読書にハマる起爆本!叙述トリック5冊

読書にハマる起爆本!叙述トリック5冊

更新:2021.11.30

私は、大学に入るまで一切本を読まない少年でした。高校では、理数科という学科に通うほどの理系人間。推薦入試の際に「好きな本は?」と聞かれ、苦し紛れに「名犬ラッシー!!」と笑顔で叫んだほどの、微笑ましい少年でした。ふむふむ。 そんな私が読書にハマるきっかけとなったのが、叙述トリック本です。

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私は、大学に入るまで一切本を読まない少年でした。高校では、理数科という学科に通うほどの理系人間。推薦入試の際に「好きな本は?」と聞かれ、苦し紛れに「名犬ラッシー!!」と笑顔で叫んだほどの、微笑ましい少年でした。ふむふむ。

そんな私が読書にハマるきっかけとなったのが、叙述トリック本です。

叙述トリックとは、文章上の仕掛けにより、読者の勝手な勘違いを誘う手法のことです。簡単に言えば、作者が読者を騙すテクニックです。物語の中の登場人物ではなく、読者自身が騙されるのです。

このトリックは、登場人物や時間軸、場所といった描写をわざと伏せたり暈すことで、読者に誤った解釈を与え、勘違いを誘発させます。文章のみという小説だからこそ成せる技とも言えます。作者の匠みな文章により、読者自身が勘違いしたまま読み進めてしまい、最後の最後で「なんじゃこりゃぁあぁあぁあああぁあ!!!」と衝撃の事実を突きつけられるのです。この騙された感がたまらなく気持ちいいのです!! これこそが叙述トリック本の醍醐味なのでございます!!!

本来であれば、叙述トリック本は、紹介などの予備知識が全くない状態で読むのがベストです。知ってしまうと、読む前から「来る!来る!!どんでん返しが来る!!!」と身構えてしまい、ラストの驚きが失われてしまう可能性があります。

しかーし !!!

ここから私が紹介する本は、叙述トリックが使われていると知っていても楽しめる作品だと思います。私自身、どんなトリックが来るのか構えていながらも、最後には「うっほぉおぉおおおっ!!」と騙されたものです。ネタバレ厳禁で紹介していきますので、ぜひ一度手にとってみてください。

「十角館の殺人」 綾辻行人

著者
綾辻 行人
出版日
2007-10-16
名作です。絶対に読んで頂きたい一冊。ミステリー好きならば誰もが知っているであろうこの作品。過去、私が読んだ本の中で最も衝撃を受けた作品かもしれません。著者の綾辻行人さん、なんとこの作品がデビュー作というのだから驚き。脱帽です。

離島に建つ十角形の館を舞台とした連続殺人。この世界観や設定が非常に魅力的で、ぐいぐい引き込まれます。少し長めの作品ですが、そんなことを感じさせないくらい読みやすいです。起承転結がまとまっており、すらすら読むことができます。私も夜な夜な最後まで一気に読んでしまいました。

一つおすすめしたいのが、この作品を読む際は、ぜひ新装改訂版で読んでみてください。詳しくは言えませんが、改訂されたことにより面白さが倍増しています。すべて計算して改訂されたのでしょう。お見事としか言いようがない。

綾辻さんは、今作を皮切りに「館シリーズ」を何冊も出されています。実は私、読んでしまうのが勿体ないが故に、いまだ手を付けずにとってあります。いつ読もうか考えるだけでニヤけてしまいます。うふふ。

「GOTH 夜の章」 乙一

著者
乙一
出版日
2005-06-25
記念すべき、私が初めて読んだ叙述トリック本! パンパカパーン!! 著者の乙一さんは、私の大好きな作家さんの一人です。乙一さんのトリックは、他の作家さんとは一味違った趣があり、読み終わった後に独特な余韻が残ります。他の作品にも叙述トリックが多く見受けられ、どれも読み応え満点です。一度好きになってしまえば、乙一ワールドにハマること間違いなし!!

