エロティックSF漫画『終末のハーレム』|原作と無修正版アニメの魅力を解説

更新:2024.7.1

『終末のハーレム』はWebコミック配信サイト「少年ジャンプ+」で連載されているSFハーレム漫画です。成年漫画並みの攻めた性的描写と、複数の視点から徐々に進行するサスペンス展開が読者の支持を集めています。既刊は15巻で、絶大な人気からスピンオフが制作されたほど。 2022年にはテレビアニメ化もされた人気作『終末のハーレム』の原作漫画について、作品の魅力や見所、アニメのおさらいを行っていきたいと思います。

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エロティック&サスペンスSF!漫画『終末のハーレム』の魅力と見所を紹介

『終末のハーレム』は集英社のジャンプ・コミックス+で発売されているLINK・原作、宵野コタロー・作画の少年漫画。2016年5月にWebコミック配信サイト「少年ジャンプ+」で連載がスタートし、現在は第2部『After World』(単行本タイトルは『終末のハーレム』のまま)が連載中です。

本作は男性がウイルスでほぼ死滅し、女性だけの社会になった近未来の地球を舞台として、数少ない男性を巡って陰謀が交錯するSFサスペンスとなっています。

少年漫画の枠を超えた過激な性的描写と、複数の視点から語られる巧みなストーリーが特徴。シリーズ累計発行部数700万部(2022年1月時点)を超える人気作品で、2019年のOVAを経て2022年1月にテレビアニメが放映されました。

この記事ではそんな人気漫画『終末のハーレム』について、作品の魅力とストーリーの見所をご紹介したいと思います。

ちなみに『終末のハーレム』は本編の他、世界観がまったく異なるファンタジー漫画『終末のハーレム ファンタジア』、異世界転生漫画『終末のハーレム ブリタニア リュミエール』という2つのスピンオフ作品があります。本編との関連はありませんが、『終末のハーレム』にどっぷりハマった方はこちらもオススメです。

著者
["宵野 コタロー", "LINK"]
出版日

漫画『終末のハーレム』はディストピア世界のハーレムSF【あらすじ】

細胞硬化症という難病に冒された主人公の水原怜人(みずはられいと)は、将来的に特効薬が開発されることを期待して冷凍睡眠処置を受けます。数年後、治療法の確立で怜人は蘇生しますが、彼が眠っていた間に凶悪なウイルスが蔓延し、地球上の男性はほぼ死に絶えていました。

突然の状況に困惑する怜人。追い打ちをかけるように、変わり果てた世界で怜人をサポートする周防美来(すおうみら)から、さらに驚愕の事実が告げられます。怜人はなぜか、男性だけを殺すMKウイルスの免疫を持っていました。

免疫に着目した国際連盟UWは、女性のみになった地球文明を元通り復興させるため、怜人を含む5人の免疫保持者を利用した「メイティング計画」を発動。怜人は人類存続のため、女性と子作りしなければいけなくなったのです。

著者
宵野 コタロー
出版日
2016-09-02

漫画『終末のハーレム』物語の鍵を握る主要キャラクター

『終末のハーレム』には多くのキャラクターが登場します。中でも重要なポジションにいるのが、主人公の水原怜人とメインヒロインの周防美来、橘絵理沙(たちばなえりさ)の3人です。

怜人は5人しかいない男性「ナンバーズ」の1人で、2番目に目覚めたことから「ナンバー2」とも呼ばれます。細胞硬化症にかかる前は医大生であり、幼馴染みの絵理沙に片想いしていました。ハーレム状態になってからも、絵理沙へ操を立てて、他の女性と関係を持たないようにしています。

