ヤマザキマリのおすすめ書籍5選!漫画だけじゃない、才能あふれる作品

更新:2017.1.31

「ヤマザキマリ」——あなたその名前を聞いたことがあるでしょうか?聞いたことがあるあなた。ただの漫画家だと思っていませんか?実はこの人は様々な枠を飛び越えたすごい人なんです!今回はそんなヤマザキマリの魅力に迫ります。

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『テルマエ・ロマエ』でおなじみの漫画家、ヤマザキマリ

ヤマザキマリは1967年東京生まれの漫画家です。母親がヴィオラ奏者として札幌交響楽団に在籍していたことから、幼少期を北海道千歳市で過ごしました。彼女はこの地で雄大な自然と共に活発に育ちます。

14歳の頃、急用で行けなくなってしまった母親の代わりに1ヶ月ドイツとフランスを一人旅します。この時列車の中で偶然出会ったのがイタリア人の陶芸家、マルコじいさん。マルコはヤマザキマリに、イタリアに絵を見に来る様に力説し、ヤマザキは17歳の時にマルコを訪ねて渡伊します。そしてフィレンツェにあるイタリア国立フィレンツェ・アカデミア美術学院へ入学。そこで美術史と油絵を学びました。

学生時代に出会ったイタリア人男性の子供を27歳で出産。そのままシングルマザーに。その後日本に帰国して漫画家となります。

35歳の時に14歳年下のイタリア人男性と結婚。その後夫の仕事の関係で世界中を転々とする生活をし、2008年に描いた『テルマエ・ロマエ』が爆発的な人気となり、「ヤマザキマリ」の名が広がっていきました。

国境なんて越えてゆけ!ヤマザキマリの本と旅『国境のない生き方 私をつくった本と旅』

『国境のない生き方—私を作った本と旅—』はヤマザキマリが人生を共に歩んできた本と旅を綴った作品です。旅の行き先は世界中のあちこち。本は日本の文豪からコロンビアのノーベル賞作家まで。この本には小さな枠にとらわれることなく「地球人」として生きる彼女の魅力がぎゅっと詰まっています。

 

著者
ヤマザキ マリ
出版日
2015-04-01


「自分が暮らしている町でもなく、国でもなく、自分が生きているこの地球、この地球でいきているありとあらゆる生き物、そういうすべてをふくんだ宇宙、そこまで地図を広げていったら、ものの考え方や見え方も変わるんじゃないか」(『
国境のない生き方—私をつくった本と旅—』から引用)

ヤマザキマリの人生の舞台はズバリ「地球」。「ラテン音楽が好きだから、ちょっとキューバへ」。「日本一周なんて簡単。車で行けるし」。「偶然出会ったイタリア人のおじさんを頼ってイタリア留学」。彼女は興味のある方向へ、自分の好きな方向へ、自由に力強く進んで行きます。国境なんて関係ない。正真正銘のボーダーレスなのです。

彼女の読書遍歴もまさにボーダーレス。時代もジャンルも越えて行きます。安部公房の美意識に酔いしれたり、小松左京のSF物語に夢中になったり、ガルシア・マルケスに感銘を受け、暗記するほど夢中になったり。

彼女の持つ視野の広さ。そして地球上の様々なものを素直に受け入れて噛み締めて、自分の肥やしにしていく柔軟さ。ヤマザキマリの「地球人」として生きる逞しさには驚きを隠せません。まるで自分の固定概念をガラガラと崩されるような衝撃。目から鱗が落ちる思いです。

彼女はこの本の最後にこんな言葉を記しています。

「単純に地球があって、太陽があって、この環境の中で生きていける生命体として、私たちは命を授かったのだから、まず『生きてりゃいいんだよ』。これが基本。生きてていいから、生まれてきたんですよ。」(『国境のない生き方—私をつくった本と旅』より引用)