「GOTH」は、「GOTH 夜の章」「GOTH 僕の章」の2巻で構成されています。高校生の「僕」と森野夜の二人のまわりで起きる、数々の猟奇的な事件が描かれており、各巻に3作ずつ収録されております。2巻とも叙述トリックのオンパレードで、大好きな人にはたまらない作品です。「GOTH」の本編は2巻構成ですが、少し前に番外篇が発売されました。今作を好きになった方は、ぜひそちらも読んでみてください。

注意点としては、乙一さんの作品はグロテスクな描写が多いので「そういうの苦手かもぉ!!」という方は心してお読みください。

ちなみに、私の好きな収録作は「犬 Dog」です。……ん? あれ? そういえば、私のバンド名は「Thinking Dogs」。あらやだ、「犬」つながりだなんて、これも何かの縁ですかね。キラッ。

「この闇と光」 服部まゆみ

著者
服部 まゆみ
出版日
2014-11-21
直木賞候補にも選ばれた、知る人ぞ知る名作。ぜひとも読んで頂きたい一冊です。ゴシックミステリーの傑作と呼ばれおり、美しく独創的な世界観は圧巻の一言。容赦なく引き込まれます。語りたいことは山ほどあるのですが、どれもネタバレに直結してしまうため書けません。一つだけ言えるのは、後半の衝撃度は群を抜いています。うぅ、何も言えないのがもどかしい。

この作品の魅力は、叙述トリックだけではありません。耽美な世界観や、リドル・ストーリーの要素など、読み応え抜群です。感性が刺激されます。読み終わった後も、余韻に浸ってしまうこと間違いなしです。

一読すれば、この作品の素晴らしさを分かって頂けると思います。自信をもっておすすめできる一冊です。

「葉桜の季節に君を想うということ」 歌野晶午

著者
歌野 晶午
出版日
様々な賞を獲得した有名な作品。であると同時に、賛否両論ある作品としても有名です。私は、この作品が好きです。しかし、そうでない方の意見に共感する部分もあります。ではなぜ今回紹介したかというと、皆さんの意見を聞かせて頂きたいからです。

この作品の叙述トリックは、非常に秀逸です。ここまで作りこまれたトリックは他に類を見ません。自分も完全に騙されました。なんとなくの予想は出来ても、すべてを見破ることは到底無理でした。

ただ、仕掛けが分かった上で読み返してみても、どうも腑に落ちない点があります。詳しくは書けませんが、多少無理がある設定と言われる所以もわかる気がします。そこで、皆さんの目で確かめて頂き、どう感じたか教えてほしいのです。

少し長めの作品ですが、テンポの良い文章構成で、すらすら読み進めることができます。叙述トリックを語る上で、よく話題になる作品でもありますので、読んでおいて損はない作品です。

「弁護側の証人」 小泉喜美子

著者
小泉 喜美子
出版日
2009-04-17
個人的にお気に入りの一冊。初版の発売が50年以上も前という、かなり古い作品です。現代の感覚とは少しズレた描写も出てきますが、意外にも読みやすい内容です。短めで手に取りやすい作品なので、長編が苦手な方にもおすすめです。

この作品の見所は、ズバリ人間模様です。登場人物の個性が立っており、非常に見応えがあります。
今作で用いられている叙述トリックは極めてシンプルです。が、騙されるのです。小説を読む際、頭の中に物語の「画」をイメージして読む人が多いと思います。例えば、主人公を好きな俳優さんに置き換えてみたり、登場する場所を自分の知っている場所に置き換えてみたり。そうやって読者それぞれの多様な舞台が形成され、その土台の上で物語が進行していきます。この作品は、その点を匠みに利用しています。もしかすると、勘のいい方であれば仕掛けに気づいてしまうかもしれません。あまり深く考えず、気軽に読んで頂きたいです。

ちなみに私は、完全に騙されました。あはは。

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    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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