新年あけましておめでとうございます。皆さま、お正月はいかがお過ごしですか。暴飲暴食ぶちかましていますか。クリスマスハイからの新年ハイで食べ過ぎてはいませんか。食べ過ぎてますか。そうです。それが正しい年末年始の過ごし方。2,3kgの増量は誤差を合言葉に、食っちゃ寝が赦される素晴らしき数日間を愉しみましょう。
明治の文豪・森鴎外の娘として生を受け、父に寵愛されお嬢様として育った森茉莉。彼女に備わった生活能力は皆無だったが、料理だけは例外だった。作ることにも食べることにも、美意識と言っていいほどの拘りを貫いた彼女の食エッセイ集。
- 著者
- 森 茉莉
- 出版日
“女は、いい男にダイエットをだいなしにされるためにダイエットをするのだ”という圧倒的破壊力を持った一文からこの短編は始まる。なんて暴論、しかしとてつもなく正論だ。ほとんど泣いてしまいそうになる。恋愛至上主義的な傾向を持つ(とわたしは思っている)江國女史の言葉だから“いい男”に限定されているが、わたしは“いい女”にダイエットをだいなしにされるのも好きである。好きな人とお酒を飲みながら、禁忌的な時間に食べるジャンクフードや甘いものは最高。例えぜんぶ脂肪になっても愛おしいとさえ思える。「うんとお腹をすかせてきてね」(「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」に収録)」
2005年02月01日
憧憬のような崇拝のような恋慕のような、とにかくとても強い好意を抱いている女性に誘われ初めてふたりで食事に行った時のこと。わたしは無意識のうちに、メインからドリンクに至るまで全て彼女と同じものを注文していた。ふたりでシェアして食べる料理は、彼女と同じぶんだけ食べた。二十歳を越えてすぐのことだったので、すぐに酔っ払ってしまわないかどきどきしながら彼女と同じお酒を飲んだ(案の定すぐ酔ったし、未だにお酒にはひどく弱い)。琥珀色のアマレットジンジャーを飲む彼女の喉元が白く艶めかしく動いていたのが印象的で、それを見ながらわたしはとても満ち足りた気持ちになっていた。今考えれば、好きな人と同じ肉体的組織の構成要素を体内に得られることが嬉しかったのかもしれない。
食事。基本的には毎日するもの。本能的であり、日常的な行為だ。ひとりでも出来るし、適当に済ませることも出来る。生命維持の為だけの摂食ならば、香ばしい焼き色も、つやつやのグラッセも、まるで無意味だ。一年のうち、幸福で身体いっぱい満たされるような食事をとることが出来るのは何回だろう。人それぞれだろうが、きっとそんなには無い筈だ。だから、食事というごく普遍的な行為をドラマチックに描いた本が、わたしは堪らなく好きだ。
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。