「書店オリジナルのフェア」の取材を通してお伝えしている本屋遊泳。今回は梅田蔦屋書店さんの「河出真美賞」について紹介します。 「河出真美賞」について文学コンシェルジュ 河出真美さんにお話しを伺いました。

「次に読む一冊が見つからない」「物語に没頭する時間がほしい」──そんな読書欲を抱えている人に、ぜひ知ってほしいフェアが梅田 蔦屋書店で開催されています。
梅田 蔦屋書店では、「河出真美賞」というフェアを実施しています。本フェアは、「新作・旧作を問わず、心から読んでほしい本であること」「一人でも多くの人に読んでほしい本であること」を選考基準に、文学コンシェルジュ・河出真美さんが年2回選書を行う取り組みです。
フェアが生まれたきっかけは、2025年7月16日に発表された第173回芥川賞・直木賞で、両賞ともに「該当作なし」となったことでした。
受賞作を展開できなくなった状況のなかで、「それでも本を届けたい」という思いから、新たな書籍販売の取り組みとして「河出真美賞」が創設されました。
2026年1月14日に発表された第2回河出真美賞では、受賞作として『狼少年ABC』が選出されています。
店頭では同作品に加え、著者・梓崎優さんの著作『叫びと祈り』『リバーサイド・チルドレン』もあわせて展開中です。
フェア期間は、2026年1月14日から2月14日まで(延長の可能性あり)。
河出真美賞のフェアは、「新しい本と出会い、心ゆくまで物語に浸りたい」という読書欲を、まっすぐに受け止めてくれる場所です。
「売れているから読む」のではなく、「誰かが心から薦めているから読んでみる」──そんな読書の原点に立ち返れることが、このフェアの大きな魅力となっています。
フェア台の中心には、受賞作『狼少年ABC』が棚いっぱいに並び、「まずは、この本と出会ってほしい」という思いが伝わる、思わず手に取りたくなるような静かな迫力があります。
さらに、『叫びと祈り』『リバーサイド・チルドレン』もあわせて展開されており、一冊との出会いが、作家の世界観をたどる読書体験へと自然につながっていきます。
河出真美さんからは、書籍の魅力について次のようなコメントも寄せられています。
「『狼少年ABC』は四つの中編が収録された本ですが、どの話も本当に素晴らしい、心に残り続ける物語ばかりです。著者の梓崎優さんは他の本『叫びと祈り』『リバーサイド・チルドレン』もとても素晴らしいので、ぜひあわせて手に取っていただきたいと思います。」
また河出真美賞では、第1回に引き続き、受賞作が10冊売れるごとにカワウソのぬいぐるみが1体ずつ増えていく演出も継続中。
カワウソがどれくらい増えているのかは、ぜひ実際に足を運んで確かめてみてください。
フェアを後にするころには、「次に読みたい一冊が、もう決まっている」──そんな前向きな読書の余韻が、きっと残るはずです。
読みたい本が見つからないと感じている人にこそ、訪れてほしいフェアです。
これからも素晴らしい本を紹介していけるようにがんばります。
カワウソが本の応援団を務める日本で唯一の文学賞、河出真美賞をどうぞよろしくお願いいたします。
文学コンシェルジュ 河出真美
梅田 蔦屋書店は、「目当ての本を最短で見つける店」ではなく、「思いがけない一冊と出会う」喜びを感じられる書店です。
1,000坪を超える広大な売り場には、個性豊かなコンシェルジュが棚をつくり、本の並びも一般的な書店とは異なっています。
本が探しにくいと感じることもありますが、個性の強い棚を眺めながら店内を巡っていると、あっという間に時間を忘れてしまうでしょう。
目的の本を探しながら、偶然の一冊と出会えるのも、この売り場ならではの魅力です。
また、本だけでなく文具や雑貨、個性豊かなショップが並び、ライフスタイル全体を豊かにする提案も行っています。
知的好奇心を刺激し、創造性を高めるこの空間は、新しい発想や、これからの時間の使い方を考えるきっかけにもなるでしょう。
本との偶然の出会いや新しい発見を楽しみに、梅田 蔦屋書店へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
▼梅田 蔦屋書店
〒530-8558
大阪府大阪市北区梅田3-1-3 ルクアイーレ9F
最新情報は公式サイト、Facebook、X、Instarramなどからご確認いただけます。
狼少年ABC
2025/10/31
『狼少年ABC』は、カナダの森や世界各地を舞台に、若者たちの特別な瞬間と謎めいた出来事を描いた短編集です。大学生の友情や日常の謎解き、青春の揺れ動く感情がミステリ仕立てで紡がれ、瑞々しい余韻を残す物語が四編収録されています。
叫びと祈り
2013/11/29
世界各地を舞台に、青年ジャーナリストが遭遇する奇妙な出来事と謎を描く連作短編集です。サハラ砂漠やスペイン、ロシア、アマゾンなどで不可解な事件が次々と起こり、異文化の価値観や人間の本質に迫るミステリが展開されます。
リバーサイド・チルドレン
2021/8/31
カンボジアの川辺でストリートチルドレンとして生きる日本人少年の視点で描く長編ミステリです。過酷な環境でも育まれる仲間との絆や、動機不明の連続殺人という謎を通して、人間の信頼と苦悩を深く問いかけます。第16回大藪春彦賞受賞作です。
取材にご協力いただいた、梅田 蔦屋書店 文学コンシェルジュの河出真美さん、ありがとうございました!
ホンシェルジュでは、フェアを紹介させていただける全国の書店様を募集しております。ご興味をお持ちいただけた書店様は、問い合わせからぜひご相談ください。
次回もお楽しみに!
特集
本屋を訪れる楽しみの1つが、その本屋さんオリジナルのフェア。ホンシェルジュでは「書店オリジナルのフェア」を「ブックリウム(本で満たされた空間)」と命名し、取材を通してその魅力をお伝えしていきます。
本屋遊泳~ブックリウムに会いに行こう~
ホンシェルジュでは書店オリジナルのフェアを「ブックリウム(本で満たされた空間)」と命名。 本屋さんへの取材を通してフェアのテーマや選書を紹介、アーカイブ化する特集です。 ぜひお気に入りの本屋さんを見つけてください。