自信に満ち溢れたこの言葉の力強さ。この本を読めば、自分で自分を閉じ込めていた囲いを思い切って壊す勇気が湧いてくるかもしれません。

イメージと違う!?イタリア人との生活記録漫画『イタリア家族 風林火山』

ヤマザキマリとイタリア人の夫ベッピーノ、そしてその家族の日常生活を軽いタッチで描いたのが本作です。

登場人物は著者本人と、ジェントルマンだけど古代ローマオタクの夫・ベッピーノ。一人息子のデルス。息子を溺愛する姑マルゲリータに、発明品の作成に夢中の舅アントニオ。個性豊かなイタリア人家族との生活を描きます。おもしろすぎる彼らの日常生活に、クスクス笑いが込み上げてくること間違いなしです!

 

著者
ヤマザキ マリ
出版日
2010-06-25


特に面白いのがこのエピソード。家族にすすめられて、ヤマザキマリが街で1番のカリスマ美容師の元を訪ねた時のこと。オネエ系のイタリア人カリスマ美容師は、彼女の希望を聞くことなく勝手に髪を切り始めます。髪を切っている間に渡されるのは雑誌ではなくカリスマ美容師の元に届いたファンレター。それでも黙って耐えていたら、なんと髪の毛が凄いことに!モジャモジャの爆発頭になったのに「私って天才!」とご機嫌なカリスマ美容師。底抜けなイタリア人の明るさがよく表れているエピソードです。

他にもヤマザキマリがイタリアで出産したエピソードや、イタリア人家族とアドリア海クロアチア沿岸のヨットクルーズをしたエピソードなど、ハプニング続出、笑いが止まらない読者泣かせのエピソードが盛り沢山です。

個性の強すぎるイタリア人家族に振り回される日々の中で、ヤマザキマリは果たして幸せなのでしょうか?物語の最後はこんな後書きで締めくくられています。

「振り幅の大きな人生を送る激しい私ですが、それに動じず、唯一当たり前に受け入れてくれるのが、この漫画で紹介したイタリア家族なわけです。穏やかじゃない人が穏やかじゃない家族の一員になる。世の中本当にうまくできているなと思います」(『イタリア家族 風林火山』より引用)

あれだけ笑わせておいて、最後にはじーんとさせる。さすがはヤマザキマリ。お見事です。

心がじんわり温まるハートフルな作品『ルミとマヤとその周辺』

ヤマザキマリが自身の幼少期の思い出を元に描いた半自伝的作品です。舞台はおよそ昭和50年代の北海道。7歳のルミと5歳のマヤは音楽家のお母さんと3人で暮らしています。仕事で留守にしがちなお母さんと小さな2人の姉妹。そしてその家族を取り巻く「周辺の人々」をヤマザキマリが優しく、じんわり、ハートフルに描きます。

夢を諦めて就職を余儀なくされている上の階に住む「中村のおねいさん(原文ママ)」や、バイオリンに憧れるも家が貧しくて家族に打ち明けられない「カンバン屋の貴則」。時代の移り変わりや貧しさなど、どうしようもない困難に立ち向かわなければならなかった人々が大勢いた昭和50年代。ルミとマヤだけでなく、そんな時代に生きる周囲の人々の悩みや葛藤を描くことで、ルミとマヤの思い出がさらに深みを増して描かれています。

 

著者
ヤマザキ マリ
出版日
2012-08-10


この作品を読んでいると、ルミとマヤがお母さんだけでなく「周りの人々」に育てられたのがよく分かります。貧さと不自由さが人々の生活の周りを空気のように漂っていた時代。それでもルミとマヤとその周辺の人々は助け合い、励まし合い、時には喧嘩をしたりしながら、逞しく生きていました。

この幼少期の思い出の風景こそ、彼女の「心のふるさと」なのかも知れません。国境を越えて世界中へ飛び出して行けるヤマザキマリの力強さの源は、この温かいふるさとなのではないでしょうか。遠くへ飛び立てるのは、心の中にいつでも帰れる「ふるさと」があるからだと思います。

