8月の終わりに台湾へライブしに行きました。
海外には2回しか行ったことがなくて、2013年にインドネシアに行って以来。そのときも「ライブにしに来ないか?」と言ってもらってバンドでの渡航でした。
飛行機に乗って『インサイドヘッド』を見ていたら台湾はすぐ。 機内で公開中や公開前の最新映画が見れるのを初めて知りました。着いてからはずっと雨で、予定されていたリハーサルも出来るかわからなくなり、晴れていたらすぐ予定を立てて無駄なく行動していたのかもしれないですが 、ホテルで宙づりの待ち時間を過ごしました。
部屋は凄くキレイで良かったです。なんですが、どこかよく分からない感じがして、テレビをつけると日本のちょっと前のテレビドラマ『キッズ・ウォー』がやっていたのもあり、妙なところに迷い混んだような気分になってクラクラしました。
ほどなくして、リハーサルの時間が遅くなったと聞いて皆で町を歩きました。
当たり前のようにある日本のチェーン店の看板、ヴィトンやエルメスの店舗や大きな日本の女優の看板。と、普段からよく見かけそうなものをいろいろ見ていて思ったのは、ちょっとした感覚が違うんだなということ。
インドネシアは本当に異国に来た!という驚きで満たされていましたが、それに比べると台湾はあるものも近い。ただ、だからこそ、ちょっとしたそれらのものの扱われ方から、キレイだなとか良いな、と思う気持ちに少しズレがあるんだなと気づいて、ささやかな感動を覚えました。
台湾の話はこれぐらいでまた機会があればどこかでと思いますが、
台湾で感じたような、どういう風に「あるもの」のことを思っているかという感覚の違いを見せられて残る違和感が好きだし、考えてみると記憶に残っています。違和感なのかするっと納得できるのか、ギリギリのところだとなおさら良いのかもしれない。
さて、今回は自分に違和感を与えた、「美しいと思うもの」の見え方について多く描写された作品を紹介します。
長距離走者の孤独
イギリスの小説家、アラン・シリトーによる1958年の作品。短編集。
米ソの冷戦の影響や経済的な不況がじりじりと深刻化している時期だからか、収録されている話は全体的に暗く、登場人物の置かれている状況がなかなか厳しい。辛い生活の中で、心の置きどころにできるものを見つけるが、あっけなく奪われる。漁夫の絵、アーネストおじさんの2作が良かったです。
自分にとってはあんまり幸せとも言えないような状況が、主人公にとっては美しく魅力的に描かれていて、読後はなんとも言えない気持ちになりました。
美徳のよろめき
三島由紀夫、1957年の作品。当時としてはベストセラーになったそう。
人妻が夫以外の友人と関係を持つ。題材は置いておくとして、欲やら何やらで主人公の感覚がだんだん変化していくところが読んでいて困惑する。美しさや快楽が詰まっています。