前回紹介した『犬が星見た』の列車での情景を楽しく感じたのと、1月11日にリリースするアナログ7inchに「鉄道」という曲があるので、今回は電車っぽい3冊を紹介します。
銀河には一瞬では届かない距離がある
久しぶりに銀河鉄道に行く。有名な作品だけど、読むたびに気になる箇所が変わっていく。ジョバンニとカンパネルラが銀河をかける冒険。
最初に学校の先生は天の川について「そんなら何がその川の水にあたるかといいますと、それは真空という光をある速さで伝えるもので、太陽や地球もやっぱりそのなかに浮かんでいるわけです」と説明する。
光の速さっていうのは不思議な話だな、と思う。
黄色い星マークがビューンと藍色の銀河を過ぎていくのを想像する。
銀河には一瞬では届かない距離がある。光の速さで、と使うときはものすごい速さなのに。
銀河には何があるのだろう。この話はそんなことの答えでもある気がしてくる。
銀河鉄道に乗って、さまざまな生き物や風景やひとに出会う2人。
自分のしあわせは自分でしか分からない、だからその出会い一つひとつがおもしろいと思うんだ。
ジョバンニがアルバイトで活版印刷の写植を行うシーンも好き。
激怒したのは電車じゃなかった
新学期に教科書が配布されると、ぱらぱらとめくり何となく新しいページたちを確認する。その中に走れメロスはいた。
冒頭の一文を見て「メロス、か。電車の話なんだな」と私は思ったんだ。
その後授業でこの話を読んだとき、わたしは驚く。
メロスは電車じゃなかったのだ。激怒したのは電車じゃなかった。
走っていたのは電車でなく人間だった。
そうだけど、そんな小さなことが何かを変えたり生んだりする気もする。
あと、セリヌンティウスという名前は素晴らしいと思う。