一体何がどうしてこうなったのか。何か原因があったのではないか。あの時読んだ本、聴いた音楽、観た映画……。というわけで今回は、思い描いていた生き方を捻じ曲げてしまった気がするステキな4冊を紹介しようと思う。品行方正に生きたい方はくれぐれも真似せぬよう。
稲中に出会ったのは遡ること20余年。自慢じゃないが平成生まれで稲中をリアルタイムで読んでいた人間は私の他には極めて少ないはずだ。同じマンションに住む幼馴染の友人には歳の離れた兄がいて、その兄の部屋に忍び込んだ時に無造作に転がっている稲中を拾って読んだのが始まり、そして運の尽き。
- 著者
- 古谷 実
- 出版日
- 2011-04-12
バンドをやりたいと思っていたものの、まだ自分で曲を書いたこともなかった中学2年生くらいの頃に読んだ地獄変。鬼気迫る本物の地獄を描くためには本物の地獄を見る必要があると考え、自分の最愛の娘が乗った車が燃えるのを恍惚と眺める絵師の話。芸術至上主義の是非は置いておいて、人の心に強く訴えるものを作るうえでの真理がこの物語にはあると妙に腑に落ちたことを覚えている。
- 著者
- 芥川 龍之介
- 出版日
- 1991-03-20
日本のロック史の宝、フジファブリックの志村さんによる、メジャーデビューから彼の死の直前までの全日記集。ロックバンドの人間とは思えない些細な日常に共感したり(意外と地味な生活が強いられることも今ならよくわかる)、これだけの努力をしないとあんな唯一無二の曲の数々は作れないんだと反省したり、今の自分と同じ歳の時はあの作品を作ってあの場所でライブをしていたのかと焦ったり、私のバンド人生に常に寄り添ってくれている1冊。
- 著者
- 志村 正彦
- 出版日
タイトルの通り、どうやら私たちはいずれ死ぬのである。どうせいつかはみんな死ぬし、死んだら富も名声も持っていくことはできないのに、何をみんな不安に思って足並みそろえて真面目に生きようとしてしまうのか。
- 著者
- ["みうらじゅん", "リリー・フランキー"]
- 出版日
- 2011-11-23
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。