数年前、「龍」を探す事が密かなマイブームになっていた。
読書とか、サブスクで配信ドラマとかを観るのも良いんだけど、その頃はもっぱら「龍」。
例えば近所のコンビニへの出がけとかでも、外に出れば空を見渡して、空に「龍」が浮かんでないかの確認を欠かさなかった。
そういやXで、『阿蘇山に行けば結構フツーに「龍」飛んでるよ』とのポストを見かけては行ってみたりもしたけれど、俺の時は「龍」見れなかった。
二年くらい前か。
あの頃ちょうど、「龍」が自分の目の前に降りてきてくれるぐらいじゃないと、人生の帳尻が合わなくなってきていた。たぶん。
それから、でも。
もう最近では全く「龍」を意識しない日々の中で生活をしている。というか「龍」よりFPSとかのが全然面白くなって来てたりして、「龍」の事なんて全く思い出さない暮らしの中に埋没していたら昨日、タクシーの車窓から、「龍」を見た。
最初、遠くて小さくて、「しらす」みたいだな、と思った。
新宿の高いビルとビルの間の空を、もっと奥の空へと向かって優雅に泳いでいくのが見えた。
多分、「龍」がどこかにある自分の住処へ帰って行く後ろ姿だったんだと思う。
そんな気がした。
誰かの元に、何かを報せに降りてきた帰りだったのだろうか。きっと。
その辺の事情を、俺には知る由が無い。
※この岡山天音はフィクションです。(笑)
【#28】※この岡山天音はフィクションです。/ヘラがりを奏でる。
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【#27】※この岡山天音はフィクションです。/人の善意につけ込むカス
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【#26】※この岡山天音はフィクションです。/失踪する叔父
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※この岡山天音はフィクションです。
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