国際宇宙ステーションの知られざる生活とは?!

更新:2022.6.5

宇宙事業が発展する昨今、宇宙関連の話題がテレビやネットニュースで上がる時に、度々耳にする「国際宇宙ステーション」という言葉。どんな作りやどんな生活を送っているか気になりませんか?今回は国際宇宙センターの紹介と、宇宙飛行士の生活を知ることのできる本を紹介していきます。

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国際宇宙ステーションとは?

 

国際宇宙ステーションは、日本、米国、ロシア、カナダ、欧州の15カ国が協力して建設した地上から約400km上空にある巨大な有人実験施設です。
大きさは約108.5m×72.8mとほぼサッカー場がおさまるほどの大きさです。その重さは約420トンにもなります。ISSは地球1周約90分で自由落下しながら回り、1日に地球を16周します。

過去20年間に国際宇宙ステーションを訪れた宇宙飛行士は、19カ国240人以上にのぼります。宇宙飛行士たちはこれまで生物学や物理学、化学に対する理解を変える先駆的な科学実験を実施してきました。

国際宇宙ステーションの一部にはJAXAが開発した実験モジュール「きぼう」があり、宇宙飛行士が長期間活動できる、日本では初めての有人施設で、国際宇宙ステーションで最大の大きさを誇ります。

主に「船内実験室」、「船外実験プラットフォーム」というふたつの実験スペース、保管スペースである「船内保管室」、実験や作業に使用する「ロボットアーム」から構成されています。

観測地の地上が暗く、国際宇宙ステーションに太陽の光が当たっている条件で見ることができます。

 

JAXAって何をするところ?

 

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、航空宇宙に関するさまざまな研究や開発をおこなう日本の公的専門機関。人工衛星やロケット、航空技術の開発や宇宙飛行士の管理などの業務を行います。

宇宙研究といえばNASAが思い浮かびますが、NASAはアメリカの組織で、JAXAは日本の組織になります。

またJAXAでは、政府や内外の関係機関と連携しながらスペースデブリに関する様々な研究開発に取り組んでいます。
地球周回軌道に存在する、役目を終えた人工衛星やロケットなどの宇宙に出たゴミを「スペースデブリ」と呼んでいて、宇宙開発が進むことで、スペースデブリは年々増加していて、将来的に宇宙活動の妨げになる恐れがあります。

スペースデブリは、10㎝以上の物体で約2万個、1cm以上は50~70万個、1mm以上は1億個を超えるとされています。

 

日本が国際宇宙ステーション計画に参加した経緯は?

 

1984年にアメリカ合衆国レーガン大統領は、友好国に対し、アメリカが国際協力で宇宙ステーション計画を進めようとしていることを表明したことで始まりました。

 

「我々の次の大きな目標は、アメリカのパイオニア精神を構築し、新しいフロンティアを開拓することだ。私は宇宙空間に恒久的な有人宇宙基地を10年以内に建設することを指示する。」
 

 

この呼びかけに対し日本は、これまで以上に科学技術の発展や新しい技術を生み出すことができる機会にもなることから参加を決めました。また、有人ロケットや有人宇宙船を持たない日本としては、各参加国が様々な役割を分担して協力することにより、効率よく宇宙環境を利用した多大なる成果を得られるものと判断しました。
1998年に宇宙での建設が始まり、2011年7月に完成しました。国際宇宙ステーションの建設は、あらかじめ地上でつくった施設や設備をロケットやスペースシャトルで運び、宇宙で組み立てられました。しかし、ロケットやスペースシャトルで一度に運ぶことができる量には限りがあるので、40回以上に分けて運ばれたそうです。

 

ISSのエネルギーはどこから確保しているの?

 

気になる国際宇宙ステーションのエネルギー源についてですが、生命維持システムや実験装置などを動かすための電力は太陽電池で発電する電力により運用されています。

国際宇宙ステーションには無数の太陽電池パネルを張り付けた板のような平面の構造物が取り付けけられています。この構造物を「太陽電池パドル」と呼びます。ソーラーパネルが、太陽電池を組み合わせて作ったパネル一枚一枚を指すのに対し、太陽電池パドルは「太陽電池を展開させるための仕組み及びその他の付属物」を含めた全体のことを指します。
太陽電池パドルは太陽光に照らされている軌道上の昼間に電力を発生し、各システムへ電力を供給しています。この時の余剰電力が蓄電池に蓄積されます。
1日に16回の昼と夜が繰返されるため、太陽電池とバッテリーの電力を交互に使って運用を行います。

 

ご飯はどうしているの?

