皆さんは、どう捉える?【吉村卓也】

更新:2021.12.7

“あなたはゴリラですか” 衝撃的な書き出しで始まるこの本は、 “文章を、書く”ということの、本当の意味を教えてくれた。

2007年、アミューズ30周年全国オーディションにて6万5000人の中から『審査員特別賞』を受賞。“俳優”として映画やドラマ、更には情報番組などで活躍を続ける中、自身が脚本を手掛けることにも目覚め、2015年からはお笑いコンビ、「伊村製作所」を結成し、“お笑い芸人”としての活動もスタート。単独ライブ、お笑いライブの出演の他、キングオブコント、M-1などにも出場。相方の芸能界引退を機に2017年末に解散。 自身は2017年12月から俳優としてテレビ朝日「仮面ライダービルド」に黄羽役として出演し、テレビ朝日系「陸海空 地球征服するなんて」への出演や舞台「おおきく振りかぶって夏の大会編」への出演、一人舞台の上演や、ドラマへの出演など、幅広い活躍を見せている。
泡の子

“あなたはゴリラですか” 

本を開いた瞬間、この言葉が飛び込んできた。

それは僕にとって、かつてないほどの衝撃だった。

たった一行で、一気に引き込まれる文章というのは確かに存在する。

伊坂幸太郎さんの『重力ピエロ』なんかが良い例だ。

“空から、春が降ってきた”

こんなにもワクワクする書き出しには、なかなかに出会えないだろう。

しかし、“あなたはゴリラですか”。 この書き出しは、伊坂幸太郎さんのそれをも超える衝撃だった。

だって……これ、文章術の本ですよ?

 

 

「バズる記事を書きたい」

「ターゲットに刺さる文章を書きたい」

「自分の思いを読んでほしい」 

そんな「技術」を学ぼうとする人は、出発点から間違っている。もっとシンプルに、あなたが読みたいことを、あなたに向けて書けばいいのだ。 電通コピーライターとして24年、自分が読みたいものを書くために退職して「青年実業家」へ。

皆さんは、文章術の本にどんなイメージを持っていますか?

「バズるには~」、「読みやすい文章の書き方とは~」などの、いわゆるテクニックの伝授本。 つまり、『文章術の本=書くための「技術」について書かれている本』。 このイメージを持たれている方がほとんどだと思います。

 実際、僕もそのイメージを持っています。

しかし、本書『読みたいことを、書けばいい。』は、書く「技術」についてをメインとしている、今までの文章術の本と、まったく違います!

それは、なぜか。 文章を書く「技術」ではなく、書く「動機」についてが本書のメインとなっているからです。

どういうことかと言いますと。

本書は、「自分が読みたいと思うことを書けば、自分が楽しい!」という視点から書かれています。

文章を書いたとき、一番最初の読者は自分自身。 その自分が読んで楽しいと思わない文章は、他の人が読んでも楽しいと思わない。 これが著者である田中泰延さんが本書で言っている結論なのです。

実際。 田中泰延さんが、「自分が読みたいことを書いた」この本書。 声出して笑えますよ。本当にページを捲る手が止まらなくなります。

「テクニック」なんか必要ない。 「自分が読みたいから書く」という「動機」には、これほどまでの破壊力があるんだぞ!ということを、体現するとともに教えてくれる本です。 皆さん、ぜひ「読みたいことを、書けばいい。」読んでみてください。

そして、皆さんにご報告があります。 2019年より連載させていただいておりました、このコラムですが。 今回の投稿で最後となります。

毎月楽しみに読んでくださった皆様。

一度でも目を通してくださった方。

本当にありがとうございました。 またいつの日か、僕の文章が皆さんの元へ届くように、これからも日々精進します。 今までありがとうございました!!

吉村卓也

ちなみに。なぜ僕が、最後のコラムに『読みたいことを、書けばいい。』を紹介したのか。 これを説明して、このコラムを終わりたいと思います。

「読みたいことを、書けばいい。」という、優しいタイトル。

感想レビューには、

・「書く勇気が湧きました!」

 ・「ブログを更新するモチベーションが上がりました!」など、 読むことで、“書く”ことの後押しをしてもらえたという声が多く寄せられる本書。

……とんでもない。

柔らかくコミカルな文体でオブラートに包んでいるが、この本は、今まで読んだどの本よりも恐ろしい本だ。

「書くってのは、こういうことなんだよ。それでもお前は書くのか? あ?」。 そう言われているように思えた。 僕はこの本を読んで、何度も「書くこと」を辞めようと思いました。

これほど、読む人によって称賛のズレがある本は他にないだろう。

最後の一文を読み終えたとき、「後押しされた」と感じるか。

「崖から突き落とされた」と感じるか。

さあ、あなたはどう捉える?

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