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『百鬼夜行抄』でおなじみ今市子のタイプ別おすすめ漫画5作品!

更新:2017.1.26 作成:2017.1.26

丁寧な描写とストーリー展開が魅力的な今市子。特に代表作『百鬼夜行抄』は妖怪たちのキャラクターや伏線のあるストーリー展開などの完成度が高い名作です。今回はそんな『百鬼夜行抄』を含む、今市子のジャンル別おすすめ漫画を5冊ご紹介いたします!

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多彩な作家・今市子とは?

今市子は、1993年に漫画家として公式にデビューしますが、それまでも、大学時代の漫画研究会での活動を経て、アシスタントを務める傍ら、同人活動も行っていました。コミティア(同人誌即売会)に参加していた、漫画雑誌『ネムキ』の編集者の目に止まったことがきっかけとなり、1995年より、同誌にて代表作となった『百鬼夜行抄』の連載がスタートします。

公式デビューまでは、決して楽な道のりではありませんでしたが、小学校の頃から絵を描き続け、同人活動も継続して行っていたことから、緻密かつ繊細な画力は、圧巻です。また、ホラーやボーイズラブ、エッセイ等、描くジャンルも幅が広く、どのジャンルでも今市子ワールドが確立されていると言えるでしょう。

ペンネームである今市子は、友達と、冗談まじりに決めたもので、「イマイチ」に子を付けたという由来があるそうです。このように、ユーモラスな一面も併せ持つ、今市子の世界を是非一度覗いてみていただきたいと思います。

ペットの飼い主なら誰でも共感!今市子の代表的エッセイ漫画!

今市子の、代表的なエッセイ漫画といえば、第一に本作が挙げられます。1996年より連載が開始され、一時期、出版社の倒産などにより発表の場が変わりつつも、ロングセラー作品として、愛鳥家以外の読者にも人気を博しています。
著者
今 市子
出版日
2005-12-16
元々、画力には定評のある今市子ですが、それを活かし、文鳥との生活をリアルに描いています。自身と文鳥との関係性をクローズアップしているだけではなく、文鳥の生態をも丁寧に、そして正確に描いているところが、ロングセラーの秘訣と言えるでしょう。

福(通称・福ピー)とブンの2羽を飼い始めたことから始まった文鳥様との生活ですが、ブンは突然死んでしまいます。福を1羽にしておくわけにはいけないと、新たにハナ(ハナちん)を飼い始めますが、そこから、文鳥様との怒涛の生活が始まるのです。

今市子の観察眼により、それぞれの文鳥の性格がはっきりと描かれ、彼らのキャラクターや関係性だけでも、漫画として充分に楽しむことができます

新たに生まれた雛の描写があまりにリアル過ぎたり、人間同志であればタブーな状況、例えば不倫や近親相姦などについても、赤裸々に描かれていたりします。その点については、もしかすると賛否両論あるかもしれません。

しかし、可愛らしさや、楽しい出来事といった明るい面だけではなく、文鳥の、ありのままの姿や出来事を描き、そこから生まれる飼い主としての感情は生き物を飼ったことのある人なら誰しも共感できるはず。喜びや苦悩、そして、生き物を飼うことの難しさがダイレクトに伝わってくる作品となっています。

始めは2羽だった文鳥様も、子供が生まれ、さらに子供のお嫁さんが登場したりと、まるで大河ドラマを見ているかのように時が流れます。エッセイ漫画の枠を超えた本作は、これまで文鳥に全く興味が無かった人すらも虜にする作品です。

今市子のほのぼのBLラブコメ漫画!

本作は、男性同士の恋愛模様を描いた、ジャンルとしては、BL(ボーイズラブ)に該当する作品となります。しかし、今市子特有の、繊細で美しい描写によって、例え男性同士であっても、ついつい応援したくなってしまうような、恋愛コメディ漫画に仕上がっています。
著者
今 市子
出版日
2003-07-22
超が付くほどの俺様、でもどこか間の抜けたカレーパン好きの鬼塚と、彼に憧れるクリームパン好きの吉野。実は高校の時から鬼塚に憧れていた吉野ですが、当時はその想いを口にできずに終えてしまいました。

しかし、彼らは入社した会社で偶然鬼塚と再会します。鬼塚に使い走りにされ、振り回されながらも、ついに7年越しの恋が実ったのも束の間、すれ違いや誤解によって、二人の関係になかなか平穏は訪れません。

普段は自信家で俺様な鬼塚も、恋愛に関してはとても不器用で、吉野のためを思ってしたことがことごとく裏目に出てしまったり、元彼の登場で、もともと不安でいっぱいだった吉野がさらに動揺したりと、トラブルが次々と襲いかかります。しかし、ちょっとした台詞や行動によって、男性同士であることを忘れ、二人が微笑ましい関係に見えてしまうのは、今市子の描くBLならでは、と言えるのではないでしょうか。

鬼塚の家に女性が居ると気づいた吉野が、きっと何か事情があるに違いない、と思う反面、つい「……最低」と口にしてしまいます。そんな吉野に、鬼塚がこう言います。

「泣くな!クリームパン買ってきたぞ。ほら、今日の分と明日の分と…」(『B級グルメ倶楽部』から引用)

鬼塚が言い訳も交えてなだめる姿など、純粋に想い合う気持ちがにじみ出るような場面となっています。このようにどこかほっこりとする暖かい場面があるのも本作品の魅力です。

