落死体が発見されたのです。彼女の身体には刃物で切られた無数の傷跡が残っていました。しかし彼女が発見された「黒の部屋」は当時密室状態だったのでした。

同じころ、修道院近くに立つ桜の木の下に、全裸の司教の首なし死体が逆さ吊りにされているのが発見されます。聖アウスラ女学院卒業生・平野美紀は、旧友の二階堂蘭子に事件解決を依頼します。今回の事件だけでなく過去に遡って調査を始めた蘭子は、修道院で起きた数々の事件に関連性を見つけ―。

著者
二階堂 黎人
出版日


女学院を舞台にした作品は、ミステリー好きにはお馴染みかもしれません。秘密の花園、神聖な場所で起きる凄惨な事件と聞いだだけで、想像力と興味が沸いてきませんか?

二階堂蘭子シリーズ第3弾目の本作、二階堂蘭子シリーズを初めて読む方にもおすすめです。

ミステリーファンには、たまらない!

物語は、10年前に福島県で起きた連続殺人事件から始まります。被害者は地元の有力者たち。「こいつは豚だ。社会の害毒だ。世の中の害虫だ」―。犯人は自らを「処刑魔」と名乗り、遺体のそばに被害者の悪行を暴露する声明文を残すのでした。しかし「処刑魔」は逮捕され、裁判にかけられることとなります。

時は現代に戻り、主人公の水乃サトルと見並由加里は、猪苗代のスキーリゾートへ向かっていました。そこでは10年前と同様に、汚職にまみれた有力者たちが相次いで殺害されていたのでした。サトルは、探偵役として事件の全貌を追いかけることになり……。

著者
二階堂 黎人
出版日


10年前に既に死刑となったはずの「処刑魔」の復活。密室の謎や消えた証拠品、怪しい女の影―。次々に湧き出る謎の数々に、華麗に挑むサトル。「水乃サトルシリーズ・社会人編」の第3弾目の本作は、ミステリー好きには嬉しい要素が満載です。

二階堂黎人代表作・二階堂蘭子シリーズ初期作品

江戸時代から続く遊郭を営む旧家久月家に、殺人予告が届きます。久月家には無念の死を遂げた「翡翠姫の伝説」が伝わっており、24年前には無惨な殺人事件が起きていました。翡翠姫の怨霊祓いの夜、殺人予告の通り2人が命を落とします。ひとりはテニスコートで、もうひとりは密室で―。24年前の事件と翡翠姫の伝説との関係は? 殺害予告を知った名探偵・二階堂蘭子が、呪われた旧家で起こる連続殺人事件に挑みます。

著者
二階堂 黎人
出版日


旧家や姫の呪い、般若の面を被った謎の女など、日本の怪談のような雰囲気を漂わせる本作。第1回鮎川哲也賞佳作に選ばれた本作は、『人狼城の恐怖』に挑戦する前に読んでおきたい、二階堂蘭子シリーズ初期の傑作です!

以上、二階堂黎人のおすすめ5作品をご紹介しました。本格派推理作家の重厚なストーリーに酔いしれてみませんか? シリーズ作品が多いので、シリーズごとに読み進め、どっぷりとその世界観に浸ってみるのもいいかもしれませんね。

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