 

基本的には1日3食分の宇宙食を持ちこみます。しかし、調理することはできませんので、缶詰やレトルト食品が中心となります。国際宇宙ステーションに補給船が来れば、野菜やフルーツやパンなどの生鮮食品を食べることができます。日本の種子島宇宙センターや欧州宇宙機関(ESA)のギアナ宇宙基地(南米のフランス領ギアナ)からも、補給品などの輸送のための打上げが行われています。

実験や研究をおこなうための仕事場「実験モジュール」や、最大7人の宇宙飛行士が暮らせる「居住モジュール」、電力を作り出す「太陽電池パドル」、船外での作業に活躍する「ロボットアーム」などがあります。

 

国際宇宙ステーションでは休みはあるの?

 

作業時間は午前と午後合わせて基本的に1日6.5時間です。残業することもあるようですが、基本的には宇宙でも週休二日制です。
無重力の中では筋肉が衰える、あるいは骨がもろくなるといった悪影響を及すため、業務の他に平日休日関係なく2時間半の運動トレーニングが行われます。
きつそうですが、閉鎖的な宇宙空間ではこのトレーニングがストレス発散になる宇宙飛行士が多いようです。

休日はDVD で映画を見たり、インターネットや本を読んだり、思い思いに余暇を楽しむこともできているようです。そこまで地上と変わらず、家族と電話したり、コミュニケーションの時間に充てることが多いそうです。

 

国際宇宙ステーションの今後は?

 

国際宇宙ステーションの建設開始からまもなく四半世紀を迎え、老朽化が進んでいます。
これまで参加国は2024年までの運用延長を発表していました。しかし、近年の宇宙事業の活発化により、アメリカのバイデン政権は2021年12月31日、2030年まで運用する計画を発表しました。それを受け米国航空宇宙局(NASA)は2022年2月1日、2030年までのISSの運用と、その後の解体処分、そして民間による新たな宇宙ステーションの計画について明らかにしました。

時間をかけて処分する計画となっていて、まず2020年代の後半から、宇宙ステーションの軌道を下げることから始まります。
軌道離脱作業の最初の数か月間は、宇宙ステーションに宇宙飛行士が滞在した状態で行われます。その後、2030年末には宇宙飛行士は完全に退去し、最終的には地上からのリモートで作業が行われるということです。
そして2031年のはじめに、南太平洋上の海域「ポイント・ネモ」(宇宙機の墓場と呼ばれている)に向けて大気圏に再突入させます。大気圏によって機体の大半は燃え尽き、燃え残った破片も海に落下させるということです。

この海域では世界各国が300機近い衛星やロケットをこの海域に落下させています。

いずれにしろ2030年代のビッグニュースになることは間違いなさそうですね。

 

番外編:宇宙服の値段は?

 

 

宇宙服は宇宙飛行士が船内や船外でミッションに従事できるよう設計されており、未知の空間でも生きていけるように生命維持装置が搭載されています。

スペースシャトル用に米国が開発した船外活動用宇宙服1着の値段は、約10億5000万円です。宇宙服自体が1億円で生命維持装置が9億5000万円かかるそうです。

 

国際宇宙ステーションのおすすめ本「野口聡一の全仕事術」

 

著者
野口 聡一
出版日

 

日本のレジェンド宇宙飛行士ともいえる野口聡一の一冊。
宇宙での生活を究極のテレワークと位置づけ、国際宇宙ステーション内での生活やコミュニケーションの取り方など宇宙飛行士目線の処世術がいくつも載せられている。この本を通じて、初めて知る宇宙の知識がたくさんありました。宇宙好きの方もそうでない方も、宇宙への好奇心を高めてくれる内容になっています!


誰でも宇宙の神秘がすぐそこに感じられるような時代がきています。
魅力的な宇宙の本を読んで、宇宙旅行への夢を広げてみてはいかがでしょうか。
 

 

 

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