大学生におすすめ!教養のために読むべき15冊の本

更新:2021.12.15

本記事は、『エゴを抑える技術』の著者であるライアン・ホリデイが作成した学生が読むべき本のリストをもとに、邦訳が出ているものを中心に再構成したものになります。

ブックカルテ リンク

1.マルクス・アウレリウス『自省録』

著者
マルクスアウレーリウス
出版日
2007-02-16

わたしにとってこの本は、単に今まで書かれた中で最も偉大な作品というだけでなく、おそらくこの種の本の中で最高のものです。想像してみてください。世界で最も力ある人物の個人的な思考、よりよく、正しく、誘惑に強く、賢い人間になるための自分自身への訓告が書かれているのです。自己統制、個人の倫理、謙遜、自己実現、そして強さについても書かれています。

この本を読んでまったく変わらない人がいるとすれば、それはおそらくアウレリウス自身が言っているように、「光を透過させないものは自分の闇をつくる」からなのです。

こうしたテーマについてもっと知りたければ、アウレリウスはわたしの著作『苦境(ピンチ)を好機(チャンス)にかえる法則』に影響を与えていますのでお読みください。

2.ヴィクトール・フランクル『「生きる意味」を求めて』

著者
ヴィクトール・E. フランクル
出版日


フランクルは意味と目的について最も深く考えた現代の思想家の1人です。

哲学はそれまで「人生の意味とは何か」というあいまいな問いかけをしてきました。フランクルの功績は、それを「人はいつもこの問題にとらわれており、自らの行動によってこれに答えなければならないのだ」ということに論点を変えたことにあります。我々は自分自身を何かに捧げ、愛することを学び、自分の苦しみに意味を見出すことによって目的を見つけるのだ、と彼は述べています。

3.ロバート・グリーン『権力に翻弄されないための48の法則』

著者
["ロバート グリーン", "Robert Greene", "ユースト エルファーズ", "Joost Elffers"]
出版日
2016-08-05


存命の著作家のうちで、ロバート・グリーンほどわたしに影響を与えた人物はいません。わたしが彼に出会ったのは19歳の時でした。彼はわたしを人として、また著作家・思想家として、育ててくれました。

力と戦略についてのグリーンの著作は、何かを成し遂げようとしている人なら誰にとっても重要なものです。

周囲は我々に対して力を持っているし、我々の方でも、自分の目標に達するために十分な影響力を得ようとして、力を求めています。ですから、力はどこから来てどのように作用するのか、また、どうしたら力を得られるのかを理解する必要があるのです。

しかし、単なる力だけでは意味がありません。コントロールと目的がともなわなくてはなりません。グリーンの『マスタリー:仕事と人生を成功に導く不思議な力』も読んでみてください。自分の人生の課題と、どのようにそれに取り組むべきかが分かるはずです。

4.タイラー・コーエン『大格差:機械の知能は仕事と所得をどう変えるか』

著者
タイラー・コーエン
出版日
2014-09-11


ビジネスや経済の点から考えると、この本はわたしが読んだ中でも最も重要なものです。この本の中の1節を額縁に入れて家に飾っているほどです(わたしの自慢の著作にも影響を与えています)。コーエンの著作は常に思考を刺戟するものですが、この本は将来に対する見方を変え、新しい経済の真の良い点と悪い点を説明する助けになります。

5.チャック・パラニューク『ファイト・クラブ』

著者
チャック・パラニューク
出版日
2015-04-08


この本を読んだことがない若者が多いと知って、驚いています。この本は本当に人生を変えるような本です。わたしの世代では、必ず読むものでした。我々の時代を定義し、究極的にはどうすればその意味を見出すことができるのかを明らかにしています。また、革命思想に夢中になりすぎることについて警鐘を鳴らす作品でもあります。

6.プルタルコス『プルタルコス英雄伝』

著者
プルタルコス
出版日


紀元100年頃、プルタルコスはギリシャやローマの有名な人々の伝記を書きました。プルタルコスはこのジャンルの巨匠であると言えます。

シェイクスピアが演劇を書く際にプルタルコスの作品を種本としたのには理由があります。プルタルコスの作品はよく書かれていて面白いだけでなく、人間のよい面も悪い面も全部見せてくれるのです。貪欲、愛、痛み、憎しみ、成功、自己中心的態度、リーダーシップ、馬鹿らしさ――こうしたものが皆書かれているのです。

7.黒柳徹子『窓際のトットちゃん』

著者
黒柳 徹子
出版日
2015-08-12


日本だけでも500万部売れた本で、第二次世界大戦前の彼女の幼少期の物語です。トットちゃんは注意欠陥多動性障害があったようで、元気すぎることによって、周囲から誤解されていました。しかし彼女は、自分を受け入れてくれる校長先生と出会うのです。

彼女はわたしに影響を与えたと同時に、妬ましさも感じさせます。我々が皆、彼女のように運が良ければいいのに……。

8.アルトゥル・ショーペンハウアー『随感録』

著者
A. ショーペンハウアー
出版日


ショーペンハウアーは素晴らしい思想を記した才能ある著作家で、彼の思想は我々が困難にある時の助けとなってくれます。彼の作品は多くの場合「意志」、すなわち我々の内なる衝動と力に関わるものです。「他の時なら消化できないようなもの、苦悩や苛立ち、喪失、悲しみを、時間だけが消化することができるからです」とショーペンハウアーは述べています。

