『日本三國』は2021年の11月からマンガアプリ「マンガワン」にて連載スタートした作品で、数話しか連載していないものの、「大ヒットしそう!」「名作になりそう!」といったコメントが続出しています。 今回はなぜ『日本三國』に大きな注目が集まっているのか、その理由を少しだけ作品の内容にも触れながら紹介していきます。
『日本三國』は設定から、ヒットの予感を感じさせます。まずは設定の紹介です。
令和末期、データ×AIの第四次産業革命で日本が諸外国に大敗。さらに加速する少子化によって教育レベルが大幅に低下し、日本は衰退の一途をたどっていきます。
そして核戦争が勃発し、戦地にならなかった日本に難民が押し寄せ、コロナを超えるウイルスが到来し、加えて3.11規模の大災害が相次いだことによって、日本は大混乱してしまいます。
一方政治・経済は完全に腐敗し、上級国民と言われる政治家や資本家に富が集中する恐ろしい世の中になっていきます。
その状況に不満を抱いた民衆が暴力大革命を起こした結果、人口は10分の1に減少。さらに文化、インフラ、テクノロジーが失われ、文明は明治初期レベルまで後退することに。
最終的に日本は滅亡し「大和」「武凰」「聖夷」の三つの国に別れて、長い間覇権を争っている状態になるという、なんともぶっとんだ設定です。
その中で「大和」の田舎で農民をやっていた主人公の三角青輝(みすみあおてる)は、とある理由から日本再統一を決意。
「登竜門」という超難関なテストを潜り抜け、有名な将軍に士官し、日本再統一のために進んでいくのです。
日本が滅亡するまでの流れが、「未来で本当に起こるかもしれないという」という絶妙なラインで描かれていて、さらに日本再統一という『キングダム』や『三国志』のような壮大なストーリーを予感させる組み合わせが、注目を集めている理由となっています。
作中でも現代の建物が登場したり、登場人物たちの会話の中で「昔はユニバっていうテーマパークがあって...。」といったような描写も出てきたりして、親近感を覚えるのも面白いです。
- 著者
- 松木 いっか
- 出版日
天下統一を目指す主人公のイメージとして、圧倒的な武力とカリスマ性を備えた華のあるキャラクターを想像する方も多いのではないでしょうか。
『日本三國』の主人公である青輝は、非力で戦闘に役立つような武力は全くと言っていいほど持っていません。
その代わり、子供の頃に読書で得た圧倒的な知識を使って、国の農業を発展させたり、軍師として活躍していきます。
さらに話術にもすぐれ、自分より圧倒的に上な立場の相手にも意見を通してしまうほどの力を持っています。
青輝の話術は相手を騙したり情に訴えかけるのではなく、どんな反論も出ないほど徹底された理論武装で相手を動かしていくのです。
他の作品で例えると、青輝は『ヒストリエ』のエウメネスのようなキャラクターに近いかもしれません。もっとも、エウメネスは武力もありますが...。
いつ死ぬかもわからない厳しい戦国時代の中で、力や権力に頼るのではなく、知識と話術で壮大な目標をめざしていく青輝が非常に新鮮に感じられるのもヒットを予感させる理由の一つです。
また、天下再統一という野望を持つ前の青輝は頑固で頭の固い生真面目な性格で、出世欲や上昇思考もなく、地元で農士官として働いている自分に満足している、地味なキャラクターです。
しかし、天下再統一という大きな野望を持ったことで、一歩ずつ確実に夢に向かっていく熱い一面を見せるキャラクターに変わっていきます。
今後、青輝がどのような活躍をしていくのか、ワクワクが止まりません。
『日本三國』では青輝を取り巻く魅力的なキャラクターによって、作品がどんどん面白くなっていくのもヒットしそうな理由の一つとなっています。
青輝の妻であり、一番の理解者。また、青輝が天下再統一を目指すきっかけを作った人物でもあります。
小紀は喧嘩っ早くて、思い立ったらすぐに行動してしまうタイプ。どんなことがあっても、自分が正しいと思ったことは貫き通す、勇気を持っている女性です。
頑固で思慮深い青輝とは正反対のキャラクターですが、青輝の変わった性格や素晴らしい能力を認めており、青輝の知識を使えば本当に天下を再統一できると本気で信じています。
今後のストーリーにおいても、青輝を支え続ける大切な存在となっています。
実質、大和の国で一番の権力者。大和国には帝という権力のトップがいるものの、帝を操っているのはこの平です。
平家は大和建国前から代々豪族として活躍した家柄で、平は近畿地方で一番の権力を利用して、妹を先帝の皇后に立てます。
さらに、先帝を毒殺し、新しく帝を立てることで全権を手に入れてしまう恐ろしい男です。
自分に不都合な人間が入れば権力ですぐに殺してしまう残忍な性格を持ちながら、駆け引きも上手い抜け目のないキャラクターでもあります。
青輝にとっては因縁の敵にとなり、日本再統一に向けての大きな壁となる存在です。
芳経は大和国家を建国から支えてきた名門、阿佐馬家の宗家の嫡男。
自身の能力と家柄を誇っているナルシストで、自分の凄さを認めさせる事が大好きな青年です。
青輝と同じく日本を再統一を目指していますが、動機は「日本を再統一することで自分の力で示し、国の全ての人から尊敬される存在になる」というもの。
志は青輝と同じですが、性格や能力、また出世欲がある点で正反対のキャラクターです。青輝と出会った当初は衝突するものの、お互いに力を認め、同じ軍に組織に所属し、力を合わせるようになります。
「知識の青輝」と「武力の芳経」の二人がどのように力を合わせていくのか、とても楽しみです。