他にも、恋愛漫画の王道ともいえるべきエピソードが数々登場する本作は、BLというジャンルへの入門にも相応しい作品となっています。

今市子が描く泣けるストーリー展開がおすすめ!BLが苦手な方も

この作品は、表題作他を含む4編からなる短編集となります。
どのストーリーも、男性同士の関係性や、それにまつわる心情を描いたものとなるため、ジャンルとしては、先にご紹介した『B級グルメ倶楽部』同様、BL(ボーイズラブ)にあたるとも言えるでしょう。
著者
今 市子
出版日
2006-03-04
しかし、明るく楽しい男性同士の恋愛といった雰囲気ではなく、叶わぬ恋であったり、ハッピーエンドとならない結末を迎える作品も含まれたりしています。幅広い世代の登場人物がいることから、単純に、BLという括りには収まらないものが多く、少し考えさせられるような読み応えのある作品。

『笑わない人魚』や『真夏の城』は、あるきっかけで、主人公達の過去の想いが蘇り、実はずっとその過去に囚われているというストーリー。さらにその相手が近親者であったり、想いを寄せる相手には、実は他に好きな相手がいたり、と一筋縄では行きません。短編であるにもかかわらず、短いストーリーに恋愛における障害がいくつも詰まっていて、非常に濃い内容の作品となっています。

それぞれ、単体でも充分に完成された作品となっていますが、『笑わない人魚』の後日談は、本短編集内の『廻遊魚の孤独』で描かれていたり、『真夏の城』は後に独立してシリーズ化された作品となっていたりします。他の作品との繋がりを考えながら読むという目的でも楽しめます。

また、表題作である『笑わない人魚』は、叶わぬ恋という点で、童話に登場する人魚の運命が重なったり、収録作である『青髭の友人』は、ずばり童話『青ひげ』を連想させるようなストーリー展開であったりと、ファンタスティックなモチーフを上手く取り入れているところも魅力的。短編でありながら、濃密な作品として仕上がっている要因と言えるでしょう。

ちょっと変わった作風が今市子ならでは!おすすめBLコメディ

タイトルからも察することができる通り、こちらも男性同士の関係を描いた、BL(ボーイズラブ)作品となります。しかしそこは、BLと言い切るには惜しい程の、複雑な家族の関係と恋愛模様が交錯する、今市子独自の恋愛コメディに仕上がっています。
著者
今 市子
出版日
2007-08-29
主人公は、15歳の聖(さとし)。二丁目デビューを果たした日に、鉄平(てっぺい)に恋をします。しかし、疎遠となっていた父親の訃報を受け、せっかく鉄平といい雰囲気になれたにも関わらず、その場を立ち去らなければなりません。

父親の葬儀に現れたのは、父親の前妻である人物や、その息子・彰人(あきと)。さらには、亡くなっていたと思われていた、聖の母親・早苗や、早苗の再婚相手の連れ子・鉄平だったのです。

様々な事情により、早苗の家で、聖と鉄平、そして彰人が同居することになりますが、波乱万丈な展開を繰り広げながら、物語は進行していきます。

想い合っているはずの二人が、なかなか平穏な関係に落ち着くことができないじれったさは、恋愛漫画の王道といえるパターンかもしれません。しかし、気が付くと作品に惹き込まれてしまうのは、特殊な状況下でありながらも、メインとなる二人をはじめとした、人間味溢れるキャラクターの宝庫であるからです。

例えば、五股六股は当たり前の、女性関係に節操の無い彰人ですが、実は母親との関係性が原因であることが徐々に明らかにされます。また、聖の母親である早苗も突然の変化に苛立ち、悲しみながらも、母親として、そして働く女性として奮闘する姿丁寧に描かれているのです。

他にも、それまで聖を育ててきた、祖父と曾祖父や、鉄平の元彼など、それぞれが、しっかりと確立されたキャラクターとなっていますので、豊富な登場人物の中から、お気に入りのキャラクターを見つけてみることも、本作の楽しみ方の1つかもしれません。

まさに今市子の代表作!普及の名作をもう一度読もう!

『百鬼夜行抄』(ひゃっきやこうしょう)は、2006年「文化庁メディア芸術祭」の漫画部門で優秀賞を受賞し、舞台化・ドラマ化もされた、今市子の紛れもない代表作です。
著者
今 市子
出版日
2007-10-01
妖怪や妖魔との関わりを描いたホラー作品に分類されますが、今市子の繊細なタッチで、緻密に描き込まれた絵と、綿密に構成されたストーリーによって、恐怖を与えるだけのホラーとなっていません。時には和やかな雰囲気を醸し出しながらも、所々にゾッとするような仕掛けが施された、非の打ち所のない作品に仕上がっています。

主人公の飯島律(いいじまりつ)は、今は亡き、有名な怪奇幻想作家であった祖父の蝸牛(かぎゅう)から受け継いだ霊感によって、妖魔や妖怪、霊が見える上に、それらと意思疎通が図れます。

また、律の父親である孝弘は、律が幼い頃、心筋梗塞で一度は亡くなったものの、息を吹き返したことがあります。しかし、実は、生前の蝸牛から、律のことを守るよう命令された式神・青嵐(あおあらし)が孝弘の体に住み着いているのでした。律が死ぬまで、彼を守る義務のある青嵐と律の、奇妙な関係を軸にストーリーが展開していきます。

この作品でもキャラクターが魅力的。律の従妹・司を始めとした、霊感の度合いや特徴がそれぞれ異なる飯島家の人々。とある事件がきっかけとなり、自ら律を守る式神として使い魔となっている、鳥の姿をした、尾白、尾黒に、人間の姿になりすましているが、実は後頭部にいくつも目玉のある赤間など、人間、妖魔に関わらず、律を取り巻くキャラクター達が重要な役割を担って物語を彩っていきます。

一見すると関連性の無いエピソードも、実は、物語全体にとって重要な伏線を含んでいたり、妖魔を通して人間の欲深さが描かれていたりと、奥が深く、何度も読み返したくなるような作品となっています。