発見されたのは1781年と、比較的新しい惑星である天王星。接近した探査機はボイジャー2号のみで、青く輝くその姿はまだまだ大きな謎に包まれています。この記事では、そんな天王星の温度、輪、自転軸などの特徴や、青く見える秘密などをわかりやすく解説していきます。あわせて宇宙に関するおすすめの関連本もご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
太陽系のなかで、太陽に近い方から数えて7番目の惑星で、木星、土星に続く大きさを誇り、半径は25559kmです。
「天王星型惑星」と呼ばれるガス惑星に分類され、成分のほとんどは水素とヘリウムで構成されています。
重力は8.69m/sで地球の重力のおよそ90%ほど。
地球よりも速いスピードで自転しているため、1日の長さは17時間とちょっと。そして公転軌道が大きいため、1年は地球のおよそ84年分もあるのです。仮に人類が天王星で暮らしたとすると、1歳にならないうちに寿命を終える人が多数出るでしょう。
もっとも明るい時で+5.6等級に達し、接近時にはなんとか肉眼で見ることも可能です。
平均表面温度はおよそ-205度、最低気温は-214度と、超低温。その理由は、太陽から約28億7000万kmも離れているためです。ちなみに地球と太陽の距離は約1億5000万kmなので、比較するととてつもなく遠い距離にあることがわかります。
自転軸が傾いているため、赤道付近よりも極周囲のほうが太陽の熱を受けていますが、なぜか温度は赤道付近の方が高いのが特徴です。この理由は明らかになっておらず、天王星の大きな謎のひとつになっています。
大気を構成している成分のほとんどが、水素、ヘリウム、メタンです。また内部には水・メタン・アンモニアから成る氷があり、中心には岩石の核があると考えられています。
メタンには、赤い光を吸収し、青い光を散乱する性質があります。つまり太陽の光が天王星の大気に入ると、赤い光が吸収されて青い光が跳ね返されるということ。
天王星が人の目で青く見えるのは、メタンの性質によるものだったのです。
天王星の自転軸は約98度傾いていて、黄道面に対しほぼ横倒しの状態になっています。なぜこれほどまでに傾いているのか、はっきりとした原因は解明されていませんが、数十億年前に軌道から外れた天体がと衝突したのではないかといわれています。
近年の研究では、何らかの天体に2回衝突されたのではないかという新しいシミュレーションモデルも発表され、新たな事実がわかるヒントになるのではないかと期待が高まっている状態です。
輪をもつ惑星として有名なのは土星と木星ですが、実は天王星にも輪は存在します。この輪は、自転軸が傾く原因となった数十億年前の天体の衝突の際に、散らばったチリや氷によって形成されたと考えられています。
はじめて確認されたのは、1977年のこと。アメリカのカイパー空中天文台を使い、9本の存在がわかりました。その後1986年にさらに2本の輪が確認され、現在は11本あるとされています。
- 著者
- ホヴァート スヒリング
- 出版日
- 2016-02-15
500枚以上の宇宙の写真とともに、関連する情報を解説している大型の図鑑です。天文学の歴史をたどったり、宇宙物理学の最先端の情報が載っていたりと、読みごたえたっぷりの内容になっています。
基本的には見開きの写真に解説がつくかたちで構成されているのですが、特筆すべきはやはりその美しさ。宇宙が限りなく広いこと、実は秩序が存在していることなど、さまざまな奇跡を感じることができます。太陽系のなかでは大きな天王星も、宇宙のなかでは小さな惑星のひとつでしかないことがわかるでしょう。
- 著者
- ["渡部潤一", "渡部好恵"]
- 出版日
- 2016-07-13
惑星探査機の調査から得られた最新情報を、わかりやすく解説した一冊です。作者は天文学者の渡部潤一。日本国立天文台の副台長を務め、日々天体や宇宙に関するさまざまな現象を観察し、研究をしている人物です。本書の内容も、最先端の研究成果を踏まえた充実したものになっています。
太陽系の成り立ちをはじめ、各惑星を詳細に解説しています。天王星については、基本情報とともに細い輪にまつわる謎を解説。複雑な事象なども、なるべく専門用語を使わずにかみ砕いて紹介してくれているので、宇宙に関する特別な知識がなくても楽しんで読むことができるでしょう。
惑星に関する情報の基本をおさえつつ、もっと深く知ってみたいと知的好奇心を奮い立たせてくれる一冊です。