イギリスの大学について、あなたが知らない20のこと

更新:2021.12.1

幽霊や怪物の目撃情報、猛ダッシュしたり日の出に海水浴したりといった変わった伝統まで、イギリスの大学に関する面白い情報をご紹介します。

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イギリスの大学は面白い!

秋になると、何千という新入生がイギリス中の大学に入学します。今回は、みなさんがこれまで知らなかったような、イギリスの大学の20の面白い情報を特集します。

ペットの犬を禁止された後、バイロンがケンブリッジ大学でクマを飼っていたなんて、ご存知でしたか。チョコレートを燃料にして、人参で動かすレーシングカーについて、聞いたことはおありでしょうか。レッド・ツェッペリンやレディオヘッド、コールドプレイが最初のパフォーマンスをした場所をご存知ですか。

1:ヨーク大学にはアヒルがいっぱい!

ヨーク大学は、アヒルの数が多いことで有名です。「アヒル密度」比較一覧表という変わった表があり、これによると、ヨーク大学キャンパス内には1エーカー(約 4047 平方メートル)につき14羽のアヒルが住んでおり、これはイギリスの大学の中で一番多いのです。
   
赤と黄色の頭をした特に凶暴なアヒルが1羽いて、学生たちから「ビール・モンスター」と呼ばれています。アヒルを殺した学生は退学処分になります。ある学生がキャンパス内のアヒルを1羽捕まえて食べ、殺されたアヒルの足がゴミ箱に捨てられているのを清掃員が見つけて発覚した、という恐ろしい話もありました。ヨーク市は「今日のアヒル」というブログを作り、日々キャンパス周辺で撮ったアヒルの写真を掲載しています。

2:呪われている大学がある!?

幽霊祓いを呼んだ方がいいかもしれません。というのも、幾つかの大学は、呪われているという噂があるからです。

ダラム大学では、事故死したラベンダー・レディが城の裏階段を歩いていると言われています。また、同大学の学生劇場には、移動起重機から落ちて死んだ電気技師の幽霊が住み着いていると言われています。昔は公演初日の夜、俳優たちが幸運を祈って、後ろの列の座席の下にウイスキーをお供えするという伝統がありました。

オックスフォード大学のニュー・カレッジには「キーキー塚」というものがあります。拍手をするとキーキー音を立てるのでこう呼ばれているのです。この塚は「スーティー・ショー」(イギリスの子ども向け人形劇番組)のスウィープ(同番組の人形のうちの1体)の墓であるとされ、スウィープは生き埋めにされたので助けを求めて鳴いているのだと言われています。

リヴァプール大学の学生会館は精神病院の跡地に建てられました。学生たちは、病院の患者だった人々の幽霊がさまよい歩いているのを見た、と主張しています。

3:第二次大戦中に空襲の被害を受けなかった理由

第二次世界大戦中にロンドン大学本部が一度も空襲の被害を受けなかったのは、アドルフ・ヒトラーがここを自分の司令部にしようと考えていたからだと噂されています。この建物はジョージ・オーウェルの『1984年』の「真理省」にインスピレーションを与えたと考える人も多くいます。
   
他にナチスがイギリスを空襲した際に砲撃を免れた場所としては、オックスフォード大学が挙げられます。これはヒトラーがオックスフォードに自分の首都を造ろうと考えていたからです。

4:チョコレートが燃料で時速200キロのレーシングカーを開発!?

ウォーリック大学のWMGの研究者たちは、チョコレートを燃料にし、人参で動かし、車体はジャガイモでできたフォーミュラ3のレーシングカーを開発しました。信じられないかもしれませんが、この車は時速約200キロでコーナーを曲がることができます。

5:犬はNG!クマはOK!?

ケンブリッジ大学は、19世紀ロマン派の詩人であるバイロン卿がペットの犬を飼うことを許可しませんでした。問題児バイロンは、犬の代わりに調教されたクマを飼いました。大学規則にはクマに関する規定はないので、大学当局は文句を言えなかったのです。

6:塔に登ると縁起が悪い?

