ベートーヴェンについて知れるおすすめの本5選!偉大な音楽家に迫る

更新:2021.12.15

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、この名前を知らない人はいないでしょう。日本では楽聖と呼ばれるほどのドイツの作曲家です。では、彼の人生についてどれほどご存じでしょうか。今回は偉大なる音楽家ついて知る5冊をご紹介します。

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ロマン派音楽の先駆け、楽聖ベートーヴェンとは

彼が生まれたのは1770年の12月のことです。当時は神聖ローマ帝国であったドイツにて、音楽家の家系に生まれました。しかし、彼の父であるヨハンは宮廷歌手でありながらも酒におぼれた生活をしており、一家を支えていた祖父が死去した後は生活が苦しくなり始めます。そこで、ヨハンは息子であるベートーヴェンに対して苛烈な音楽教育を強いるようになります。その結果、彼は一時音楽に嫌悪感を持ちはしますが、その才能は確実に開花しました。

その後、オーストリアの作曲家であるフランツ・ヨーゼフ・ハイドンに師事することとなり、彼は本格的に音楽について学び始めることとなります。そして、1794年に処女作である「ピアノ三重奏曲」で、本格的に音楽家としての道を進むのです。しかし、ベートーヴェンは28歳の時、自分の耳が音を聞き取りづらくなっていることに気づきます。最初は聞こえにくいだけでしたが、少しずつ音がわからなくなっていき、彼は失意の中自害まで考えるようになっていくのです。そこで、彼は作曲専門の音楽家として転進し、次々と楽曲を生み出したのでした。

ベートーヴェンに関するあなたの知らない逸話

1:ベートーヴェンの実際の容姿は荒々しいものだった

普段彼を思い浮かべるとき、ぴしっとしたシャツにジャケット、赤のネクタイをきちんと絞めた姿を思い浮かべませんか?若干のロングへアー、白い肌に凛々しい顔立ちと洗練されたイメージもあるかと思われます。

ところが、彼の他の肖像画には、もっと荒々しい姿が残されているといわれているのです。肌は黒く、肌荒れもあり、服にも無頓着だったようで、雑な格好をしていたといいます。

 2:ベートーヴェンは短気

彼は非常に短気であったと伝えられています。怒りにくると、周囲の物を投げ飛ばしたりすることが日常茶飯事であったといわれています。ベートーヴェンはレッスン中に弟子の楽譜を破り捨てたり、噛みついたりと、大変な癇癪もちでした。

3:慢性的な鉛中毒だった

彼の食生活や彼の体が何でできていたかということが、残された彼の毛髪を基に研究が行われました。結果、彼は鉛中毒だったのです。彼は生前、甘いものが好物でした。

ところが砂糖は当時高級品であったため、代替えとして、鉛の鍋で葡萄の汁を煮たものを好んで接種していたそうです。この煮汁には鉛が含まれており、それにより鉛中毒となり、腹痛や難聴を引き越したといわれています。  

4:ピアノを愛した作曲家だった

彼は幼少期より、ピアノの教育を施されてきました。彼の身近には常にピアノがあり、彼自身自分に降りてきた音楽のアイディアや感情はピアノで表現していました。そのためか、彼が作った数多くの曲のほとんどが、ピアノメインで作られたものであります。

5:ネーフェとの出会いで音楽の楽しみを知った

ベートーヴェンは幼少期よりお酒好きな父の指導により厳しいピアノのレッスンをしてきました。父のお酒代を稼ぐために父は自分にそのようなことをすると感じていた彼は音楽に嫌気がさします。ところが、ネーフェという人物に出会い、彼が曲の作り方や楽しみ方を教えてくれたのです。そして音楽を心から楽しめるようになったのです。

6:面食いで結婚願望が強かったベートーヴェン

彼は生涯独身を通しましたが、生涯に恋した女性は何人かいます。婚約まで行ったこともあるそうですが、数奇な運命で結婚にまではどれも至りませんでした。彼は愛した女性たちは若く、美貌に優れていたといわれています。彼は結婚願望もあり、女性のためにいくつか曲も残しています。その一つとされるのが、かの有名な『エリーゼのために』です。 

7:ナポレオンに共感し、ナポレオンに失意した

ベートーヴェンは国の英雄とされたナポレオン・ボナパルトに強い共感をいだきました。ナポレオンが弱者を救い出した強さに魅了されたのです。そんなナポレオンのために曲をつくりました。しかし、ナポレオンがその栄光から皇帝に即位することが分かり、彼は失意と怒りにわきます。ナポレオンも所詮は俗物であるということにうんざりしてしまったのです。  

8:自害を試みたのは難聴が理由だけではなかった

彼は30歳手前で難聴になり、音楽家生命にかかわる状況になりました。そして幼少期より音楽と共に生きてきたベートーヴェンにとって、耳が聞こえなくなることは死んだこと同然の辛さだったに違いありません。

ただ、人生の失意に落ちた理由としてもう一つあげられるのが当時の失恋です。彼はジュリエッタ・グイチャルディという女性と恋をしていました。しかし身分の違いから恋は破たんし、彼女は爵位ある別の男性と結婚してしまったのです。 

9:骨伝導を利用し難聴の困難を克服した

彼は音を失ってから、温泉治療などを試し治療に励みましたが、どれも効果は得られませんでした。そこで特注のピアノ発注し、ピンと張った玄をハンマーで打ち体全体に振動を感じさせるようにしました。この骨伝導と、彼の知識を組み合わせ音の強弱を感じ取り作曲をしていったといわれています。