彼の絵理沙への一途な想いは、ハーレムを謳歌する他の「ナンバーズ」と非常に対照的。

そんな怜人をサポートするのが、専属担当官の周防美来。絵に描いたようなクールビューティーで、怜人に女性とのメイティング(子作りを意味する作中専門用語)を迫ります。

橘絵理沙は幼少期から怜人との付き合いがある幼馴染み。彼女も怜人と同じく医大生で、怜人が眠っている間はMKウイルス撲滅の研究に没頭していました。

美来と絵理沙の2人は、第1部のストーリーに大きく関わっています。美来はなぜか絵理沙とそっくりで、とある理由で専属担当官を解任されても怜人に協力的です。怜人は目覚めてすぐ絵理沙を探しますが、数年前から消息不明になっていました。

絵理沙はなぜ失踪したのか? 美来やMKウイルス研究とどう関係してくるかといった部分が、作品の魅力や見所に繋がってきます。

漫画『終末のハーレム』の世界観に詰まった魅力

本作の魅力は大きく分けて、お色気たっぷりのハーレム展開と、陰謀が気になるサスペンス要素の2つです。

作中に登場する怜人をはじめとした5人の男性は、若くて健康体という点と免疫保持者という点から、希少価値が極めて高い存在。どんな美女であろうと、社会的地位が高かったとしても、男性と一緒になることは不可能です。

第1部のキャッチコピー「5対50億の超ハーレム」はやや大げさですが、性欲のためか子供を作るためか、あるいはそれ以外の理由によって、5人の男性は過去例がないほど持てはやされます。

当然、公私関係なく言い寄ってくる女性は少なくありません。作画を担当する宵野コタローが成年漫画家なこともあって、一般紙の自主規制を超えるお色気シーンが多数描かれます。性器の描写こそありませんが、それ以外は実質的に成年漫画と大差ないレベルです。

しかし、『終末のハーレム』はただエロいだけのお色気漫画ではありません。もう1つの魅力に挙げたサスペンス要素によって、先々の展開が非常に気になるれっきとしたSFなのです。

男性だけを死滅させるMKウイルス。超ハーレムを成立させるこの設定ですが、実は人為的に作られたウイルスだったことが後々発覚します。誰がなんの目的で非人道的生物兵器を生み出したのか? その謎を追ううちに、男性抹殺を目論む陰謀が明るみになります。

愛欲に騙し合い……さまざまな登場人物の思惑が絡み合って、複雑化する物語もまた本作の面白いところです。

お色気シーンが見逃せない!漫画『終末のハーレム』の見所ポイント

本作の見所はいくつもありますが、やはり外せないのはお色気シーンでしょう。

たとえば1巻の早い段階で、怜人はメイティングを拒否。美来は怜人の意思を変えるべく、温泉へ連れて行きます。そこはマジックミラー越しで中を覗ける特別な温泉でした。入浴中の女性は若く綺麗な人ばかり。さすがの怜人も陥落するかと思いきや……誰彼構わず子作りする状況がおかしいと、強く拒絶します。

絵理沙への想いを貫く怜人とは対照的に、超ハーレム状態をエンジョイするのが最初に目覚めた「ナンバーズ」の火野恭司(ひのきょうじ)です。2巻では怜人の温泉とほぼ同じ状況となった恭司が、3人の女性相手にためらうことなくメイティングする様子が描写されました。

比較すると怜人の正常な貞操観念が際立ちます。ちなみに4巻では、怜人とある程度打ち解けた担当官やボディーガードの女性らが(半ば強引に)温泉に入ることになり、文字通り裸の付き合いが繰り広げられました。

これらの場面はアニメではカットされたり、ボカされたりしていますが、原作漫画ではしっかり描写されています。

お色気以外には、サスペンスを感じさせる名場面も忘れてはいけません。

絵理沙の行方を捜しながら、独自にMKウイルスの研究を始めた怜人。そんな時、彼はふとした拍子に部屋にあったぬいぐるみの中から、絵理沙の映像メッセージ入りのスマートリングを発見します。そのメッセージには重大な事実が含まれていました。

絵理沙からのメッセージが描かれたのは2巻のエピソード。『終末のハーレム』が単なる近未来エロティックハーレムではなく、骨太のSFであることを感じさせる最初のポイントとなります。

『終末のハーレム』は一般誌の限界に近いお色気作品ですが、複数視点で進む物語に注目するとより深く作品を楽しめるはずです。

著者
宵野 コタロー
出版日
2016-12-31

アニメ『終末のハーレム』ではどこまで放送された?