ダラム大学では、卒業前に大聖堂の塔のてっぺんに登るのは縁起が悪いとされています。登るなら自己責任です。というのも、屋根までのぼると成績で1位になることができないとされているからです。バーミンガム大学にも似たような伝説があり、最終試験に失敗しそうな学生は、鐘が鳴っている時にチェンバレン記念時計塔の下に立つといいのだそうです。

7:ランカスター大学にまつわる風変わりな話

ランカスター大学のペンドル・カレッジは、中世の民話に出てくる魔女たちのたまり場から名前を取りました。カレッジのシンボルマークは黄色い月を背にした魔女のシルエットという珍しいものです。もう1つの風変わりな話としては、ランカスター大学のあるキャンパスがある丘には、マジックマッシュルームが大量に生えるというものがあります。

8:ダラム大学出身の夫婦は約1万組!

ダラム大学はイギリスで最も学生間の結婚が多い大学であると言われています。粗く見積もっても、72%の女子学生が同大学の卒業生と結婚しているのです。約1万組のダラム出身の夫婦がいるという計算になり、その3分の1は卒業後にお付き合いを始めています。

9:ボドリアン図書館では火気厳禁!

オックスフォード大学では、入学に際して全ての学生が、国際的に有名なボドリア図書館の中で火をつけないことを誓わねばなりません。誓いは以下のようなものです。

「私は、ボドリアン図書館に属するもしくは図書館の管理下にあるいかなる図書、文書、その他のものに対して、持ち去ったり、書き込みをしたり、汚損したりしないことをここにお約束いたします。また、館内に火気を持ち込んだり、火をつけたりせず、また館内では喫煙しないことを誓います。図書館の全ての規則に従うことをお約束いたします。」

10:パトリック・ハミルトンのイニシャルを踏むと、縁起が悪い!?

セント・アンドルーズ大学の学生は「聖サルバトールの中庭」の丸石に記されたパトリック・ハミルトンのイニシャルを踏むと、縁起が悪く、試験で落第すると言われています。

ハミルトンはかつてのこの大学の学生で、1528年に大学の外で火刑に処せられて死んだプロテスタント殉教者です。誤ってイニシャルを踏んでしまった場合、呪いを解く唯一の方法は、休み時間に裸になって後ろ歩きで中庭を3周することですが、幸運にも、代わりとなる清めの方法があります。これは「メイ・ディップ」と呼ばれており、この日学生たちはビーチに集まり、日の出とともに北海に飛び込みます。夏に試験が終わってしまえば、学生たちはお祝いのためにハミルトンのイニシャルの上を飛び跳ねます。

11:オックスフォード大学の壁は落書き可!?

オックスフォード大学では、トーピッドやサマー・エイト(共にボートレース大会の名前)などのイベントで他大学に快勝した祝いなどに限って、大学の壁に落書きすることが認められています。時には落書きのために足場が必要になるとのこと。

最初にオックスフォードが勝ったボートレースは1829年6月10日、ヘンリー=オン=テムズにおいてでした。俳優のヒュー・ローリーも1980年に出場しましたが、彼のチーム「ケンブリッジ」は、その年は負けてしまいました。

12:イギリスの女子学生の進学

ロンドン大学は1878年に女子学生が男子学生と同じように入学することを認めた最初の大学です。1896年にはウェールズ大学から女性初の卒業生が誕生しました。イギリスで最上級の成績で卒業した人のうち、最年少はルース・ロレンスで、彼女は学校に行ったことが1度もなかったにもかかわらず、オックスフォードを卒業した時にはまだわずか13歳でした。

13:1832年に亡くなったジェレミー・ベンサムはいまだに理事会に出席している!?

