どこにもいけない今だから『地球の歩き方』を学んでみる

更新:2021.12.12

抑圧されると自由を求めるのが人間の性で、それは昨今特に強くなっているように思える。前みたいに気兼ねなく自由にいろんなところに行ければいいけれど、その未来は少なくとも数年先だろう。そんな中『地球の歩き方』が話題になっているのをみた。

ブックカルテ リンク

2021年8月10日、Twitterでこんな話題をみかけた。

顧客の大部分を失った「地球の歩き方」が本気で生き残ろうとしている。思わず買ってしまう。

 

地球の歩き方は、まだまだ面白い

「地球の歩き方」。本屋の隅でたまに見かけて、タイトルをみてワクワクしちゃうシリーズ。本屋って未知の本との出会いに溢れているけれど、旅行系ってあまり旅行をしない人でもついパラパラとページをめくっちゃう魅力がある。

「地球の歩き方」は1970年代にはじめて発行されたシリーズで、各国での「過ごし方」を紹介するガイドブックだった。ホテルのとりかたとか、現地で気をつけたほうがいいこととか、かなり実用的な内容だった気がする。なるべく現地の生の情報を掲載するために、各国を旅行している人たちから寄せられた情報を掲載していたが、真偽の不明な情報も多い玉石混交といった内容で、そこがまた魅力と言われていた。Wikipediaとかにも載っているから読んでみてもいいかもしれない。(地球の歩き方の当時の事情とかも結構詳しく載っている)

2000年代に入ってネットが普及してからは、だれでもどこでも世界中の情報が手軽に手に入るようになって勢いが衰えてしまったが、昨今のおいそれと外出できない情勢になってから、また注目されはじめている。それがでているのが上のツイートだ。

最近の「地球の歩き方」は、読んで旅をする気にさせてくれるコンテンツが多い。「地球の歩き方」のWebページもかなり充実していて、これだけで何日も時間がつぶれてしまいそう。参考データもかなり精査されるようになっていて、時代に合った紹介の仕方がされている(衛生環境とかWi-Fiの入手法とか)。もちろん「地球の歩き方」らしさも残っていて、旅行オタクのコンテンツもあるから本当に楽しい。

Webページの方に話が逸れてしまったけど、書籍の方も紹介しておきたい。本当に面白いものばかりだから。

世界なんでもランキング

著者
地球の歩き方編集室
出版日

文字通り世界のランキングが載っている。

世界の長い川ランキングとか、旅行者が多い国ランキングみたいな定番なものもあれば、インターネットの速度がはやい国ランキングとか、最高のエコノミークラスみたいなちょっとマニアックなランキングもある。旅行、地理、文化、経済など、あらゆるランキングが130種類載っている。

家族友人同士で読んでワイワイするスタンダードな楽しみ方もいいし、お子さんと楽しみながら世界の知識を蓄えてもらったりするのもいいかもしれない。

世界のグルメ図鑑

著者
地球の歩き方編集室
出版日

ランキング系に並ぶ定番ネタである「グルメ」ももちろん取り扱っている。

特集として巻頭に

世界のギョウザ
世界の朝食&ブランチ
世界の軽食
ハーブ&スパイス図鑑
クリスマスのお菓子
世界の珍料理

 

がある。それと本編にはなんと116カ国のグルメ情報が載っていて、これを見るだけで世界の食に詳しくなれるような作りになっている。もちろんその幅広さから、深さが足りないと感じる部分はあるにしても、幅広く見ることで世界全体の食文化の違いが見えてくるあたりがとても面白い。

そして個人的にめちゃくちゃいいなと思ったのが「本場の味を日本で体験できるレストランガイド付き!」という部分。おいそれと旅行できない情勢だというのもあるけど、たとえば体調的に遠出ができなくなってしまった人とかでも、国内で楽しみながら外国に思いを馳せることができる。旅行をバリアフリーにするようなこういう企画はとても好きだ。

そういえばにじいろジーンが好きな番組上位にくるんだけど、あれは本当にいいよね。世界のローカルな知識に根ざした番組という感じで、本当に旅をしている錯覚に陥る。あれをみることができる土曜日は1週間の中で一番好きな曜日だ。

東京で楽しむ各国シリーズ

グルメシリーズとちょっと流れが似ている内容で、「東京でいながら世界を楽しむ方法を書いたシリーズ」もある。

台湾とか。

著者
地球の歩き方編集室
出版日

フランスとか。

著者
地球の歩き方編集室
出版日

韓国とか。

どれも、東京にある”各国っぽいところ”を紹介している。アートとか、グルメとか、街並みとか、人とか。東京は日本の文化がないまぜになっていると感じることがよくあるけれど、その実世界の文化までも入っている、文化が凝縮された街であることが感じられる。

 

「本は読者を様々な世界に連れていってくれる」とはよく言われることだが、『地球の歩き方』は僕たちと文字通り世界へ連れていってくれる。色々と抑圧の強いこの時代に、ネットではなく紙でこういう情報を読んでいる時、僕は本当に心から自由を感じる。

もっとも自分の足で行って、自分の目で見るのが一番いいけれど、こういう世界の味わい方もなかなかいいものだと心底思う。危ない街とかもあるしね。

そういえば家族でハワイに旅行にいったとき、みんな日本恋しさから日本食レストランに入り浸っていたのを思い出した。「世界の日本っぽいところ」とかがシリーズであったら思わず買ってしまう人は案外いそうな気がする。

 

一度でいいから「地球の歩き方」を読んでみてほしい。旅行がそんなに好きじゃない人でも、きっとこれは面白い。

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