後味の悪さがクセになる!ホラー漫画『裏バイト〜逃亡禁止』の魅力を紹介

更新:2023.3.6

ハイリスクハイリターンの怪しい「裏バイト」を描いた『裏バイト:逃亡禁止』。幽霊、怪異、サイコなど、様々なホラー要素が絡み合う人気作です。 「正体がわからないものが怖い」という人間の本能を刺激してくれる同作。 今回はそんな『裏バイト:逃亡禁止』の魅力をネタバレしながら紹介していきます。

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『裏バイト:逃亡禁止』のあらすじ

『裏バイト:逃亡禁止』は「次にくるマンガ大賞2021」で5位にランクインした、注目の作品です。

裏バイトの心得

1.想像もし得ない事が起こると心得るべし

2.情報収集を欠かしてはならない

3.可能であれば、協力者を求めるべし

しかし、いざという時は…非情な決断も必要である

(『裏バイト:逃亡禁止』1巻より引用)

 

「裏バイト」それは大金が得られる代わりに命を失う可能性さえあるハイリスクハイリターンのアルバイトです。一見誰にでもできるような仕事ばかりですが、その背後にはぞっとするような恐怖が潜んでいます。

主人公の黒嶺ユメと白浜和美は破格の報酬を求め裏バイトに応募した裏アルバイターです。

出典:『裏バイト:逃亡禁止』1巻

「危険の予兆を匂いで感じ取ることができる能力」を持つユメ。そして男勝りの体力と抜群の行動力がある和美。実は中学時代の同級生だった2人は、第1話『ホールスタッフ』の裏バイトで偶然再会したのをきっかけにコンビを組むことになります。

裏バイトを繰り返す彼女たちに次々と襲いかかる怪奇現象。身の毛もよだつ恐怖をユメの能力と和美の行動力を駆使して切り抜けていきます。

果たして彼女たちは無事に大金を得ることができるのでしょうか。

そして2人が命懸けの裏バイトを続ける理由とは……?

死者の怨念、正体不明の怪異、狂気、謎。ホラーとサスペンス要素がたっぷり詰まった『裏バイト:逃亡禁止』の展開から目が離せません。

著者
田口 翔太郎
出版日

意味がわかると怖い?「人形供養編」

「人形供養」の裏バイトに採用されたユメと和美。

依頼主である黒柳から説明された仕事内容は、日本全国から送られてきた役目を終えた人形を供養するというもの。ただし、供養するのはお坊さんではなく彼女たち裏アルバイター。

今回は彼女たちに加え、人形が大好きな女性の天ノ崎との3人で仕事を開始します。

大きな目を持つ西洋人形の供養を頼まれた彼女たち。供養の方法は「人形を人間と同じように扱うこと」。

出典:『裏バイト:逃亡禁止』2巻

作業内容が想像より簡単だったので軽い気持ちでバイトを始める3人でしたが、供養のために用意された民家に閉じ込められていることに気づきます。

怪しい人形とともに閉じ込められた彼女たち。やがて人形が「目を動かす」「誰も触れていないのに移動する」などの不気味な行動をとるようになります。ユメは人形から漂う「黒い匂い」から、人形が危険なものであると察知するのです。

どう考えても人形から離れた方がいいという状況にも関わらず、人形が大好きな天ノ崎は人形とともに密室へ籠ってしまいます。

一方で、ユメと和美はあるメモを発見します。そのメモには、『黒柳は人形に人間を供えるためにバイトを雇っている』と書かれていました。

民家から脱出しないと人形の生贄にされると気が付いた2人は、憔悴する天ノ崎も救い咄嗟の機転でこのピンチを切り抜けます。

また、供養が終わっていないのにも関わらずなぜか人形から黒い匂いが消えており、危険は感じられなくなっていました。

無事に仕事を終え大金を手にした3人。これまでニコリともしなかった天ノ崎の笑顔を見ることができて一安心です。

しかしユメはそんな天ノ崎の変貌が少し気になる様子。場面は変わり、例の人形を脇に抱えながら電話をする黒柳。

すると供養したはずの人形が「タスケテ」と口走り……。

「人形供養」の裏バイトは不気味な余韻を残しながら終了します。

「供養」と「西洋人形」という組み合わせだけですでに得体の知れない恐怖を感じるこの回ですが、天ノ崎の変貌”と人形の「タスケテ」という言葉の真相に気づいた時、この漫画の怖さを知ることができるでしょう。

一方で癖の強い天ノ崎に対するユメと和美の優しさに、怖いだけではないこの漫画の魅力が表れています。

狂気の復讐劇が恐ろしい「助勤巫女」編

新年に離島の神社で巫女をすることになったユメと和美。同じく裏バイトに応募した「未帆」とその親友「真琴」とともに楽しく働きます。

ユメと和美が働く神社の境内には井戸があり、その井戸には福ノ神という神様が住んでいるという伝承があるようです。神社を訪れた人は福ノ神のご利益によって大成功し、日本有数の資産家になることができるため、たくさんの人が参拝しています。