 10:ベートーヴェンは相当な面倒臭がり

彼は面倒臭がることが多く、部屋が散らかったら汚れた部屋をそのままにして次の家に引っ越していたといいます。

ちなみに引っ越しの際に楽譜を大量になくしたといわれていますが、これは家政婦が食器などを包み割れないように彼の楽譜を使用していたためともいわれています。おそらく楽譜もごみのようにその辺に散らばっていたのかもしれません。  

50年あまりをかけたベートーヴェン研究の結晶

2009年の時点で最新のベートーヴェン研究成果が取り入れられた一冊になります。手紙や日記、会話帳などの資料を用いて彼の自由人な姿を、豊かに描き出しているのです。著者はこの本に、50年あまりの月日でのベートーヴェン研究の費やしているとあって、新書の少ないページ数の中でもしっかりと情報が詰まっています。
 

著者
青木やよひ
出版日
2012-11-19

この本の素晴らしいところは、まずベートーヴェンに関する情報がとても分かりやすくまとめられていることです。その理解を助ける要因のひとつとして、この本では彼が生きた時代背景について詳しく書かれていることが挙げられるでしょう。これにより、ただベートーヴェンに関する事実を並べるよりも、臨場感を持って彼の人生を知ることができます。彼に生涯をささげた著者による、まさに力作と形容するのにふさわしい一冊です。

形見となった髪の房を巡る、ノンフィクション物語

300曲もの楽曲を世に送った偉大なる作曲家、ベートーヴェンがその死の床で少年に形見として渡した髪の房がメインとなるノンフィクション作品です。ノンフィクションとは言っても生い立ちの記述などに推測も多くあり、あくまでも物語として描かれているのが特徴といえるでしょう。
 

著者
リディア・ニブリー ラッセル・マーティン
出版日
2012-06-02

少年が形見として受け取った遺髪は、約170年も持ち主を変え続け、1994年に二人のアメリカ人の手に渡ることになります。この二人の手によって、この遺髪はDNA鑑定にかけられるのです。それによって遺髪が本当に本人であるのか、そして彼の死因や生活の様子など、技術が発展するまではわかることのなかったベートーヴェンの隠された真実が、分かりやすい文章と構成によってまとめられています。彼の生涯を追いつつ、歴史ミステリーとしても楽しめる本です。
 

ベートーヴェンの9つの交響曲をよく知るための一冊

ベートーヴェンが作曲した9つの交響曲を、指揮者の視点から1つ1つ解説するといった内容の本です。曲の主題などに触れるだけではなく、楽曲のリズムであったり、休符の長さであったりと本当に細かく取り上げられています。また、楽曲そのものだけでなく、「演奏」自体にも言及をするため指揮者としての視点があますところなく発揮されているのも特徴です。
 

著者
["金 聖響", "玉木 正之"]
出版日
2007-11-16

ベートーヴェンの交響曲といえば、有名な物もいくつかありますが、9曲すべてとなるとなかなかなじみにくいものではないでしょうか。それでも、この一冊を読めば彼の残した交響曲について多くのことを知ることができます。音楽的な理論だけではなく、曲にまつわる都市伝説のような話にまで触れていくとても珍しい形式がとられているので、最後まで飽きずに読むことができるでしょう。ぜひ、実際に曲を聴きながら読んでみてください。
 

ベートーヴェンのラブレターにまつわる新説がここに!

数々の逸話や謎のあるベートーヴェン。その中でも最大のミステリーだと言われるものに、彼が送った三通のラブレターがあります。「不滅の恋人よ」と彼が呼びかけている子のラブレターは一体誰に向けて書かれたものなのか。決定的な証拠はなく、多くの説が人々の口に上がります。そして2010年、この本によって全く新しい説が展開されました。
 

著者
古山 和男
出版日

結論を言うと、この三通の手紙は実はラブレターではなかった、という根本を覆すような説です。この時代、彼が住むヨーロッパではナポレオンによるロシア遠征が行われていました。政治的に、非常にデリケートな時期だったわけです。ベートーヴェンは偉大なる音楽家でしたが、あくまでも音楽家でしかなく、彼も時代の流れに翻弄されるしかなかったのではないかとの推測が立ちます。

そうした時代背景の中で、彼が保守派に対する諜報活動を行った、とこの本では仮定されているのです。そして、「不滅の恋人」宛の手紙は、検問をすり抜け、政治的危機を伝えるための暗号文であった、というのがこの説の大まかなところになっています。これが真実なのかどうなのか、ぜひ本を読んで考えてみてください。

「不滅の恋人」への手紙も含めたベートーヴェンの書簡集

上下巻構成による書簡集となる本です。ベートーヴェンが書いた書簡が厳選されて載せられています。それは社会情勢を伝えるためのものであったり、自身の病気について語るものだったり、愛を語るものだったりと多岐にわたります。間違いなく本人から語られた言葉に誇張はなく、等身大の彼の姿を知るのには最適であるといえるでしょう。
 

著者
出版日
1982-01-16

この二冊で紹介されているのは、彼が人生の中で書いた書簡としては、決して多くとは言えない量です。それでも手紙が書かれた背景が丁寧に解説されているので、非常に読み応えがあり、資料として見ても参考になる点が多くあります。そして、なによりも偉大なる人物であることがクローズアップされることが多いベートーヴェンの、ただの人としての姿を垣間見ることができるという点で、非常に価値がある本であるといえるでしょう。

いかがでしたでしょうか。間違いなく最高峰の音楽家の1人であるベートーヴェンについて、別の角度から紹介する5作品でした。なにか興味を惹かれるテーマのものがあれば、彼の音楽を聴きながら読んでみることをおすすめします。

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