大学進学を機に一人暮らしを始めてから、もう2年半が過ぎました。恥ずかしながら今でも、ひとりぼっちの部屋でふと、淋しくてたまらなくなる時があります。あなたはふいに淋しさが押し寄せてきたとき、どのように脱しますか?
私の場合は、本を読むこと。それも、淋しい気持ちに思う存分浸れるような切ない物語を丁寧に読み込むことが、一番のリフレッシュ方法なんです。どうしても人恋しさに心が沈んでしまうときは、いっそ沈めるところまで沈んでしまえば、なんとか立ち直れるもの。今回は、そんな気分のときに読みたい4冊をご紹介します。
美人だって泣きをみる…椿、23歳
若くて美しい主人公、椿。順風満帆にみえた人生が、ある出来事を機に次第に崩れ始め、彼女の心の歯車もゆっくりと噛み合わなくなっていきます。タイトルが気になってなんとなく手に取った一冊ですが、ただ切ないだけでなく、押しつけがましくない柔らかさで心を洗ってくれる素敵なお話です。
春のひかりのように、やさしくて、あったかくて、せつない。
2002年に映画化もされたこの作品。小説を読んでから観ましたが、映画もとても素敵でした。幼いころの怪我が原因で脳に障害を残す、コインランドリーの見張り役の青年テルと、そこにやってきたある問題を抱えている女性水絵の物語。二人以外の余計な要素が何も含まれていないので、シンプルに優しい気持ちに浸れます。ラストがとても好きです。