ジブリは、世界に誇るクリエイティブ集団です。ディズニージャパンの社長から、興行を任せて欲しいとの話も、金もうけの為に作品を作っている訳ではないと最初はまったく取り合わなかったという話もあるくらいの職人気質の集まり。そんなジブリの本質を知るために、作品に込められた思いが伝わる5作品をご紹介します。
こちらは、宮崎駿監督が作品に込めた背景や狙いなどがインタビュー集としてまとめられたものです。更に、彼の文明論から歴史観に至るまで掘り下げてインタビューがなされています。『風の谷のナウシカ』から『千と千尋の神隠し』までの期間、計5回分のインタビューが収録されており、長いスパンの対話の集積となっております。
- 著者
- 宮崎 駿
- 出版日
- 2013-11-08
こちらは、宮崎駿監督の人物評があり、手塚治虫氏、ティズニー氏、押井守監督などについて忌憚のない発言をされています。一見すると、悪口にしか思えないような事ですが、どれも作品を踏まえた上での的確な意見であり、読んでいてこのような見方をするのだと面白いものになっています。
さらに、ジブリのトップとして経営者的な側面をのぞかせるのも、興味深い話があります。自分の近くのスタッフには、厳しくしても大丈夫だが、普段顔を合わせないスタッフは、徹底して優しくするという、経営のポリシーも語られており、宮崎駿という人のする仕事について多面的に見ることのできる1冊です。
この作品は、宮崎駿監督と並ぶ、ジブリの巨匠・高畑勲監督が作品について語った1冊です。初の監督作品『太陽の王子ホルスの大冒険』 から『セロ弾きのゴーシュ』まで、高畑監督の制作過程での論考を収めたものとなっています。
30年以上ものアニメーションを取り巻く環境は、現在のジブリとは全く違うようですが、高畑勲監督のアニメーション制作における、考え方、捉え方は、現在でも通じるもの。
- 著者
- 高畑 勲
- 出版日
- 2014-02-07
この書籍では、宮崎駿監督・鈴木敏夫プロデューサーと、スタジオジブリ30年目、初めての鼎談も実現 しており時代を作った方々の話が楽しめるのではないでしょうか。
この鼎談では、彼らのクリエイターとしてのリアルな顔、そして子供のように無邪気に話す可愛らしさがあります。前談の高畑勲の博識さ、ものづくりにかける熱い想いを読んでからこれを読むと、より一層彼と彼の作品がチャーミングに感じられることでしょう。
そんな魅力的なジブリのもう一人の巨匠が、映画を作りながら考えたこととはどんなものなのでしょうか?
こちらは、鈴木敏夫プロデューサーがどの様に世界で愛される作品を語ったエッセイです。
人々や素晴らしい映画作品との出会い、またプロデューサーとしの戦略も記載されております。
- 著者
- 鈴木 敏夫
- 出版日
- 2011-08-11
鈴木敏夫プロデューサーは、大学時代、左翼活動にのめり込み、徳間書店へと入社します。
その後アニメージュ編集長となり、現在のジブリと出会います。宮崎駿監督は、当時、朝9時から明け方4時まで仕事をしていたとあります。当時の制作現場の凄まじさを物語るエピソードです。
こちらは鈴木敏夫のエッセイですが、やはり彼はプロデューサー。周りの人や外部からの刺激を魅力的に伝えるのが上手いので、スタジオジブリの中心人物たちとの物語が面白い。その中にはもちろん巨匠・宮崎駿監督を観察する視点も非常に興味深いものがあります。宮崎駿監督は、企画は常に自分の周りに転がっていると話しているそうです。
敏腕プロデューサーができるまで、そして彼から見たジブリとはどんなものなのでしょうか?
『スワロウテイル』、『キル・ビルvol.1』、『THE 有頂天ホテル』など数々の有名作で美術監督を任された種田陽平が、初のアニメーション作品『思い出のマーニー』を通してジブリや映画美術について語った1冊です。
- 著者
- 種田 陽平
- 出版日
- 2014-08-01
鈴木敏夫プロデューサーは、美術はアニメ制作の半分以上をしめている、と語っております。それほど重要なポジションである映画美術の世界で、種田陽平氏は現在日本を代表する美術監督として活躍しています。この書籍の面白さは、外部の人間がジブリを語っている事でしょう。
種田陽平氏は、ある日人たらしといわれる鈴木敏夫氏からとりあえず食事でもと誘われ、スカウトされました。また、宮崎駿監督の面白いからやろうというジブリのDNAにふれるエピソードなども、外部の人間ならではの冷静な目線で語られています。
天才美術監督とジブリの出会いは、化学反応を見ているような興味深く、一見の価値があるものとなっています。
風の谷のナウシカは、1984年3月11日に公開された映画です。この本はおおまかに言うと、「ナウシカの誕生秘話」、「制作現場の関係者インタビュー」、「背景を読み解く」という三部構成となっております。
一部では、宮崎駿監督、高畑勲監督、鈴木プロデューサーが、『風の谷のナウシカ』の誕生の秘話を明かしています。漫画からスタートし、どのように映画になったのかの経緯が明かされています。その苦労は、大変なもので、ドキュメンタリー映画が、一本出来るくらいといわれています。
- 著者
- 出版日
- 2013-04-10
二部では、プロデューサーや原画マン、美術監督など政策に関わってきた方々のエピソードが綴られています。宮崎駿監督の厳しさなど当時の大変さが垣間見られる作品となっております。『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの監督として有名な庵野秀明も原画マンとして参加しており、その経緯も語られています。
三部では、様々な分野で活躍をしている方々がナウシカに対する思いを寄稿しており、文章を書かれない満島ひかりなども執筆しております。彼女の寄稿文も独特の世界観があり、『風の谷のナウシカ』に対する想いも伝わってくる質の高い内容となっています。
また、微生物正能学者の長沼氏が、専門家の立場から腐海を分析するなど、『風の谷のナウシカ』を内から、そして中から見ることのできる、まさにジブリ作品を紐解く教科書となっている1冊。ジブリファンにはたまらない一読の価値があるシリーズです。
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ジブリは今や世界でトップグループのクリエイティブ集団です。その哲学から普遍的なものを学ぶことは、人生の一助となるのではないでしょうか。是非、年代を問わず今一度ジブリ作品に興味を持っていただければ幸いです。