法律改革者のジェレミー・ベンサムはロンドン大学に全財産を残して、1832年に亡くなりました。その代りに、ベンサムの遺体は彼の要望通り、彼の1番上等の服を着て椅子に座り、毎年理事会に出席できるように保存されています。

180年以上前に亡くなっているにもかかわらず、ベンサムの姿はロンドン大学の会議に現れるという話があり、記録には「出席、投票はせず」と書かれています。他の時には、彼は通路に置かれた棚の中に住んでいます。

14:世界的なバンドたちも初期は大学でライブをしていた

レッド・ツェッペリンは、1968年10月25日金曜日に、最初の生演奏をバタシーにあるサリー大学の大ホールで行いました。レディオヘッドは初期のショーをサセックス大学で行ったことがありましたが、学生たちのヤジにより、退場させられてしまいました。コールドプレイの最初の演奏の1つは、学生支援団体「ナイトライン」の資金集めのための行事で、ロンドン大学で行われました。パンクロックのセックス・ピストルズは、セント・マーティン大学(現在のロンドン芸術大学の一部)でデビューしました。

15:イギリスで最も古い学生新聞はスティーヴンスンが始めた

エディンバラ大学はイギリスで1番古い学生新聞が生まれた大学です。「ザ・ステューデント」紙は、『宝島』や『ジキル博士とハイド氏』で知られるロバート・ルイス・スティーヴンスンによって始められました。

16:コベントリー大学のキャンパスには墓石がいっぱいの芝生が

コベントリー大学のキャンパスには、主な区画の横に墓石でいっぱいの芝生があります。現在大学があるところには昔教会が建っていました。墓地は神聖な場所なので、撤去することができないのです。お化けが出そうですね!

17:学長が学生に飲み物をおごる伝統

アバディーン大学では、新しい学長が就任する時には、伝統的に学生マスコットの「雄牛のアンガス」に担がれて本通りを通ってバーまで行き、支援者の学生たちに飲み物をごちそうすることになっています。

18:時計を持っていないのに時間を知っているゴードン・ロバーツ氏

ボーンマス大学の「放浪者ゴードン」について聞いたことがありますか?豊かなヒゲとマンチェスター・ユナイテッドのスカーフがトレードマークのゴードン・ロバーツ氏は、時計を持っていないのにいつでも時間を知っていることで有名です。

80代のロバーツ氏は実は放浪者ではなく、ボーンマスのチャーミンスターに住んでいます。2011年6月には、オリンピックの聖火リレー走者にロバーツ氏を選ぼうというオンラインのキャンペーンがありました。ゴードンは『ボーンマス・エコー』誌に対し、「頼まれれば走るかもしれないけど、その日何をしているかによるね」と話していました。結局、ゴードンは聖火リレー走者にはなりませんでした。

19:極秘クラブ

ダラム大学には、極秘かつ招待された人しか入れないクラブがいくつかあります。「31日の会」も、こうしたクラブの1つです。このクラブでは、31日で終わる月(年に7月あります)の31日に時計が12時の鐘を打ち終わる前に、パレス・グリーンの周りを全裸のまま全速力で走ります。警察にこのゲームが発見されてしまったので、現在は、たまに、そしてランダムに走るにとどめられています。

オックスフォード大学のブリングトン・クラブは、おそらく最も有名なエリートのクラブで、80年代の全盛期には騒々しいディナーパーティーで知られていました。お金持ちの会員たちが酔っ払って大混乱を引き起こし、何か被害があった場合には後からお金を支払っていました。

20:卒論ダッシュ!

サセックス大学では、提出期限を前にして卒業論文を提出しようと走る4年生に、何百人もの人が声援を送ります。毎年「卒論ダッシュ」の日には、図書館棟とファルマー・ハウスの間の道に職員や学生が集まります。今は提出点がないことや試験期間中であることなどから、今年はこの伝統に代わって締切日にバーでパーティーが催されました。


Photo:(C)WENN / Zeta Image
Text:(C)The Independent / Zeta Image

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