大和の辺境将軍。高潔で文武に秀で、堅物ながら誰もが尊敬の念を抱くパーフェクトな男です。
「大和軍8000人」と「武鳳軍27000人」という圧倒的不利な戦いも、精鋭20人を引き連れて敵陣に潜入し、奇襲によって勝利するといった機転も持ち合わせていて、作中でも最強クラスの強さを持っています。
龍門の自宅である通天閣には、仕官を望む人が毎日数千人も押し寄せるほど人望も非常に高く、まさに理想の上司といったような存在。
後に、青輝と芳経は龍門の部下として働くようになります。龍門と青輝たちの関係性がどのように発展していくのか、注目です。
一方で、圧倒的な人望と能力があるため、平から煙たがられています。そのため、平は龍門に無理難題を押し付け、困らせていくのです。
二人の対立関係にも目が離せません。
大和の第3代大和帝で、国で一番の権力を持っている人物です。
しかし、平の力によって今の地位についた大和帝は、平に逆らう事ができません。
また、国の一大事についても自分で判断できるだけの能力は持っておらず、それにつけ込んだ平によって帝の権力を利用される操り人形のような存在です。
平のやりたい放題な行動と大和帝の頼りなさが合わさって、見ているだけでイライラしてしまうようなキャラクターとなっています。
このように個性豊かなキャラクターが作品をどんどん盛り上げてくれるのも、ヒットを予感させる要因の一つとなっています。
今後はどのようなキャラクターが出てくるのでしょうか。期待が高まりますね。
田舎の農民であった青輝がなぜ、天下再統一を目指すことになったのか。その理由にも心を揺さぶられます。
青輝と小紀は大和の愛媛郡という場所で、ひっそりと暮らしていました。ある日、平が愛媛郡にやってきます。
突然、平は追加で税を徴収しはじめ、支払いができなかった人には体罰を与えたり、殺したりしてしまうなど、ひどいことを繰り返していくのです。
それを見ていた小紀は青輝の制止を振り切り、平の部下に手を出してしまいました。
そして次の日、青輝が目覚めると小紀の姿が見当たりません。
外に出ると地面に血が飛び散っていて、青輝の自宅の前では平と部下が箱を持って立っています。
なんと、平と部下は逆らった小紀を殺し、その首を箱に入れて青輝の自宅まで運んでいたのです。
怒りに満ちた青輝は小紀の仇をとるために平と部下を殺し、自分も死のうと考えます。
しかし、青輝が平を殺したところでこの時代の根本は何も変わりません。また小紀のように殺されてしまう人が増えるだけです。
青輝は自分の知識によって日本の再統一を果たすことによってのみ、小紀の無念を果たす事ができると悟るのです。
さらに小紀からの「あんたの知識を生かせば、辺境を平定し、三国時代を終わらす事ができるかもしれん!」という言葉を思い出し、改めて日本再統一を決意します。
自分を信じてくれた小紀というたった一人のために日本再統一をという大きな目標を志すという理由に心が揺さぶられてしまいます。
青輝は日本再統一を果たせるのか。そして新しい世の中を作る事ができるのか。
どんなラストになるのか想像が止まりません。
『日本三國』は現代から明治初期まで文明が後退した世界という複雑な設定になっていますが、現代と明治初期の雰囲気を上手くマッチさせた絵柄によって、設定に違和感を感じることなく読み進めることができます。
例えば、大阪の街には通天閣などの現代に近い建物が登場しますが、街全体は明治初期のような雰囲気も漂っています。
現代と明治初期のどちらでも違和感ないような絵柄によって、作品の世界に没頭できるのも『日本三國』の魅力です。
また、青輝が話術で相手を説得させるシーンでは、文字が多く使われます。
文字がたくさん出てくると、文字を追うのに疲れてしまう人もいるかもしれません。
しかし、表情が丁寧に描かれていることで、文字の多さがほとんど気にならないくらい、スラスラと読み進めることができるんです。
例えば、青輝と芳経の会話のシーン。青輝が次々と自分の意見を述べていくことで、芳経の余裕が消えていき、どんどん追い込まれていく表情が描かれています。
字が多いですが、表情の描き方がうまいので読んでいて字の多さがほとんど気になる事がなく、まるで自分もその場にいるような臨場感を味わえるはずです。
『デスノート』や『コナン』のように文でも絵でも濃い味がする、なかなか味わい深い作品となっているのも、『日本三國』に注目が集まっている理由といえるでしょう。
例えば、他の国との戦いはまだ始まっていません。おそらくこれから日本再統一に向けて激しい戦いが繰り広げられると予想できます。
そして戦のなかでで青輝の頭脳がどのように発揮されていくのか、どのような成長をしていくのか、多くの見どころがありそうです。
また、芳経や龍門などの個性豊かなキャラクターと青輝との関わりや、手強いライバルの登場にも期待が高まることでしょう。
その他にも、平と因縁はどのようになっていくのか、日本統一後に青輝はどんな国を作っていくのか、など想像したいことが次々に登場します。
史実ではなくて完全にオリジナルの世界なので、どんな展開が待っているのか全く予想ができません。
考察しがいのある作品であるのも、ヒットを予感させる理由の一つです。
『日本三國』がこれから人気作品になりそうな理由をたくさん紹介してきました。
名作になる予感をひしひしと感じていただけたかと思います。
ストーリーも始まったばかりなので、これから読んでも余裕で追いつけますので、ぜひチェックしてみてください。