書店に行くと、ワクワクする。時には、手に取ったことの無いようなジャンルの本に惹かれたりもする。たとえどんなに自分にとって突飛なセレクトだったとしても、本の衝動買いは、不思議と後悔や罪悪感が薄い。読む気満々でついついもう一冊、、なんてことも少なくない。そんな購買行動を起こしてしまうのが、書店の魔力なのだろう。今回は、そうして私に買い取られ、 “積ん読” されてしまっている本の一部を、公開します。
動画配信サービスNetflixのオリジナルコンテンツに、『Emily in Paris(エミリー、パリへ行く)』というドラマがある。この話の中で、あるフランス人男性が「デート相手の部屋に本が無かったら愛し合えない。」というマイルールを展開しているのだが、これを観て、《読んでいる本を知ることは、その人を知るための有効な手段の一つになり得るのだ》ということを思い出した。
我が家は、家族揃って本が好きだ。好みはそれぞれ違っていて、気に入った一冊を薦め合うこともある。稀に、買いたい本を既に家族が持っていた、ということもあるけれど、それでも本棚にあるうちのどれが誰の本なのか、きっと容易に言い当てることができるだろう。
同居している家族同士なら、ある程度は想像できそうなものの、それが友人やデート相手となると、どんな本を読んでいるのか、見当すらつかないような人もいる。言葉遣いや身に着ける服を選ぶのと同じくらい、もしかするとそれ以上に、本の選択は人の内面を映すものだ。ドラマの中のフランス人男性にどんな真意があったのかはともかく、本に関する会話は相手への理解を深めてくれそうだ。
買ったのに読んでいない本があるなんて、恥ずかしいことだと思ってきた。こんな記事を書きながら、心のどこかでちょっぴり抵抗している自分がいるのも確かだ。でも正直なところ、特に難しい内容だからページが進まないというわけではなく、ただただ読むタイミングを逃してしまったままに待機している本を、私は何冊も持っている。
“読まない” のと “要らない” のは違う。私にとっての “積ん読” は、お楽しみストックだ。興味をひかれて買った本は、今だ!と思うタイミングで読みたい。それに、何か読もうかと思った時、読んだことの無い本が選択肢として並んでいると、なんとも嬉しい気分になるものだ。
例えば、私が “積ん読” しているのはこんな本だ。
映画『ミッドナイト・イン・パリ』に、フィッツジェラルド夫妻が登場したからという理由で買ってきた一冊。
- 著者
- フィツジェラルド
- 出版日
- 1989-05-20
日本語翻訳版は何度も読んでいるので、今度は英語版をCDで聴いてみよう。これを聴きながら眠りにつくのもいいな、と思って買った一冊。
- 著者
- ["サン=テグジュペリ", "井上 久美"]
- 出版日
幼少期に大好きだったタオルケットはスヌーピー柄だった。そういえば、母が子どもの頃に使っていたダイヤル式の電話機も、大きなスヌーピーの形をしていた。スヌーピーは、いつでも大好きだ。『ピーナッツ』は中学生の頃にだいぶ読んだけれど、大人になった今は、また違った理解になるエピソードもあるはず。とりあえず置いておきたいと思い買った一冊。(厳密に言えば、パラパラと眺めてはいる。)
- 著者
- ["チャールズ・M・シュルツ", "三川 基好"]
- 出版日
- 2004-02-14
少しむかしの、丁寧な言葉遣いをする人が好きだ。私も、好い言葉だけを口にできる人になれたらいいと思う。それに、おいしそうなエピソードが書かれていて、面白そうだ。日常の何にも追われていないタイミングで、ゆったりと読みたい一冊。
- 著者
- 石井 好子
- 出版日
定期的に、教材として使われるような古い文学作品を買いたくなるのは、大学生当時の自分の学習態度を懺悔する気持ちの表れかもしれない。実際に教材として読んでいた作品も残していて、時折読み返している。
- 著者
- ボードレール
- 出版日
- 1951-03-19
読んでいないにしても、買った段階でそれなりに思い入れがあるものだ。気になった本をいつでも読める状態で手元に置いておくことが “積ん読” なら、案外悪くないことに思える。そう、なんだかんだ言って、私は読書するのと同じように、 “積ん読” するのも好きなのだ。
あなたも次に本を買うときは、「すぐに読まないかもしれないから、、。」なんてつまらないことは考えずに、目にとまった本を一冊多く手にとって、ポジティブな “積ん読” ライフを始めてみませんか?
おやつのじかん
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