ユメと和美は何事もなくバイトを終え、神社では島民たちによる宴会がはじまりました。

ところがその翌日、ユメと和美は未帆がいなくなったことに気がつきます。

危険な匂いを感知できるユメは井戸が怪しいと推測しますが、島の人たちは井戸に近づけてくれません。

未帆の友人である真琴はどうしても井戸を調べたいとしつこく迫ると、島の人たちに連れ去られてしまいました。真琴はどうなってしまったのでしょうか…。

一方で、ユメと和美は神主から、未帆は福ノ神の生贄として殺され、井戸に放り込まれたことを聞かされます。

実は生贄を捧げて福ノ神からのご利益を受けることによって、神社に訪れた人たちは巨万の富を得ることができていたんです。

その事実を知ったユメと和美は急いで島民たちに連れ去られた真琴を助けに向かいます。間一髪、襲われる寸前に真琴を救出することができた和美。

ユメと和美はそのまま逃げようと提案しますが、真琴は未帆を探すために逃げることを拒否します。

1人井戸に向かう真琴。そして井戸を覗くと、頬まで裂けた口を広げる福ノ神が現れ真琴を引きづり込むのです。

そして、引きずり込まれた井戸の中で未帆の死体を見つけた真琴は、島の人たちに恨みを募らせます。

出典:『裏バイト:逃亡禁止』2巻

目の前の福ノ神に、自分を捧げる代わりに島民たちへの復讐を願う真琴。それに応えるかのように福ノ神が不気味な笑みを浮かべます。

そして和気あいあいと過ごす島民たちに不穏な気配が……。

この事件に直接関わっていた島民たち、そして他176名の資産家たちが不可解な事故により死亡という結末のみが書かれ「助勤巫女」の裏バイトは終了します。

めでたい新年が未帆の死体とともにホラーへと一変する「助勤巫女」。

得体の知れない福ノ神もさることながら、当然のように生贄を捧げる島民たちの方がたまらなく不気味なエピソードです。

オチの展開が怖すぎる「探偵助手」編

探偵の八木から依頼された裏バイトは人気アイドルの素行調査。今回はユメ、和美、和美の後輩の橙、自分で裏バイトに応募した緑澤の4人がチームを組みます。

早速八木から説明を受ける彼女たち。八木はターゲットのことは本名ではなく「A」と呼ぶよう指示し、「見つかったら死ぬと思え」と笑顔で言い残します。

2人1組での尾行。最初は和美、緑澤ペアから尾行開始です。

「A」は何時間もただ街を歩き回るだけでしたが、突然路地裏で猫を踏み殺すという異常な行動に出ます。

続いてユメと橙の番。するとユメがいきなり匂いに反応しました。

その瞬間、芸能人である「A」の存在に気がついた一般人が突然トラックに轢かれ即死。

ユメたちは全員無事だったものの、ユメと和美はある違和感を覚えていました。何時間も観察していたにも関わらず、未だに「A」の後ろ姿しか見ていないのです。

翌日も尾行を続ける彼女たちでしたが、再び「A」に気がついた一般人が事故死します。

それから数日後、和美たちは「A」の自宅に侵入することになります。

「A」が外にいるにも関わらずテーブルの上に朝食が並んでいることに気がつく和美。そして奥で尾行していたはずの芸能人「A」の死体を発見しました。

出典:『裏バイト:逃亡禁止』3巻

急いで橙に連絡すると、今も「A」を尾行しているとの返事が……。

尾行を続けるユメ・橙ペア。しかし匂いが強くなり、とても危険だと感じたユメが橙を連れ逃げ出します。

それと同時に多くの通行人が「A」の存在に気づき人だかりができてしまいました。すると上空から飛行機が落ちてきて……。

事務所に戻った四人。八木によれば、「A」は自殺していたそうです。

八木は、彼女たちが尾行していた「A」はタレントのイメージが実像化した虚像ではないかと推測します。

そして、虚像に見られたと気づかれた人間は死んでしまうのではないか、と分析したのです。

なにはともあれ依頼は終了となり、何気ない会話をしながら帰る和美と緑澤。

そんななか、緑澤が突然振り返り「私の後ろの人見ないでね」と言います。

緑澤の背後には正面を向いた「A」が……。

後ろ姿しか見えない「A」、そしてその存在に気がついてしまっただけで悲惨な死が訪れるというシチュエーションがたまらなく怖い「探偵助手」。 仕事を通して和美たちと仲良くなった緑澤が、最後の最後で「A」に気づかれてしまう衝撃のラストには、恐怖と切なさを覚えることでしょう。

しかしスリル満点な一方で、ネガティブな緑澤のなかに生まれた和美との友情や、この漫画のマスコット的存在である橙のお馬鹿ぶりも見どころです。

まとめ

心霊、怪異、人間の狂気、謎、様々なホラー要素が詰まっている『裏バイト:逃亡禁止』。身の毛のよだつ恐怖だけではなくサスペンス要素もあり、ホラー好きにはたまらない作品です。

興味がある方は是非を読んでみてください。

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