夏目百合子が選ぶ「とことん淋しくなるための4冊」

夏目百合子が選ぶ「とことん淋しくなるための4冊」

更新:2021.12.6

大学進学を機に一人暮らしを始めてから、もう2年半が過ぎました。恥ずかしながら今でも、ひとりぼっちの部屋でふと、淋しくてたまらなくなる時があります。あなたはふいに淋しさが押し寄せてきたとき、どのように脱しますか?

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大学進学を機に一人暮らしを始めてから、もう2年半が過ぎました。恥ずかしながら今でも、ひとりぼっちの部屋でふと、淋しくてたまらなくなる時があります。あなたはふいに淋しさが押し寄せてきたとき、どのように脱しますか?

私の場合は、本を読むこと。それも、淋しい気持ちに思う存分浸れるような切ない物語を丁寧に読み込むことが、一番のリフレッシュ方法なんです。どうしても人恋しさに心が沈んでしまうときは、いっそ沈めるところまで沈んでしまえば、なんとか立ち直れるもの。今回は、そんな気分のときに読みたい4冊をご紹介します。

美人だって泣きをみる…椿、23歳

著者
山本 文緒
出版日
若くて美しい主人公、椿。順風満帆にみえた人生が、ある出来事を機に次第に崩れ始め、彼女の心の歯車もゆっくりと噛み合わなくなっていきます。タイトルが気になってなんとなく手に取った一冊ですが、ただ切ないだけでなく、押しつけがましくない柔らかさで心を洗ってくれる素敵なお話です。

春のひかりのように、やさしくて、あったかくて、せつない。

著者
森 淳一
出版日
2002年に映画化もされたこの作品。小説を読んでから観ましたが、映画もとても素敵でした。幼いころの怪我が原因で脳に障害を残す、コインランドリーの見張り役の青年テルと、そこにやってきたある問題を抱えている女性水絵の物語。二人以外の余計な要素が何も含まれていないので、シンプルに優しい気持ちに浸れます。ラストがとても好きです。

ある夫婦の日常を繊細に描いた連作短篇集

著者
江國 香織
出版日
2008-03-07
結婚10年目の、ある夫婦の日常を繊細に描いた連作短篇集。幸福と呼んでもいい、満ち足りた生活のはずなのに、ふたりは心のどこかですれ違います。日常を切り取っているだけなのに、こんなに読んでいて切ないというか、胸を締め付けられたお話は初めてでした。

「いやな女」と「愛される女」

著者
唯川 恵
出版日
金沢を舞台にした、女性にまつわるちょっぴり?怖い10篇の短篇集。恋愛小説かと思いきや、読後にはホラーやミステリー小説を読んだ後のようなゾクゾク感を味わえます。私は「いやな女」と「愛される女」というふたつの物語が強く印象に残りました。どちらもラストのセリフに震えます。丁寧な情景描写と、病的な程の強さを持つ女性たちに浸れる作品です。

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    アイドルが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、詩集に写真集に絵本。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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