ヤマザキマリの描くノスタルジックな世界を思う存分お楽しみ下さい。どこか懐かしさ溢れる静かで優しい物語に、涙を禁じ得ないことでしょう。

ヤマザキマリが描く、Apple創始者の姿『スティーブ・ジョブズ』

Appleの創始者であるスティーブ・ジョブズは、恐らく世界で最も有名な経営者であり、波乱万丈な人生を駆け抜けた人でもありました。

ウォルター・アイザックソンによるスティーブ・ジョブズの伝記を原作として、ヤマザキマリが漫画化したのがこの作品。ジョブズの生い立ちや、インドへの放浪の旅、そしてAppleを設立してからのエピソードなどが描かれています。

敏腕経営者として世界中で知られるジョブズですが、彼の一筋縄ではいかない性格も、知る人ぞ知る真実なのです。自分至上主義で、気に入らない部下を速攻クビにしたり、便器で脚を洗ったり、はたまた「自分は菜食主義者だから臭わない」という独自の思想によりシャワーを浴びなかったり。

 

著者
ヤマザキ マリ
出版日
2013-08-12


作中にこんなシーンがあります。

Appleの共同経営者であるスティーブ・ウォズニアックの功績でヒットしたゲームによるボーナスを彼に黙ったままちょろまかしたジョブズ。ウォズニアックは激怒するのかと思いきやこんな言葉をつぶやきます。

「ジョブズはお金が必要だったんじゃないのかな……正直に言ってくれたらよかったのに とは思うよ……必要なら僕の分もあげたのに……友達は助け合うものなんだから……。」(『スティーブ・ジョブズ』より引用)

ジョブズの破天荒な性格がクローズアップされるばかりでなく、ウォズニアックなどジョブズの周囲の人々の姿が描かれているのが魅力的です。この漫画を読めば、天才的なジョブズの一面だけでなく、マイナスの部分まで知ることができます。

流れるようなジョブズの歴史をヤマザキマリが絶妙に漫画へと落とし込んで、漫画をならではの「スティーブ・ジョブズ」を表現した作品です。

前代未聞!?ヤマザキマリのお風呂コメディ!『テルマエ・ロマエ』

タイトルの意味はズバリ「ローマの風呂」。この漫画は古代ローマの浴場と現代日本の風呂という斬新なテーマを描いたヤマザキマリのコメディ漫画です。古代ローマの浴場設計技師が、タイムスリップして日本に飛んでしまうという設定。日本の風呂文化に面白おかしくリアクションする姿が描かれています。

主人公はルシウス・モデストゥス。浴場を専門とする設計技師です。

当時のローマは、ハドリアヌス帝の嗜好により、古き良き建築よりも、斬新でモダンな建築がもてはやされていました。そんな時代の流れに納得のいかないルシウス・モデストゥス。ついに上司と喧嘩をして仕事をクビになってしまいます。そんな彼が公衆浴場の浴槽内で見つけた排水口。なんとこれは、現代日本へと繋がっていたのです……!

 

著者
ヤマザキマリ
出版日
2009-11-26


古代ローマと現代日本。一見共通点が全くない2つの時代を見事に結んで描いています。

ヤマザキマリは『テルマエ・ロマエ』について、こんな風に語っています。

「古代ローマといえば、血と肉とセックスのイメージ。人間の野蛮性ばかりが強調されて語られてきた。その定説に一石を投じるために『テルマエ・ロマエ』をかいた。」(『国境のない生き方—私をつくった本と旅—』より引用)

この本を読めば、古代ローマのイメージが変わること間違いなしです。お風呂をこよなく愛する古代ローマ人と日本人。お風呂が繋ぐ、時代を越えた傑作コメディです。

いかがでしたでしょうか?どんなテーマもヤマザキマリにかかれば至極の作品になります。多彩な彼女の魅力溢れる作品。あなたもぜひ手に取ってみてください。