1999年ノストラダムスの大予言と2000年問題。地球滅亡もコンピュータ爆発も起きず……「なんだよ、なんにも起きねーじゃん!」。拍子抜けする格好で始まったボクらの2000年代。その時代を生きた多くの人が読んだ本。私の人生をも劇的に変えてくれた2000年代のエポックメイキングな本をご紹介します。
退屈な授業を受けなくちゃいけない毎日。漠然とした将来への不安。大人への反骨心。2000年代、悶々とした学生生活を送っていました。
2004年。世間では芥川賞を最年少で受賞した綿矢りささん「蹴りたい背中」が大きな話題を呼びました。当時大学生だった私はこれに大変な衝撃を受けました。なにせ、新聞の一面を飾る彼女は同じ年齢であったのですから。同じ人生の時間の長さを生きてきた人間が世に出た、その事実。うだつのあがらない己の大学生生活にすごく焦りを感じました。「本当にもうヤバイ、自分も何かやらなきゃ」と私は一念発起。プロレスラーになるべく大学を休学してメキシコに渡ったのです。
約10年ぶりに読み返してみました。
- 著者
- 綿矢 りさ
- 出版日
- 2007-04-05
33年生きてきて、今だに克服できない苦手なことがあります。それは友達を作ることです。中学1年、高校1年、大学1年。私の進学1年目はきまって友達ができず、授業中以外の時間が辛くて仕方がありませんでした。視線をどこに置くか、この小説の主人公「初実」と同じようなことを毎日考えてました。それでも私には『週刊プロレス』と『週刊ゴング』という大親友、つまり、プロレス雑誌があったので助かっていましたが(笑)。
教室の中での視線のやり場を考えてみても“ブラジャーの透け具合”という表現は実に生々しく、青春っぽい。モテない童貞男子軍団からしても100パーセントの支持をガッチリ得られることでしょう。だって、席替えで男子ができるだけ最後列を希望するのは、居眠りが先生に見つからないからっていう理由もあるけど「ブラジャーの透け具合」を確認するためでもあるからなのですから……やべ、世の中のヒミツを喋っちゃった(笑)。懐かしいな。
「人にして欲しいことばっかりなんだ。人にやってあげたいことなんか、何一つ浮かばないのに」。フワフワした“学生”という生き物をこんな風に俯瞰で表現できるってスンゴイ
- 著者
- リリー・フランキー
- 出版日
- 2010-06-29
涙が溢れ出てきて、止まらない。小説を読んで大号泣!という、生まれて初めての経験をした一冊です。10年経って読み返してみたら、今度は鼻水がダラダラ垂れて止まらなくなるほど、遠征中の選手バスの中でひとり、泣きました。歳を重ねていけばいくほど、キマスネこの本は。
私自身、母子家庭で育っていますので感情移入しまくりで、とても他人事には思えません。「天然」ともいいますが、ちょっと抜けてる行動を取りますよね、オカン世代って。“よくわからない動物のプリントがしてあるセーターをみつけたり”という一節に、今年の正月、実家に帰ったらさりげなくリビングに謎の「お地蔵さんの置物」があったことをすぐに連想してしまいました。母 ユキコ曰く「Amazonって、何でも売ってるのよ♡」だそうです……(苦笑)。
しかし、改めてこの本読んでみると、冗談抜きに母にはいつまでも元気でいて欲しくなります。近いうちに人間ドックの予約でも入れてあげようかなと思っています。
- 著者
- 出版日
私はこの本にプロレスラーとしての命を繋ぎとられました。2005年にアテもなくコネもなくプロレスラーになるべくメキシコに行ったときに持っていった一冊。海外生活って、かなり暇です。やることないです。鬱になりかけます。いや、もうあれは鬱だったかもしれません。
明日の予定もなく、お金もない。プロレスラーになれなれば、自分は何者になれるのだろう?そんなときに信じられるのは自分の根拠のない自信と夢だけ。でも、それは目に見えない、形にならないものだから、人は何かにすがりたくなります。実際、そんな精神状態でした。この本の教え通り、私は毎日寝る前に自分の潜在意識に語りかけていました、真剣に。「プロレスで飯が食えるようになりますように」と。