アニメ『終末のハーレム』は2022年1月から全11話が放送されました。本来は2021年10月スタートの予定でしたが、内容を精査するとの理由(おそらく過激すぎる描写の見直し)で1シーズン延期されました。

アニメ化された範囲は、原作の第1巻から第8巻までです。第8巻で終わったのはストーリー的にちょうどキリがよかったからでしょう。おおむね原作の1巻分に相当するエピソードが、2~3話に分割される形で制作されました。

たとえばアニメ第1話は冷凍睡眠から目覚めた怜人が、美来に迫られる辺りまでしか進みませんでしたが、第2話では早くもMKウイルスの真実(第2巻の内容)が明かされます。

ストーリー展開は展開自体はほぼ原作準拠で、MKウイルスの出所を辿る怜人視点を軸に、3人目の「ナンバーズ」土井翔太の高校生活やり直しと水面下で進行する陰謀が描かれました。

ラストはUWと反UWテロ組織の対立と思惑が明らかになる中、怜人が行方不明だった絵理沙と再会する場面で幕を閉じます。

アニメの最終話は原作でいえば、第8巻の54話の途中までに相当する内容でした。少し中途半端に思えますが、54話から55話にかけて次の展開が始まるため、キリよく終わらせるための苦肉の策でしょう。

従ってアニメ第2期が作られるなら、第8巻は54話の途中からとなります。第2期が待ちきれない方は、原作第8巻を購入すれば続きを楽しめますよ。

著者
["宵野 コタロー", "LINK"]
出版日

複数あるアニメ『終末のハーレム』のバージョンは何が違うの?

アニメ『終末のハーレム』にはいくつかのバージョンが存在します。

TOKYO MXおよびBSフジで放送された「通常Ver.」、有料衛星放送や動画配信サービスで配信されている「無修正Ver.」、Blu-ray Disc限定の「超ハーレムVer.」の3つです。

これはアニメ化にあたって性的描写の自主規制が行われたのですが、テレビ放映版とBD版で規制のレベルが違うため、同じアニメ作品で3つのバージョンが作られた結果です。

どのバージョンもストーリーは同じですが、規制レベルと一部シーンの有無が違います。

「通常Ver.」は胸やお尻、下着や一部の過激シーンが黒いノイズ(モザイクよりも強い修正)で隠されていました。

一方「無修正Ver.」には黒いノイズの修正がなく、本来想定されたお色気シーンを見られます。ただし視聴の際に年齢制限がかかっていることがあります。内容的には「通常Ver.」とまったく同じ。

3つめの「超ハーレムVer.」は「無修正Ver.」に加えて、完全新規カットとしてテレビ放映不可能なメイティングシーンが収録されています。過激な原作にもっとも忠実に作られているのが、この「超ハーレムVer.」です。

一応もう1つ「“超ハーレム”ちょい見せVer.」というバージョンもありますが、こちらは「無修正Ver.」に「超ハーレムVer.」の一部新規カットを追加して、AT-Xなどで先行放送されたもの。すでに放送が終了しているため、現在見ることはできません。

「超ハーレムVer.」はいわばアニメ『終末のハーレム』完全版なので、アニメ版を120%堪能するならBlu-ray Discを購入するのがいいでしょう。


連載が始まった当初、『終末のハーレム』はエロティックなハーレム部分が注目されました。しかし連載が進んだ現在、純粋にストーリーの面白さも評価されています。アニメ化の話題で『終末のハーレム』が気になった方は、これを機に原作漫画やアニメ版を楽しんでみていかがでしょうか。

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