しかし、彼は驚くほど現代的な問題についても「新聞は歴史の秒針です」という風に語っています。――そしてその針は、しばしば折れたり不調をきたしたりするのです。

そしてショーペンハウアーは普遍的な問題についても「希望とは、あるものの可能性に対する願望の混乱です」と語っています。

9.ロバート・ライト『モラル・アニマル』

著者
ロバート ライト
出版日


これはおそらく初心者向けの進化心理学の本の決定版であり、進化心理学に慣れるための1番簡単な本のうちの1冊です。

「よい」感情とされているものの多くがいかに無慈悲であるかに気づき、最初のうちは気が滅入ります。しかし、やがて無知でいるより真実を知る方がよいと感じるようになり、初めて世界をありのままに見るようになるのです。

10.デボラ・ブラム『脳に組み込まれたセックス――なぜ男と女なのか』

著者
デボラ ブラム
出版日


進化生物学の良書で、男性と女性の生物学的・心理学的相違について書かれています。書いた人はジャーナリストなので(科学者の文章を引用しています)、こうした分野が専門でない人でも簡単に読むことができます。進化生物学に慣れたいなら、この本は基礎を網羅しているので手始めにおすすめです。

基本的にこの本では男女がいかに振る舞いや力の違いを通して進化の過程で得をし、その結果2つのまったく異なるものへと発達し、そのことが非常に道理にかなうことだったのだということが論じられています。

11.アルフレッド・ランシング『エンデュアランス――史上最強のリーダー・シャクルトンとその仲間はいかにして生還したか』

著者
アルフレッド・ランシング
出版日
2014-08-09


この本が書かれたのは50年以上前ですが、時を越えて読み継がれる作品です。サー・アーネスト・シャクルトンは、大胆にも南極大陸横断を試みますが、彼の乗組員とボートは氷にはばまれて動けなくなってしまいます。それに続く600日間は悲惨なものでした。悪天候に始まり、飢餓が続きました。

シャクルトンは、小さな救命ボートで650マイル先の陸地を目指すという大胆な試みをします。その後乗組員に救援物資をもたらすために、陸と山脈を越えたのです。救援物資を持って戻ってくると、シャクルトンは乗組員たちをボートに乗せ、まるで何事もなかったかのように故郷へ帰りました。

彼がとんでもない災難のただ中にあっても非常に勇敢だったことが、乗組員たちの日記に基づいて書かれた、この本から分かります。シャクルトンは決してあきらめず、決して絶望することがなかったようです。この本(そして彼の人生)は、彼の家の家訓の生きた証です。”Fortitudine vincimus” (「忍耐によって乗り越えよ」)。

12.ロバート・カーソン『シャドウ・ダイバー:深海に眠るUボートの謎を解き明かした男たち』

著者
ロバート・カーソン
出版日
2008-07-09


この本は芸術作品です。あるダイバー(この人の人生の信条からは大いに学ぶことがあります)とある船長が、ニュージャージー州の海岸で1991年に難破した未知のドイツ軍のUボートを見つけました。

彼らはその後5年間かけて230フィート以上の水中に潜り、難破船を特定したのです。これは大変よく書かれたノンフィクションです。ぜひ読んでください。

13.ウェルギリウス『アエネーイス』

著者
ウェルギリウス
出版日
2013-12-16


数年前に何人かの古典詩人・作家の作品を読もうとしたことがありました。その中で『アエネーイス』は他よりはるかに引用価値があり、読みやすく、記憶に残るものでした。素晴らしい作品である、としか表現できません。

『オデュッセイア』よりもユウェナリウスの『諷刺詩集』よりもよかったです。人を鼓舞し、美しく、面白く、非常に読みやすくて、とても好きになりました。わたしがここしばらくの間に読んだどの本よりも多くメモを取りました。

ご存知ない方のために書いておくと、これはローマ建国についての物語です。トロイの王子アエネーアースがトロイア戦争の後に都を逃れ、20年近く放浪と戦いに明け暮れ、イタリアで自らの運命を遂行しようとするのです。これを読もうという人には、自分のレベルより難しい本を読む時のわたしのコツを実践することをおすすめします(結末を先に読む、序文を読む、ウィキペディアやアマゾンのレビューなどを読む、など)。

14.ヴォルテール『カンディード』

著者
ヴォルテール
出版日
2015-10-08


わたしはこの本を自分の結婚式が始まるのを待つ間に読みました。ほとんど全編にわたって、想像を絶する苦境と拷問、死と不幸について書かれた200年以上前の本ですから、そんな時に読むのは変だと思われるかもしれません。しかし、この本は楽観主義や哲学、政治そして権力を風刺した軽妙な本なのです。ヴォルテールは終わりに、我々にできることは自分の庭の手入れをすることだけだ、と結論づけています。Il faut cultivar nos jardins(「自分の庭を耕すことが必要です」)。

15.シェイクスピア『ハムレット』

著者
ウィリアム シェイクスピア
出版日
1967-09-27


この劇には全体を通して哲学が流れていて、素晴らしい詩行がいっぱいです。「……というのも、善も悪も存在せず、ただそう思うからそうなるのだ」という文をわたしは自分の最新の本で引用しましたし、「争い事に巻き込まれないように注意しなさい。しかし一度巻き込まれてしまったら、敵がお前に敬意を払うようにしなさい」はお気に入りの一文です。


Photo:(C)WENN / Zeta Image
Text:(C)The Independent / Zeta Image

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