先日『せんせいって』という絵本を出された松下隼司先生(大阪市立豊仁小学校)と話す機会があって、ちょうどよかったからおすすめの絵本を聞いてみた。そうしたら「あ、ここで聞くとは思わなかった」という名前を聞いた。「漫☆画太郎」だ。マジ?
正しくは「ガタロー☆マン」だったんだけれど、独特のタッチと、この名前。「漫☆画太郎」の別名義であることは明らかだった。少し関連記事を調べてみたけれど、
やなせたかし目指し絵本作家デビュー
ということだった。(くわしくはオリコンニュースのこの記事をみてほしい)
で、松下先生におすすめされたのは『ももたろう』。こんな感じの表紙である。
- 著者
- ガタロー☆マン
- 出版日
この、柔らかくて細やかな描き込みの中に混じっている狂気。他でもない、漫☆画太郎の絵だ。
この細部まで描き込む絵柄は、絵本との相性はかなり良さそう。子供は絵に惹かれて、そのあと物語に惹かれる。ファーストインプレッションとして、この上ないイラストだと思う。
そして、一つ絵柄以外にも子供を惹きつける大きな特徴があって、それが「フレーズ」だ。
たとえばこれ。
「い…」
「ました!!!」
『ももたろう』では、最初から最後まで「〇〇をやり…」→「ました!!!」という事後報告の繰り返しで物語が進む。ページの最後が「…」で終わり、次のページでは「ました!!!」がくる。くるとわかっているのに、いや、わかっているからこそ子供たちは毎回ウケる。というか大人でも笑っちゃうよ。この絵は。僕はこの豚みたいな犬が好きです。
子供はこういうお決まりのフレーズが好きだ。家庭でも「宿題し…ました!!!」とか、幼稚園・保育園や学校では「あのゲームクリアし…ました!!!」みたいなやりとりをしている子たちもいるらしい。こういう「読んで楽しむ本」って本当に素晴らしいと思う。子供は笑うのが仕事だから。
ガタロー☆マンの絵本は、「笑本(えほん)おかしばなし」というシリーズになっている。「悲劇は喜劇に、喜劇は超喜劇に!」をコンセプトに、悲劇が嫌なガタロー☆マンが、独自の解釈のもと、絵本の名作をリメイクするシリーズらしい。
初回限定版で声優の読み上げ音声が入っていたりする。『ももたろう』は大御所声優・杉田智和だった。
大人は、子供がケタケタ笑っている姿を見ると安心する。もしよかったら、笑本シリーズをみてみてほしい。きっと親子で楽しめる。
- 著者
- ガタロー☆マン
- 出版日